日本を代表するミステリー界の巨匠・綾辻行人による「館」シリーズの記念すべき第1作目で、自身の作家デビュー作でもある『十角館の殺人』(講談社文庫)の実写ドラマ化が決定。3月22日(金)朝10時から動画配信サービスHulu」で全5話が一挙独占配信される。そしてこの度、本作を一足早く鑑賞したミステリ作家や著名人からコメントが到着。本作のクオリティの高さに、有栖川有栖京極夏彦辻村深月法月綸太郎ら、ミステリー界を代表する作家や著名人から、賞賛の声が続々と届いている。また、名バディ奥智哉“江南孝明”と青木崇高“島田潔”の新しい場面写真も公開となった。

【写真】口をへの字にする青木崇高“島田潔”を横目で見る奥智哉“江南孝明”

■奥智哉“江南孝明”と青木崇高“島田潔”による名バディが謎を追う新たな場面写真が公開

物語の舞台は1980年代。十角形の奇妙な外観を持つ館“十角館”が存在する角島(つのじま)に訪れた大学のミステリ研究会メンバーと、海を隔てた“本土”で死者からの手紙を受け取った元ミス研メンバーの江南孝明がミステリー好きの島田潔と共に手紙の謎を追うという、2つの物語で構成されている。本作は、読者の想像を超える衝撃のトリックと、完璧に計算されたストーリー展開に、映像化不可能と言われ続けてきた作品だ。

「映像化不可能」と言われ続けてきた作品に挑んだのは、映画「ラストサムライ」や「SAYURI」に参加しハリウッドで演出を学び、代表作にWOWOW連続ドラマW「石の繭」や「孤高のメス」「邪神の天秤」など、ハリウッド仕込みの映像演出で緊張感のある作風を得意とする内片輝監督。

そして今回、本作の監督を務める内片輝監督、江南孝明を演じる奥智哉、島田潔を演じる青木崇高の3人の撮影中の姿をおさめたメイキング写真と、江南&島田バディが謎を追う姿を捉えた新たな場面写真が解禁された。

■内片輝監督「原作を読んだことのある方も、そうでない方も、楽しめると思います」

内片監督は最初に原作を読んだ時のことを振り返り、「映像化するためではなく、純粋に小説として楽しみました。のちに仮に映像作品の原作として考え始めた時は、文章で書かれたことで成立するトリックゆえ、やはり簡単に映像化はできないと思った」と語った。

そこから20年の歳月を経て、ついに映像化に辿り着いた内片監督。「原作の設定をきちんと活かすことと、キャスティングや演出の工夫により映像化できるのでは」と、より確信に近いものに変わったという。

キャスティングにもこだわった内片監督は「奥君は物怖じしないところがあるのと同時に、年相応に悩んでいる部分も現場で見せてくれたんです。奥君の個性が反映された江南のキャラクターが、純粋な大学生っぽくて大好きです」と語っている。

また、“本土”で絶妙な掛け合いを見せるバディを演じた奥と青木について「島田は好奇心旺盛で子供のまま大人になったような人物。憎めないキャラだけど、ある時に見せる鋭い表情できちんと大人になる。青木君のおかげで、島田というキャラクターがいいバランスで走ってくれた」と振り返った内片監督。

一番こだわったことを尋ねると、「原作には文章表現ならではの面白さがある」と話しつつ、「原作の大事なところをリスペクトしつつ、映像作品として原作同様に面白がれるよう、キャスト・スタッフと大切に丁寧に作り上げた」と明かし、「原作を読んだことのある方も、そうでない方も、楽しめると思います」と内片監督は自信をのぞかせた。

青崎有吾コメント

おい!!!原作完全再現じゃねーか!!!!!国内ミステリ史上、ここまで原作愛に満ちた映像化があっただろうか。忠実なストーリーと「館」の造形、過剰な演出を削いだ舞台のような撮り方、そして何よりシガレット。この制作陣でよかった、と心から思えるドラマである。トリックのほうも完全再現。十角館「初訪問」となる人々が本作をどう観賞し、どう驚くのか。感想をあさる日々になりそうだ。

朝霧カフカコメント

日本が生んだ最高最強のミステリ、「十角館の殺人」が映像化!えっ、アレどうやって映像化するの??ああー。あああー!こうやるのかああー!!すごい、すごすぎる!!!そして改めて。十角館の殺人、ほんとうに面白い。見たあとしばらく、もとの世界に戻れない。原作未読のかたも既読のかたも、ぜひ。

有栖川有栖コメント

舞台化や漫画化はどうにかクリアできても、<映像化は不可能>とされてきた里程標的名作ミステリのドラマ化がこんな形(原作に忠実な真正面からの突破!)で実現するとは。あまりにも大胆にして繊細なやり方で達成された十角館攻略。そして、あまりにも誠実。

五十嵐律人コメント

“映像化不可能”と言われ続けてきた不朽の名作。情報解禁時は半信半疑でしたが、冒頭の映像を見ただけで興奮と期待が一気に込み上げてきました。見逃し厳禁。ネタバレ厳禁。全てのミステリファンは、十角館との再会に胸を膨らませながら配信開始日を心待ちにしましょう。

京極夏彦コメント

小説を「映像化」したのではなく、ミステリを他媒体に「翻案」しようとした結果なのでしょう。

僕たちの十角館が、ちゃんと成立しています。

辻村深月コメント

十角館に行ってみたい。十角形のカップでコーヒーを飲んで、あそこで合宿して小説を書きたい(殺されたくはないですが…)。『十角館の殺人』を読んだ誰しも一度くらいは考えたことがある野望だと思うのですが、映像の中にあの建物が、あのカップがあることの感動は痺れるほどでした。まるで自分が十角館で過ごしたかのような濃密な映像体験。あの小説を一体どうやって!?と少しでも気になる方は必見だと思います。

法月綸太郎コメント

謎解きのツボをきっちり押さえた迷いのない構成から、原作に対する敬意と信頼がひしひしと伝わってくる。映像版の推しポイントは、天才建築家・中村青司の存在感がアップしていること――。結末を知っているはずなのにクライマックスでは思わず息を呑み、しばらく画面から目が離せなかった。初見だったら完全に石化していたかもしれない。

青崎有吾コメント

「不可能」なのに実写化され消える作品は多い。またなのか?という考えが頭を過る。しかし――僕の答えはNOだ。原作を7回通読した僕が言うのだから間違いはない。推理小説(ミステリ)マニアを自称する諸賢なればこそ、気づけるはずだ――この映像作品が、原作の凄さを、いかに映像として体感してもらうためだけに作られたのか、ということに。

前を見つめる青木崇高“島田潔”とメモを取る奥智哉“江南孝明”/(C)綾辻行人/講談社 (C)NTV