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はじめに

長らくわれわれがトラディッショナルなプレミアムブランドのラインナップと見なすものを送り出し続けてきたレクサスが、新たな動きを見せた。

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モデルの多様化、というのはマーケッターがよく口にするセリフだが、すでにSUVはフルラインナップと言える陣容で、しかも本流のサルーンを切り捨てようという動きもない。UXやNXといった売れ筋、はたまたEV専用車のRZまで投入した今、欧州プレミアム勢とはストレート一本勝負ではなく、ときには意表をつく変化球も必要だという考えには、大いに賛同できるところだ。

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テスト車:レクサスLM350h AWDタクミ    JACK HARRISON

少量販売・多利益モデルは今後、より大胆な動きを見せるだろう。今回のテスト案件が欧州市場に上陸したということは、それを如実に語っている。ラグジュアリー・ムーバーことLMはフルサイズの高級MPVで、自家充電式ハイブリッドを搭載。欧州でも非常にニッチな、VIP向けシャトルという市場に挑む。

リムジンの。もちろん後席での長距離移動に慣れたような御仁なら、気になるところだろう。果たしてこれが、古き佳きリムジンに代わるものとなり得るのか、そして、プライベートジェットでの移動にどこまで近づけるのか、と。

もっとも、日欧では初お目見えの新型車とはいえ、これが2代目であることはご存知だろう。この高級MPVの初代は2020年、中国や東南アジアで発売されている。いうまでもなく、先代トヨタ・アルファードの上級コンバート仕様だ。

しかしながら、聞く限りは単なるバッジエンジニアリング以上のものがあるという。ただクローム装飾をゴテゴテ施しただけのバンを想像したら、そういうものではないようだ。レクサスが提案する究極のラグジュアリーとはいかなるものか探っていこう。

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

メルセデス・ベンツVクラスやフォルクスワーゲントランスポーターなどバン系モデルをベースに、アフターマーケットで高級乗用車コンバートされたものは目新しくない。ところが、メーカー自身がそれを企画・製造するというのは斬新だ。

ベースとなるTNGA−Kは商用車用ではなく、レクサスではNXやRXにも用いられる、トヨタのFF乗用車用プラットフォームだ。無論、それぞれのクルマに応じて設計が最適化されるのは、LMにも言えることだ。

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英国仕様のパワートレインは2.5L自然吸気がベースの、プラグインではないハイブリッド。FFと電気式4WDが設定される。    JACK HARRISON

結果として生まれたのは、全長5m超、全高2m近い、バン風のフォルムを持ったクルマだ。室内空間を最大化するため、できるだけキャビンフォワードに設計されている。

こうして生まれた、そびえ立つようなレクサスの新型車は、価格もまたフラッグシップサルーンのLSに匹敵する高みにある。背の高さはまったく異なるこの2台、LMのオーナーがスタイリッシュでソソるルックスを欲することはないはずだ。実際、これでレクサスに文句を言うのは、高級車はローフォルムを保つべきだと積極的に考えるひとびとくらいだろう。しかも、そういう主張は、すでに高級SUV全盛の現代ではすでに主流ではない。

シャシーの素材はおおむね高張力スティールだが、巨大なサイドドアはフロントのスイング式もリアの電動スライド式もアルミ。モノコックはレーザースクリューウェルデッド工法に、剛性向上と制振に効果を発揮する構造用用接着剤と、適材適所のブレース追加が加えられている。

パネルギャップは縮小され、これにより風切り音の低減も図られた。エンジンルームやホイールハウス、ダッシュボード裏側の遮音や振動対策も入念に行われている。ボンネット上部とAピラーも風切り音低減に配慮したデザインで、さらに全周にわたって遮音ガラスを用いる念の入れようだ。

サスペンションは四輪独立で、フロントがストラット、リアがダブルウィッシュボーンスプリングコイルで、エアサスの設定はない。ただし、ダンパーはAVSことソレノイドを用いたアクティブ可変ダンパーを装着し、ピッチやロール、波打ちに対応する。このほか、レクサス初採用となる周波数選択式バルブを備えたパッシブダンパーも設定される。

英国仕様はガソリンハイブリッドの350hのみ。2.5Lの4気筒に駆動用モーターを組み合わせたFF車と、リアにもモーターを積んだ、前後駆動系に機械的な連結のない電気式4WDが用意される。テスト車は4WDだ。

内装 ★★★★★★★★★★

キャビンは一般的な7人乗りと、前席と後席に仕切りのあるショーファースタイルの4人乗りを設定。今回は後者をテストする。安価なのは7人乗りで、快適性重視の2列目シートと、跳ね上げ式の補佐的な3列目シート、4人乗りより広い荷室を備える。

4人乗りの後席は、どこもかしこも特別な移動を体験させてくれるものだ。大きなスライドドアと高い天井は、ロンドンタクシーのように乗り込める。そこには旅客機のようなスタイリングのリクライニングができるラウンジチェアがふたつ。まさに車内の玉座で、ヒーターとベンチレーションはもちろん、7つものプログラムを持つマッサージ機能も備え、フルフラットな姿勢で座ることもできる。

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背後にパーティションがあり、ややタイトな前席は、これは後席に主役が乗るクルマだと物語っているが、質感の高さは前後とも変わらない。    JACK HARRISON

ただし、走行中のフルフラット化は、レクサスとしては安全面の観点から推奨していない。またわれわれとしては、どんな場合でも多少立てたほうが快適に思えた。

いずれにせよ、調整幅は広い。大型でサポート性に優れたヘッドレストやシートバック、クッションに、伸縮式フットレストも備わっている。

後席からの視認性は、大きなサイドウインドウとガラスのスカイライトのおかげで上々。どちらもブラインドは電動だ。たいしてテスター陣が気になったのはパーティション。エレクトクロマティック技術により、半透明にもできるガラスを使用しているそれの動く感じだ。

中央バルクヘッドの上に設置された48インチスクリーンサイズのマルチメディアディスプレイは、間違いなくLMの呼び物だ。だけどわれわれとしては、キャビンにおいて本当にうれしくなるものの上位ではない。そのほか後席には左右それぞれ、メディア操作やシート調整を行うスマートフォン風のリモコンや、アームレスト内に仕込まれたワイヤレス充電器も設置される。

さらに外側アームレストからは、これまた旅客機の客席のようにライティングテーブルが出てくる。インフォテインメントディスプレイの側にはまずまずのサイズの冷蔵庫もあり、換えの靴やブランケットなどを収めておけるほどの収納部まである。ここだけみたら、まるで豪華なファーストクラスに乗っているようだ。

前席に座るドライバーは、このクルマが重視する顧客ではないのだろう。スペースはタイトだ。快適には座れるが、ドライビングポジションはやや高くバン的。豪華な装飾や目新しいギミックはあまりないが、各部のクオリティや贅沢でリッチなマテリアルは後席と一貫したものだ。

走り ★★★★☆☆☆☆☆☆

この手の、オーナーが速さなど気にも留めないようなクルマに衛星式計測器を取り付けていると、馬鹿げたことをしている気分になる。そうは言っても、高級車セグメントはいくつかの点でもっともトラディッショナルだ。10万ポンド(約1890万円)以上の値付けで、これほど大衆車のようなパワートレインを積んだものにはお目にかかれない。

フルサイズサルーンや高級SUVは、ほとんどが6気筒にパワフルなモーターを組み合わせ、400ps以上を謳う。ところがLM350hは4気筒ベースで、システム出力は250psという、どうにも頼りないスペック。そして、ドライビングにおける主観的な細かい感想も、計測したデータも、実際に物足りないものだ。2023年にテストしたフォルクスワーゲン・マルチバンeハイブリッドは、48−113km/hの中間加速で1秒早く、しかも価格は半分以下だった。

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普及版の4気筒ハイブリッドでは、圧倒的な動力性能は望めないが、強めの加速でかなり室内に侵入するエンジン音は、この手のクルマとしては気になるところだ。    JACK HARRISON

トヨタレクサスハイブリッドは、むしろオールドスクールな特性のデリバリーで、パワートレインは街乗りの速度域だと運転がイージーで静か、そしてどこまでもスムース。ところが、紳士的とは言えないペダル入力で加速すると、エンジンルームの遮音を強化したにもかかわらず、まちがいなくうるさいハーフスロットルを超えたあたりから、2.3tの車体に対してハイブリッドシステムの容易に使えるトルクが足りなくなるので、エンジン回転を上げざるをえないのだ。

それ以上に残念だったのは、後席に座っていても、しばしば遅くてレスポンスが悪く、物足りないクルマだと感じてしまうことだ。80km/h巡航での室内騒音は65dBAと、リムジン並みとはいかないまでも悪くない。対してフルパワー・145km/hでは78dBAに跳ね上がり、メルセデスS580eの74dBAやBMW i7 eドライブ60の69dBAに見劣りする。市街地を出たり、遠距離を急いだりすると、洗練性は十分とは言えなくなるというわけだ。

緊急ブレーキはよく効く。しかし、その原動力たるブレーキバイワイヤのポンプとサーボが、エンジンルームが騒ぎを収めているときでもけっこううるさい。しかしながら、普通に走っているときには、ブレーキペダルはじつにプログレッシブで、調整しやすく、完璧なまでに静かだ。

使い勝手 ★★★★★★★★☆☆

インフォテインメント

全車に一般的なフロントのセンターディスプレイのほか、後席用画面を加えた2面のタッチディスプレイコンソールを備えるLM。7座仕様では、天井から吊り下がる形式の14インチで、コンソールには各種デバイス接続用のHDMIポートが1口設置される。4座仕様の場合は、48インチワイド画面が、ほぼバルクヘッド幅いっぱいに広がる。

ここにはパソコンやスマートフォンからMiracastを介してワイヤレスでのメディアストリーミングが可能だ。また、2口あるHDMIポートに有線接続して、同時2画面表示をすることもできる。純正搭載のTVyaメディアストリーミング、オンラインゲームん選択肢は、ちょっと不足気味で、インストールのタイミングを逸したようにも思えて残念だ。

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4座仕様の48インチワイド画面は、2口あるHDMIポートに有線接続して、同時2画面表示できるなど、純正機能に満足できなくても、拡張性がある。    JACK HARRISON

レクサス的には、LMを走るデジタルモニュメントではなく、デジタルワールドを忘れるリラックス空間にしたいらしい。もっとデジタルエンタテインメントとコネクトするか否か、選択はオーナーにお任せします、というわけだ。

燈火類

アダプティブハイビーム付きのLEDヘッドライトは標準装備。ハイビームはパワフルで、減光のレベルもよくできている。ただし、自動ハイビームの反応はやや遅い。

ステアリングとペダル

ペダルは高いシートポジションから踏み下ろすかたちだが、レイアウトは上々。大きな靴でも踏み誤らないくらいの間隔もある。ステアリングコラム調整は、上下/前後とも十分。

操舵/安定性 ★★★★★☆☆☆☆☆

LMの全高やホイールベースの長さ、ドライバーがそのロングホイールベースの前方寄りに座らされていること、それらすべてがハンドリングに影響している。

率直に言って、いや言うまでもないかもしれないが、これはオーナードライバー向けの高級車ではない。非常に高い着座位置で操縦系に取り囲まれる感覚は、サルーンばかりかSUVとも異なる。しかもこの背の高さと重さを、控えめなタイヤと狭いトレッドで支えるのだ。笑ってしまうくらい、同等サイズのバンに乗っているような気分になる。

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いうまでもなく、パワートレインもシャシーも、熱い走りをするのに向いたものではない。運転席でペースを上げると、高級サルーンから空港バスへと変貌する。後席に座るべきクルマだ。    JACK HARRISON

乗り心地に、求められるべき洗練性の高さがあることはこのあと触れるが、ハンドリングに一体感や楽しさはまず望めない。活発さが望めないゆったりしたステアリングやスローなシャシーレスポンス、そしてほぼ見られないアジリティ。ドライビングしがいのあるクルマたりえない。

サスペンションスプリングのソフトさは、ラウンドアバウトや速度域の高いコーナーで顔を出すが、ロールに関しては、高い運転席であらゆる傾きを感じるのに対し、後席ではそこまで気にならない。もちろんサルーンよりロールは大きいが、コーナリング中のグリップとスタビリティはそれによって損なわれることもなく、深刻な問題になることはない。

いずれにせよ、前席と後席、どちらに乗るべきクルマなのかは明らかだが。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

LMはどこを取っても、VIPな乗員の生活をよりよいものにしてくれそうに思える。しかし、この点でも明らかな限界が見て取れる。

後席に座り、遮音ガラスのパーティションを上げると、ハイブリッドパワートレインの発する音はかすかに聞こえるかどうか。ドライバーに聞かれることのない声量で会話できるほど静かだというテスターもいたほどだ。

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快適性は、とくに後席では最新高級車のレベルに達しているが、さまざまな努力を重ねて高さと重さのネガを削った痕跡が感じられる。    JACK HARRISON

走り出すと、低速での乗り心地はしなやか。80km/hくらいまではなめらかに流していけるし、まずまずの静粛性も保たれる。けれども、ふんわりして穏やかなわけではなく、通り過ぎる路面の状況が感じ取れないほど騒音や振動を十分に遮断できているわけでもない。しかし、最新高級車の基準になんとか到達できるような、入念に構築された快適レベルは十分以上に認められる。

その多くに寄与するのがリアシートだ。ふわふわではないのだが身体をしっかりサポートしてくれて、完全にクッションの効いた減衰ができなかったような場合でも、シートからすべり落ちるのを防いでくれる。

前席では、レクサスが放つ興味深い制御であるリアコンフォートモードのインパクトを感じられる。フロントの減衰力をわずかに緩め、車体前部をあたかもモーションダンパーのように使うことで、後席の水平を保とうという機構のようだ。

全体的に見ると、パワーオンでのピッチングに対する緊密な制御やブレーキングは非常によかった。しかし、そこは背が高く重いクルマ。平坦でないカントリーロードでのヘッドトスやキャビンの横方向の動きは、セダンタイプより大きくなる。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

英国でのLMの販売価格は8万9995ポンド(約1701万円)からだが。今回テストした4座フル装備仕様のタクミは11万2995ポンド(約2136万円)。どのグレードを選んでも装備は充実しており、選択肢は内外装色くらいのもので、それらも有償ではない。

高価だが、大型高級MPVとしてはさほど意外でもない価格で、メルセデスが同じようなポジションを狙うBEVのEQVと同等だ。英国には今年後半に上陸予定のフォルクスワーゲンIDバズも、ロングホイールベース+4WDの上級仕様なら、これらよりグッとお安い、とはならないだろう。

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残価予想は懐疑的なものだ。率で見れば、マルチバンほど強くはないが、EQVよりはいいというくらい。ただし、EQVは近くフェイスリフトする見込みだ。

それらのライバルは、当然ながらBEVの税制優遇で高価格を補填できるが、LMにはそれがない。しかし、もっとも快適なシートかもっともラグジュアリーな仕立て、あるいはその両方を望むなら、レクサスの値付けを容易に正当化できるはずだ。

スペック

レイアウト

プラットフォームはもちろんGA-K系統。トヨタではアルファードカムリRAV4レクサスならESやNX、RXなどが採用する、中大型FF用アーキテクチャーで、素材はほぼスティールだ。

サスペンションは四輪独立で、コイルとアダプティダンパーを装備。ただし、4WSなど最近の高級車に見られるような凝った仕組みはない。

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中大型FF用プラットフォームのGA-K系統で、サスペンションコイルとアダプティダンパーを装備。横置き4気筒がベースで、4WDはリアにe-アクスルが加わる。前後重量配分は実測で52:48だった。

ハイブリッドは、横置き4気筒がベース。4WDはリアにe-アクスルが加わる。前後重量配分は実測で52:48だった。

エンジン

駆動方式:フロント横置き、四輪駆動
形式:直列4気筒2487cc、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミ
ボア×ストローク:φ87.5×103.4mm
圧縮比:14.0:1
バルブ配置:DOHC4バルブ
エンジン最高出力:190ps/6000rpm
エンジン最大トルク:24.3kg-m/4300~4500rpm
許容回転数:-rpm
ハイブリッドアシスト:永久磁石同期モーター駆動
モーター最高出力・前/後:180ps/54ps
モーター最大トルク・前/後:27.5kg-m・12.3kg-m
システム最高出力:250ps/6000rpm
システム最大トルク:-kg-m/-rpm
馬力荷重比:106ps/t
トルク荷重比:-kg-m/t
エンジン比出力:76ps/L

ボディ/シャシー

全長:5125mm
ホイールベース:3000mm
オーバーハング(前):1005mm
オーバーハング(後):1125mm
(上記はメーカー公表値)

全幅(ミラー含む):2300mm
全幅(両ドア開き):3680mm

全高:1940mm
全高:(テールゲート開き):2140mm

足元長さ(前席):最大1040mm
足元長さ(後席):1460mm
座面~天井(前席):最大1020mm
座面~天井(後席):1020mm

積載容量:752L

構造:スティール・モノコック/スティール+アルミボディ
車両重量:2345kg(公称値)/2368kg(実測値)
抗力係数:0.34
ホイール前・後:7.5Jx19
タイヤ前・後:225/55 R19 103H
ミシュラン・プライマシーSUV+
スペアタイヤ:フルサイズ(荷室に積載)

変速機

形式:e-CVT

最終減速比・前/後:3.64:1/10.78:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
平均:11.6km/L
ツーリング:14.3km/L
動力性能計測時:5.9km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):13.1km/L
中速(郊外):16.4km/L
高速(高速道路):15.9km/L
超高速:11.9km/L
混合:13.9km/L

燃料タンク容量:60L
駆動用バッテリーリチウムイオン259V・1.3kWh
現実的な航続距離(モーターのみ):64.4km
現実的な航続距離(エンジンのみ):538km
現実的な航続距離:608km
CO2排出量:26g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラットコイルスプリング、スタビライザ
後:ダブルウィッシュボーンコイルスプリング、スタビライザ

ステアリング

形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.8回転
最小回転直径:13.0m

ブレーキ

前:328mm通気冷却式ディスク
後:317mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS、EBD、BAS、VSCTRC
ハンドブレーキ:電動、センターコンソール右側にスイッチ配置

静粛性

アイドリング:46dBA
全開・145km/h時:78dBA
48km/h走行時:58dBA
80km/h走行時:65dBA
113km/h走行時:68dBA

安全装備

ABS/EBD/BAS/VSCTRC/HAC/BSM/RCTA
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:乾燥路面/気温3℃
0-30マイル/時(48km/h):3.1秒
0-40(64):4.6秒
0-50(80):6.4秒
0-60(97):8.6秒
0-70(113):11.3秒
0-80(129):14.6秒
0-90(145):18.6秒
0-100(161):24.0秒
0-110(177):32.4秒
0-402m発進加速:16.8秒(到達速度:138.1km/h)
0-1000m発進加速:30.4秒(到達速度:174.3km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
フォルクスワーゲン・マルチバン1.4eハイブリッド・スタイル(2023年)
テスト条件:乾燥路面/気温8℃
0-30マイル/時(48km/h):3.6秒
0-40(64):4.8秒
0-50(80):6.3秒
0-60(97):8.4秒
0-70(113):10.7秒
0-80(129):13.6秒
0-90(145):17.3秒
0-100(161):22.1秒
0-110(177):28.4秒
0-402m発進加速:16.6秒(到達速度:142.4km/h)
0-1000m発進加速:29.7秒(到達速度:180.1km/h)

キックダウン加速

20-40mph(32-64km/h):2.7秒

30-50(48-80):3.3秒

40-60(64-97):4.0秒

50-70(80-113):4.9秒

60-80(97-129):6.0秒

70-90(113-145):7.2秒

80-100(129-161):9.4秒

90-110(145-177):13.8秒

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温3℃
30-0マイル/時(48km/h):10.1m
50-0マイル/時(64km/h):27.4m
70-0マイル/時(80km/h):52.7m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.88秒

ライバルの制動距離

フォルクスワーゲン・マルチバン1.4eハイブリッド・スタイル(2023年)
テスト条件:乾燥路面/気温8℃
30-0マイル/時(48km/h):10.5m
50-0マイル/時(64km/h):27.3m
70-0マイル/時(80km/h):52.8m

結論 ★★★★★★☆☆☆☆

たしかに、この手の高級車は待ち望まれていたのだろう。もしそうだとすれば、ようやく出たという印象に違いない。SUVサルーンのマーケットを侵食しているので、もはやドライバーに革命的な体験をもたらすものではない。だが、このクルマの目的にふさわしく作られた後席空間に満足し、11万2995ポンド(約2136万円)支払う価値があると認められるなら、大いに歓迎できるはずだ。

LMの魅力や売りは、ほかにないほどはっきりしている。しかしわれわれとしては、最上級のサルーンやグランドツアラーに見られるような、円熟味や多面性で魅了してくれるところがまだ足りないと思ってしまう。後席は贅沢な作りで広々としていて、ほかにないほど装備が充実。短い距離をラグジュアリーな気分を味わいながら移動するには、この上なくすばらしい。

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結論:高級車市場に魅力的な新ジャンル誕生。昔ながらのリムジンに代わるものではない。    JACK HARRISON

長距離移動に、もしくは郊外から都市部への通勤に適したパワートレインやシャシーを備えていないが、このクルマの顧客はそれほど問題にしないだろう。自宅と高級ホテルやプライベートジェットの送迎、みたいな使い方をするのだろうから。

ライバルのいないような超ニッチだが、商品力も、想像力も、走りも、もう少し高める余地があったのではないか、というのが正直な感想だ。ドライビングさえどうにかなれば、というだけではないと思う。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

もしもテスラメルセデスBMWがこのようなクルマを作ったら、後席ディスプレイはゲームやメディアストリーミングのアプリで埋め尽くされていたはずだ。もっとも、荷室の220V電源ソケットは、ゲーム用コンソールを繋ぐために用意されたようにもみえるが。

イリヤ・バプラート

もしもレクサスが、このクルマのインテリアをデザインするにあたってプライベートジェットのメーカーに話を聞いていたなら、リクライニングシートの真ん前にあるストレージはなかったかもしれない。靴をしまうには最適な位置だが、これがついているとビジネスクラス感が出てしまう。

オプション追加のアドバイス

リセールを考えれば、フル装備のタクミグレード一択。あとはオプションはないので、4色のボディカラーを選ぶだけ。おすすめはグリーンがかったグレーのソニックアゲートだ。

改善してほしいポイント

・サスペンション周りのハードウェア次第で、ハンドリングも乗り心地も向上できるはず。4WSやアダプティブエアスプリング、アクティブアンチロール辺りがほしい。
・英国に、よりパワフルな500hの導入を。
・後席ディスプレイの機能向上を。この手のクルマで、後席乗員に自身のデバイスをつなぐ手間を取らせなくてはならないのは考えものだ。


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