2024年11月5日に行われるアメリカ大統領選挙に向け、日本でも候補者の動向などが大きな注目を集めています。同時に気になるのが、株価への影響でしょう。そこで、『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』(KADOKAWA)から、著者の〈なのなの氏〉がアメリカ大統領選挙と株式パフォーマンスの関係について詳しく解説。併せて日本ならではの「干支」と株式相場の相関性についても解説します。

アメリカ大統領選挙狙いで投資パフォーマンス爆上がり?

4年ごとに実施されるアメリカ大統領選挙は、アメリカの景気と株式市場にも大きな影響を与えます。

『アノマリー投資』(ジェフリー・A・ハーシュ、パンローリング、2013年3月)は、1833年~2011年における大統領選挙4年周期各年のダウ平均年上昇率を以下のように算出し、大統領選挙前年の株式パフォーマンスが突出して良いということを明らかにしました。

大統領選挙当年:255%

大統領選挙翌年:86%

③ 中間選挙年:187%

大統領選挙前年:470%

1940年~2022年における大統領選挙前年のダウ平均は、2015年を除き、20回中、19回上昇しています。

大統領選挙前年の株式パフォーマンスが非常に高い理由について、先述の『アノマリー投資』は以下のように説明しています。

「再選を勝ち取るために、大統領たちは痛みを伴う取り組みのほとんどを任期の前半に行う。して、後半になると景気刺激策を打って、有権者が投票所に出かけるときに最も好景気になるようにしがちである。」

ちなみにですが、アメリカ共和党は小さい政府や減税など、株式市場に好まれそうな経済政策を重視している党でありますが、ダウ平均の上昇率は、

であり、民主党大統領のときの方が株式のパフォーマンスは高くなる傾向にあるようです。

それでは、日経平均もダウ平均と同様、大統領選挙4年周期の各年で異なる動きを示すのでしょうか? 実際に調べてみました。

[図表1]の一番左の棒グラフ群は、1949年~2022年における大統領選挙4年周期各年の日経平均年上昇率平均を表しています。

日経平均においても大統領選挙の前年は全体平均(9.3%)よりも高い上昇率(10.7%)を示していますが、大統領選挙前年よりも大統領選挙当年の方が日経平均の上昇率は高い(23.2%)傾向にありました。

さらに分析するため、期間をバブル崩壊前( 1949年1990年)とバブル崩壊後(1991年~2022年)に分けたところ([図表1]の真中と一番右の棒グラフ群)、バブル崩壊前もバブル崩壊後も、大統領選挙当年と大統領選挙前年の上昇率は全体平均を上回っており、中間選挙の年の上昇率は全体平均を下回っていました。

ただし、バブル崩壊前は、大統領選挙当年と大統領選挙前年の優位性が顕著であったのに対し(それぞれ40.9%と18.4%)、バブル崩壊後、その優位性は極めて小さいものとなっています(ともに1.1%)。

日本の株式市場において、大統領選挙当年と大統領選挙前年は比較的強気、中間選挙の年は比較的弱気の姿勢で臨んでよい。ただし、最近はかつて示されていたほど大統領選挙4年周期各年におけるパフォーマンスの差は大きくない、と結論付けてよいかと思います。

丑年と午年は要注意?干支と株式相場の相関性

アメリカ大統領選挙は4年周期ですが、日本でも一定の年周期を繰り返すものがあります。そうです、干支です(※)。

(※)厳密には、干支は十干と十二支を合わせたものを指しますが、ここでは十二支のみを指すものとします。

干支に関しては、古くから以下のような株の格言があります。

子(ね)は繁栄、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる、辰(たつ)巳(み)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申(さる)酉(とり)騒ぐ、戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる

少し嚙み砕くと、子年(ねずみどし)、寅年(とらどし)、卯年(うさぎどし)、戌年(いぬどし)は上昇しやすく、丑年(うしどし)と午年(うまどし)は下落しやすい。辰年(たつどし)と巳年(へびどし)に天井を付け、未年(ひつじどし)や亥年(いのししどし)は動きが少ないが、申年(さるどし)と酉年(とりどし)は大きく変動しやすい、という意味になるかと思います。

それでは、実際この格言通りに相場は動いているのでしょうか?

[図表2]1949年~ 2022年の干支ごとの年間日経平均上昇率の平均を示したグラフです。

実際の日経平均上昇率と格言とを比較すると、意外に当たっている年が多くあります。

まず、「繁栄する」子年、「跳ねる」卯年、「騒ぐ」申年・酉年は大きく上昇し、「つまずき」の丑年は下落しています。また、辰年・巳年に上昇した後、「尻下がり」の午年に下落しており、辰年・巳年は「天井」を付ける傾向があるようです。

もちろん、「千里を走る」寅年の上昇率は0%であったり、「固まる」亥年の上昇率が大きかったりなど、100%格言通りの動きをしている訳ではありませんが、干支に関する格言は全く参考にならないということもないようです。

ちなみにですが、先述のアメリカ大統領選挙4年周期のうち、日経平均のパフォーマンスが一番高い大統領選挙当年の干支は、子年(繁栄)23%、辰年(天井)28%、申年(騒ぐ)9%と、格言でも株高を示唆する年が並んでおり、名実ともに堅調な株価を期待できると言ってよいのかもしれません。

なのなの

サラリーマン兼業投資家

※本記事は『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

(※写真はイメージです/PIXTA)