昨年、日曜劇場『下剋上球児』でピッチャー根室くんを好演した兵頭功海さん(25)にインタビュー。


 現在は主演を務めた映画『18歳のおとなたち』とキャストに名を連ねる『愛のゆくえ』が公開中と、スクリーンでの活躍も順調です。



 実話をヒントに作られた『18歳のおとなたち』では、けんかにあけくれていた主人公・誠が、子どもの頃の夢を思い出し、仲間とともに「映画作り」へと進んでいく姿を演じています。


 まっすぐな性格が自分と誠は同じと語る兵頭さんが、二十歳のときのデビュー以降、ずっと続けていることを教えてくれました。


◆演じたのはルフィにみたいにまっすぐな主人公



――誠のことはどんな青年だと思って演じましたか?


兵頭功海さん(以下、兵頭):『ジャンプ』の主人公みたいな人なのかなと。自分がやりたいこととか、夢に向かって走っているとこいに、みんなをどんどん仲間にしていく。『ONE PIECE』のルフィみたいに。



 “俺は海賊王になる!”じゃないけど、“俺は映画を撮る!”って。それで人との距離感をほぼゼロでやろうと思ってお芝居していました。


◆おかしいと思うことには「はい」とは言えない



――ご自身も誠のようなまっすぐさは、近い部分がありますか?


兵頭:そうですね。会う人、会う人に“まっすぐだね”と言われますし、“苦労しそうだね”と言われることもあります。


――苦労しそう?


兵頭:もちろん人の意見も聞くし、なるほどと納得したらいいんですけど、明らかにおかしいことを通されそうになると“いや、おかしくないですか”と止まっちゃうんです。そのまま“はい”とは言えなくて。


“おかしいですよね。違くないですか”となるので、どうしてもぶつかることもあります。空気を読んで飲み込むことができないので。


 そういった意味では、まっすぐすぎて苦労することもあるかもしれません。



――いわゆる「大人になれ」と言われることもありますか?


兵頭:ありますね。“もう25歳になったんだから”って。でも僕は間違ったことには妥協できない人間なんだと思います。


 それに年齢は関係ないと思います。


◆デビュー当初から書き続ける「役者ノート」は9冊目に!



――そんな兵頭さんが、デビューからここはあえて変えていない、もしくはずっと続けていることはありますか?


兵頭:デビューのときから、『役者ノート』というノートを作って書いています。


 脚本を読み解くときに、自分の思ったことを書いていったり、作品が終わってからは“ここがこうだった、ここが悔しかった”と振り返って思ったことを書いたり。私生活で感じたことも書いています。



――この仕事を始めたときからずっとですか?


兵頭:そうです。誰かに言われたわけでもないんですけど。最初のきっかけは、バーに行ったことです。


 ちょうど二十歳になったばかりで。そこの店長さんがすごくいい人で、いろいろアドバイスをもらっていて“たしかになぁ”と思うことが多かったんです。


 それを残しておきたくて、でもパソコンとかではなくて紙に自分の手で書いて残したかったので、ノートを買って書いていきました。


 そこから始まって、今は私生活のことも書きつつ、仕事で思ったことを多く書いています。



――もう何冊にもなっているのでは?


兵頭:9冊目くらいだと思います。


――すごい!


兵頭:なにかひとつだけでも、続けられているものがあったらいいなと思って書きはじめて。それは続けられたらなと思っています。


◆作品を背負える大きな役者、人になっていきたい



――兵頭さんはデビューしてほどなく、特撮テレビドラマの『騎士竜戦隊リュウソウジャ』のリュウソウゴールド役で人気を得ましたが、昨年の『下剋上球児』でさらに幅広い層に認知されました。ご自身に、何か影響はありましたか?


兵頭:日曜劇場という作品の大きさをもちろん感じましたし、塚原あゆ子監督と新井順子プロデューサーに出会えたことがとても大きいです。


 特に塚原さんからは、お芝居なんだけど、お芝居をしていないくらいの自然さを求められたという部分ですごく勉強になりました。


――主演の鈴木亮平さんはどんな方でしたか? 何かエピソードがあれば。




兵頭:南雲先生と根室という関係だったこともあると思いますが、帰りに鈴木さんが僕を車で送ってくれて、二人で話したりする時間を作ってくださったんです。


 普通だったらロケバスに乗って帰るんですけど、“せっかくだから二人で話しながら帰ろう”って。“今こういうことに悩んでいるんですけど”とか、普通に一対一で人と人としてお話してもらいました。



――25歳、これからの野望を教えてください。


兵頭:去年、一昨年と、ムロツヨシさん、鈴木亮平さん、坂口健太郎さんをはじめとして、一線の真ん中で活躍されている方々を間近で見てきました。


 だから野望というか、僕もそうした先輩たちのように、作品をちゃんと背負える俳優というか、男、ひとりの人間になりたいなと、さらに強く思うようになりました。


――日曜劇場の真ん中にも。


兵頭:そうですね。日曜劇場の真ん中にも立てるような大きな役者になりたいと思っています。


<取材・文・撮影/望月ふみ ヘアメイク/木内真奈美 スタイリスト/Shinya Tokita>



(C) ゴールデンシネマ
18歳のおとなたち』は全国順次公開中


【望月ふみ】70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi