4月16日(火)より、加藤拓也が監督・脚本を務める完全オリジナルのSF群像劇、ドラマイズム「滅相も無い」(毎週火曜夜1:28-1:58ほか、TBSほか※全8話)が放送されることが決定した。同作は、巨大な“穴”が現れた日本を舞台に、その穴に入るか悩む8人の男女と教祖の姿を描くヒューマンドラマ。映像×舞台×SF×アニメーションが融合した前代未聞のドラマとなっている。

【写真】堤真一が空に浮かぶ巨大な穴と複数の赤い手の前に立ちすくむポスタービジュアル

“穴”に入るか悩む8人の男女を中川大志染谷将太上白石萌歌、森田想、古舘寛治、平原テツ、中嶋朋子、窪田正孝、“穴”を神とする団体の教祖を堤真一が演じる。

■希代の演出家によるいまだかつてないヒューマンドラマ

監督・脚本を務める加藤は、第67回岸田國士戯曲賞、第30回読売演劇大賞演出家部門優秀賞、また世界を変える30歳未満として「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」に選出されるなど、舞台作家として注目を浴びている。

その一方で、映像でも、「きれいのくに」(NHK)で第10回市川森一脚本賞を受賞、自身で監督・脚本を手掛けた映画「ほつれる」がナント三大陸映画祭コンペティション部門に選出されるなど、演劇と映像を自由に行き来しながら、目覚ましい功績を残している。

そんな加藤が初めて連続ドラマで全話脚本・監督に挑み、演劇と映像を交差させた完全オリジナルのSFヒューマンドラマを作り上げる。

また、同作の撮影は、演劇的手法と映像的手法をミックスした試みを多数取り入れて行われた。信者8人の会合シーンはロケーション撮影が行われた一方、それぞれの人生は全てスタジオセットのみで語られる。

両親や友人など、語り手の人生にまつわる登場人物は、わずか6人のスタジオキャスト(秋元龍太朗、安藤聖、鳥谷宏之、中山求一郎、宮田早苗、安川まり)が全話を通して演じる。約150役をこなし、セットチェンジ早着替えもスタジオキャストが映像内で行うという、編集に頼らないリアルタイムでの場面転換を試みた。

また、劇伴音楽を担当するUNCHAINは、スタジオセットで実際に本人役として出演してキャストの芝居に合わせた音楽を奏でており、オープニングはイラストレーター・若林萌が担当するなど、各界の新鋭クリエイターが集結した。

■監督・脚本/加藤拓也コメント

映画や演劇を作ってきましたが、演劇をやれば映像的だ、映画をやれば演劇的だと言われることに嫌気が差し、今回はそのどちらの手法をも持ち込み、そのどちらでもない「滅相も無い」というドラマを作りました。映画的、演劇的の定義がハッキリとしている前提です。

このドラマに集まってくれた俳優、スタッフ、それから2023年2月、松本市で演劇をしているときに会いに来てくれたプロデューサーたちのおかげで、このドラマは産まれることができました。この場を借りてお礼申し上げます。そしてこれから観客の皆さんも最後までお楽しみください。

■「滅相も無い」全体あらすじ

日本に突如現れた、7つの巨大な穴。ビルより巨大な穴、雲を突き抜ける穴、都会の真ん中に現れた穴。混乱し、対応に追われ、さまざまな調査が行われたが、穴の正体は分からないまま。やがて人々は、穴とともに暮らし始めた。穴に入る者も多く存在したが、帰ってきた者はまだ誰もいない。

そして、穴を神とする者が現れた。名は、小澤(堤)。小澤は「穴の中には救済がある」と説く。

12月1日リゾート施設に、8人の男女が集まっている。川端(中川)、菅谷(染谷)、松岡(上白石)、青山(森田)、渡邊(古舘)、真吾(平原)、井口(中嶋)、そして岡本(窪田)。

彼らは、小澤をリーダーとする団体の信者たち。小澤の説くルールでは、穴に入る前に「なぜ入ろうと思ったか」を話し記録しなければならない。岡本が「そろそろ、始めましょうか」と切り出すと、少しの緊張の中、一人目の川端が話を始める。

超常の中で、8人の密やかな人生の一部分が打ち明けられる。

■“怒れない”川端(かわばた)役/中川大志

20代、男性。大学生。幼い頃から怒り方が分からない。教祖・小澤に怒り方のアドバイスをもらう。

中川大志コメント

SFとリアルが混在し、現実と非現実の境目が分からなくなるこの作品の世界観に引き込まれ、「自分もぜひ参加したい」と胸が高鳴りましたが、その繊細で絶妙なラインを表現することは、僕にとって簡単ではありませんでした。 加藤さんからいただく言葉の中にあるヒントを少しも逃さぬよう、そして巧みな共演者の皆様にのまれぬよう必死に過ごした時間はとても濃密で、ヒリヒリしました。

■“思い出す”菅谷(すがや)役/染谷将太

30代、男性。小学生の頃の初恋の女性と偶然の再会を重ねる。

染谷将太コメント

苦しかったり、苦かったり、つまづいたり、浮き足立ったり。人類の四苦八苦を見事に加藤拓也氏が一つの箱に閉じ込めて、それを穴へ突っ込んでくれました。このドラマの出来事は、皆さんの人生の中にはなさそうに感じつつも、「いや?これはなんか心のひだに触れてくるぞ?」「いや?これはもはや自分のことか?」という物事が繰り広げられています。

そのたくさんの匿名性がある感情に浸っていただけたら、とても有意義な時間を加藤氏からもらえるのではないかなと思っております。何せこのジェットコースターのようなリズムを感じてもらい、たくさんのモノを感じていただきたいと願っております。

■“田舎暮らしの”松岡(まつおか)役/上白石萌歌

20代、女性。バイト先のオルゴール記念館で不思議な体験をする。

上白石萌歌コメント

松岡役を演じさせていただきました上白石萌歌です。まずは、ずっと憧れ続けた加藤拓也さんの世界に飛び込むことができたこと、心から幸せに思います。加藤さんの作り出す世界にはいつもなんとも言い表せないような不思議な引力があり、拝見するたびに私の心に新たな風を吹かせてくださいます。

私たちの日常の延長線上にあるようで、どこか果てしなく遠い場所にいざなわれるような、唯一無二の質感。リアリティーとフィクションとが交差する世界観に、いつも身ごと持っていかれそうな心地のよい危うさが好きです。

生きていく中で避けては通れない苦しみや葛藤と私たちはどう向き合っていくべきなのか、考えを巡らせながら演じました。早く皆様にもこの「滅相も無い」を体験してほしいです。お楽しみに!

■“帰国生の”青山(あおやま)役/森田想

21歳、女性。両親は日本人だが、イギリスで生まれ育った。バレエを習うも、辞めさせられる。

森田想コメント

青山役を演じました、森田想です。再び手元へやってきた加藤さんの書く言葉は、わざと見過ごしていた痛みや苦しみをすくい上げてあっけらかんと突きつけてくる、恐ろしくて笑ってしまうほどに。当たり前にこちらの想像力では到底たどり着けない場所に立たされ、まるで感情単体が自分から放り出されるような本当に不思議な感覚を抱きました。

そして、小さな存在の私にとってはあまりに彩り豊かな先輩方とリレーのように物語を運べたことは心を刺激されるぜいたくな経験でした。負った傷や後悔を背負い続け、思い通りにならない人生と欲の正体に向き合っていくことができるのなら、この作品を見て胸が熱くなる瞬間があるはずです。楽しみにしていてください。

■“取り返しがつかない”渡邊(わたなべ)役/古舘寛治

54歳、男性。司法試験に落ち続け、家族から無心している。

古舘寛治コメント

加藤くんという才能溢れた作家と若い俳優たちとの仕事は楽しかったです。しかし半屋外の豪華邸宅で寒さに耐えながらの長時間の撮影は最年長者のおじさんにはなかなか大変でした。スタジオパートもせりふが多くて、覚えたつもりでも忘れてゆく脳みそと必死に闘いながら頑張りました。おじさんはいつも必死です。いい作品に仕上がってたらいいな〜。出来上がりが楽しみです。

■“起業家の”真吾(しんご)役/平原テツ

40代、男性。SNSビジネスで成功するも、大手ホテルから不当な扱いを受ける。

平原テツコメント

最初、このお話をいただいたときにドラマで加藤拓也くんの作品に関われること、そして素晴らしいキャストの方々と共演できることに興奮しました。加藤くんの脚本はファンタジー要素はあっても、結局は人間そのものを描いていて、見る人に何かしら当てはまったり、「あぁ~何か分かるわその感じ」と共感できるんじゃないかと思います。

演出も俳優の感じたまま演じさせてくれて、演技のすり合わせもスムーズで本当にやりやすい。共演者の方々とも少ない時間でしたが、現場で楽しく作品づくりに没頭できました。各人物のいろいろなストーリーを楽しめる素晴らしい作品になっているので、ぜひご覧になってください。

■“好奇心の”井口(いぐち)役/中嶋朋子

50代、女性。高校生のときに交際した同級生が行方不明で音信不通になる。

中嶋朋子コメント

それは、心地よい違和感と、得も言われぬ親和性が共存する世界観。未体験なのに、妙に肌なじみの良さがある――。まったくもって、奇妙な体験なのです。初めて脚本を読んだときから、撮影の間も、撮影を終えてしまった今も、なんだか静かに興奮しています。

誰かとシェアしたいけど、非常に個人的な感覚のような気もしていて、なにやら胸がドキドキします。大人になって、こういう気持ちになったことって、あったかなぁ。 早く誰か、「滅相も無い」という体験を共有できる人が現れてくれないものかと、実は密かに待っているところです。

■“夢うつつの”岡本(おかもと)役/窪田正孝

30代、男性。小学生の頃、祖母の実家で夢と現実の境が分からなくなる経験をする。

窪田正孝コメント

加藤くんとまた仕事ができて心底うれしかったです。脚本も演出も斬新でとても刺激的な現場でした。日常に突如巨大な穴が現れて、それがどこにつながっているかも分からない。天国なのか地獄なのか。その人にとって都合のいい理由でいつでも入ることができる穴が存在したら人にはどんな心理が働くのか。清算したい過去、トラウマカルマ、人間の神髄が描かれた群像劇をお楽しみください。

■“穴”の教祖・小澤(おざわ)役/堤真一

穴を信仰する団体の教祖。

堤真一コメント

加藤拓也監督の独特の感性が詰め込まれた、とにかく不思議な作品なので、撮影に入るまでも悩む日々が続いたのですが、楽しく撮影することができました。でもきっと登場人物たちに共感できる部分がたくさんあると思うので、物語をどう解釈するか、自分たちだったらどうするか、そんなことを考えながら見ていただけたらと思います。とにかく、出来上がりをすごく楽しみにしています。

4月16日(火)よりドラマイズム「滅相も無い」の放送がスタートする/(C)「滅相も無い」製作委員会・MBS