ニチアサの「仮面ライダー」を機に役者として出世する俳優は珍しくないが、彼らの多くは本作の後にBLドラマでも大いに活躍している。今回は「仮面ライダー」のときとはまた違った魅力をみせてくれた“仮面ライダー俳優”たちのBLドラマを紹介していく。

【写真】BLドラマでも活躍するイケメン“仮面ライダー俳優”たち

■『好きやねんけどどうやろか』簡秀吉

 俳優・西山潤とともにBL漫画『好きやねんけどどうやろか』(原作:千葉リョウコ)の実写ドラマでW主演を務めたのは、『仮面ライダーギーツ』(2022年)で主役・浮世英寿仮面ライダーギーツを演じた簡秀吉だ。

 本作は家庭的な小料理屋を舞台に、誰とでもフレンドリーに話すことのできる肉食系関西弁イケメン店主・松本栄枝(簡)と、東京から転勤してきてきたものの関西の空気に馴染めない真面目なバツイチサラリーマン・曽我久志(西山)による、愛おしくももどかしい“ムズキュンラブストーリー”。

 ミステリアスな雰囲気だった英寿とは真逆のコテコテな関西弁キャラという新境地を簡は見事に切り拓き、視聴者を魅了した。

■『君には届かない。』前田拳太郎

 2021年に放送された『仮面ライダーリバイス』で主人公・五十嵐一輝仮面ライダーリバイを演じた前田拳太郎は、超特急の柏木悠と共にBLドラマ『君には届かない。』(TBS系)の主演を務めた。

 本作は漫画家・みかによる同名コミックが原作。幼なじみの相反する2人が惹かれ合うも伝えられないもどかしさと葛藤を少女漫画のような繊細なタッチで描いていく。スタイル抜群で成績優秀、女子の憧れの的である高校生・ヤマト役を前田が、成績はイマイチの明るい平凡な高校生・カケル役を柏木が演じた。

 カケルに対して秘かに想いを寄せるヤマト。彼が抱える心の葛藤を前田は原作コミックスさながらの繊細さで演じきった。

■『先輩、断じて恋では!』内藤秀一郎&瀬戸利樹

 『仮面ライダーセイバー』(2020年)にて主役・神山飛羽真仮面ライダーセイバーを演じた内藤秀一郎と、『仮面ライダーエグゼイド』(2016年)で鏡飛彩仮面ライダーブレイブを演じた瀬戸利樹のWライダーが主演を務めた『先輩、断じて恋では!』(MBS系)。

 晴川シンタの同名コミックを原作とする本作は、アンマッチなふたりが繰り広げるオフィスBLコメディを描く。天才CGクリエイターの柳瀬(内藤)が教育を任されたのは、無表情で不愛想な後輩・金田(瀬戸)。仲良くなろうと親しみを込めて接するが「もっと距離をとってください」と冷たい態度で返されてしまう。傷つく柳瀬だったがある日の飲み会の帰り道、酔った金田が柳瀬に秘めていた“本当の想い“をぶつける。仕事を通し次第に距離が縮まっていく二人だが、一体この気持ちは「憧れ」か「恋」か…。

 ファンからは、内藤演じる柳瀬のかわいさや瀬戸演じる金田のツンデレっぷりが好評を博していた。

仮面ライダービルド』は3ライダーがBLドラマに登場

■『僕らの食卓』犬飼貴丈&飯島寛騎

 雑誌「ルチル」(幻冬舎)で連載されたBL漫画『僕らの食卓』(原作:三田織)は2023年にドラマ化。その際にW主演を務めたのは、『仮面ライダーエグゼイド宝生永夢仮面ライダーエグゼイド役・飯島寛騎と『仮面ライダービルド桐生戦兎仮面ライダービルド役・犬飼貴丈の主役コンビであった。

 会社員の豊(犬飼)は、家族と疎遠で人と食事をするのが苦手。ある日、公園で年の離れた兄弟・穣(飯島)と種(前山くうが)に出会い、なぜか「おにぎりの作り方」を教えることに。それ以来、一緒に食卓を囲み食事をすることが増えた豊たち。やがて、家族のような存在となり、そして豊と穣の距離も次第に縮まっていく…。食を通して、その人と深くつながることを大切にした、食と家族のハートフルドラマだ。

 共に初主演作が仮面ライダーである2人は、以降も数々の映画やドラマでキャリアを重ねて演技を確立。本作の心温まる物語を見事に再現してみせた。

■『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』赤楚衛二

 『仮面ライダービルド』(2017年)で2号ライダー万丈龍我仮面ライダークローズ役を演じ、今や押しも押されぬ人気俳優になった赤楚衛二は、2020年放送のドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)に主人公・安達清として出演した。

 本作は、豊田悠による同名コミックが原作。童貞のまま30歳を迎えたことにより、「触れた人の心が読める魔法」を手に入れた、冴えない30歳のサラリーマン・安達清(赤楚)。思わぬ力に困惑する中、ふと社内随一のイケメンで仕事もデキる同期・黒沢優一(町田啓太)に触れたとき、なんと彼から聞こえてきたのは、自分への恋心だった…! 初めて誰かから寄せられる好意に戸惑う、“初々しさ全開”の安達×クールなポーカーフェイスの裏で安達への恋心が爆発している“恋する乙女全開”の黒沢。そんな二人の関係が「心の声」を通して時に繊細に、時にコミカルに紡がれていく。

 ドラマが大ヒットを記録し、2022年には映画『チェリまほ THE MOVIE〜30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい〜』が公開。さらに2023年には、タイ版BLドラマ『Cherry Magic 30』も制作された。

■『オールドファッションカップケーキ武田航平

 同じく『仮面ライダービルド』で猿渡一海仮面ライダーグリスを演じた武田航平もBLドラマ主演を『オールドファッションカップケーキ』(フジテレビ系)にて務めた。

 本作は“アラフォー癒し系イケメン上司”の野末(武田)と、“アラサーツンデレ部下”の外川(木村達成)という年の差10歳の2人が、スイーツ巡りをきっかけに距離を縮めていく様子を描くオフィスラブストーリーだ。BL情報サイト・ちるちる主催による「BLアワード2021」でBESTコミック部門第1位、「このBLがやばい!」2021年度版で第2位を獲得している。

 正反対な2人の恋を描いた物語にはたくさんの萌えが詰まっており、武田&木村のビジュも相まってファンから高い評価を得ている。

(左から)簡秀吉、赤楚衛二、前田拳太郎  クランクイン!