2024年3月15日(金)から24日(日)までの10日間、東京・渋谷の各所からファッションとアートを発信するイベント「渋谷ファッションウイーク 2024 春」が開催。2024年3月16日(土)から24日(日)までの期間は、現在休館中(オーチャードホールを除く)のBunkamura(地下1階)で、アートを楽しむ期間限定の特別プログラム「THE INSTALLATION II」も実施する。
【写真】「ミラーボールファニチャー」。Bunkamuraで使用されてきた椅子などをミラーボールとして再構築している
※本イベントは渋谷ファッションウイークが参画する「Tokyo Creative Salon 2024」の一環として開催。
「渋谷ファッションウイーク 2024 春」のテーマは「THINK」。「サステナブルとは何か」を問いかけながら、インスタレーションなど新しいアート体験を提供する特別プログラムや、トークセッション、参加型イベントなどを渋谷各所で実施する。
そのひとつ、「THE INSTALLATION II」では、国内外で活躍するアーティストの西野達さんと、サウンドアーティストのevalaさんによる新作インスタレーションを特別展示。西野さんは、Bunkamura建築のシンボルとも言える地下1階に広がる吹き抜けで、その空間を彩る「ミラーボールファニチャー」を展示する。
「ミラーボールファニチャー」は、譜面台、イーゼル、控室のロッカー、ドゥ マゴ パリの椅子など、実際にBunkamuraで使われてきた家具や什器にミラーを貼り付け、ミラーボールとして再構築したダイナミックな作品。ミラーに反射した“カルチャーの光”は、Bunkamuraの吹き抜けを隅々まで照らし、この複合文化施設の歴史的価値を再評価するとともに、今後の文化の発展にも寄与しようと考える決意表明となっている。
西野さんは「自分の作品としては、ミラーボールをモチーフにしたインスタレーションは3つ目。これまでは屋外の展示がメインで、こうした施設内や美術館、ギャラリーの中ではあまり展示してこなかったのですが、ここももともと展示会場として設計された場所ではないので、大きいものを運ぶこととか、重さを考えながら展示する方法というのは考えないとならなくて、今回は展示の過程でも少し苦労しました」と、表現したことや、苦労した点を振り返る。
さらに、「これまで屋外で展示してきた理由としては、アートに興味持っていない人も“アートを見なくちゃいけないような状況”を作るためだったのですが、今回はそういう人たちを“いかにここまで連れてくるか”というのがポイントだったので、楽しめる作品、派手な作品というのを考えました。『渋谷ファッションウイーク』では自分の作品だけでなく、さまざまなおもしろいアート作品が見られますし、入場無料なので、とにかく渋谷に来てほしいです」とアピールしていた。
一方、サウンドアーティストのevalaさんは、さまざまな音楽家から愛されてきた旧Bunkamura Studioで、“発芽”の意味を持つ「Sprout」という作品名のサウンドインスタレーションを展示。
evalaさんは「この中で目を瞑って立ち止まってみると、音が自分の中に突き刺さったり、あるいは今まで聞こえてこなかったようないろいろな音が体中にまとわりついてきたりする感覚になると思います。周囲の音が刻々と変化していくので、時間のある方はぜひ存分にその音に浸っていただければと思います」と説明。
続けて「ご存じの方も多いとは思うのですが、ここはBunkamura Studioといって、ものすごく立派な音楽スタジオがあって、音楽業界では本当に有名な場所でした。そんな跡地で今回、『なにか作りませんか』というありがたいお話をいただきまして。それで、 これまでに音楽スタジオではなされてこなかったような、なにか新しい実験をしようということで作ったのがこの作品です。 機材もなにもかもが撤去されたこの跡地、なにもなくなったこの空洞的な場所に“音の精霊”みたいなものが漂っているイメージ。そんな場所にツタが生え出したり、草花が生え出したり…。その新しい価値、新しい息吹、芽吹きみたいなものを音で現象的に表現しようと思って作ったものになります」と話していた。
そして渋谷ファッションウイーク事務局長の寄本健さんは、「西野達さんの作品では、Bunkamuraで使ってきたものを再生して使っていただいたり、evalaさんの作品では、タイトルの『Sprout』の通り、跡地から新しいものを生み出していただいたり。今回の渋谷ファッションウイークで問う『サステナブル』には、リサイクルとかリユースとか、そういうものもありますが、いろいろな法則、多面的なものがあると思うので、そうしたサステナブルも伝えていけたらと考えています」と語っている。
取材・文=平井あゆみ
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