「脱炭素」の認知は9割超。

一方、脱炭素社会に向け行動している人は3割に留まり、

行動しない理由は「今よりもお金がかかりそうだから」がトップ

株式会社博報堂東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)の「博報堂SDGsプロジェクト」は、2023年10月に「生活者の脱炭素意識&アクション調査」の第五回調査を実施しました。2021年の第一回調査から脱炭素に関する意識や行動がどのように変化したのか、また今回は気候危機に対する意識についても聴取。調査からは、認知や理解は進んでいるものの、なかなか行動に移せていない生活者の姿がみえてきました。

(調査実施日:2023年10月7日-8日、調査対象:全国15~79歳男女 計1,442名)

<調査結果のポイント>

■「脱炭素」や「カーボンニュートラル」の認知は9割超えに。「ブルーカーボン」は3割

・「脱炭素」の認知度は90.1%、「カーボンニュートラル」は90.5%と9割を超え過去最高値。広く浸透しているワードに。

・今回から新たに聴取した「ブルーカーボン」(沿岸・海洋生態系に取り込まれ、バイオマスや土壌に蓄積される炭素のこと)の認知度は32.0%。

■「脱炭素」に向けて行動している人は33.6%に留まり、2年前から変化せず。

行動しない理由のトップは、「今よりもお金がかかりそうだから」

・脱炭素社会に向けて「行動している(非常に意識して行動+ある程度意識して行動)」と回答した人は33.6%と、第1回調査時の32.1%からほぼ変わらず。

・行動しない理由は、「今よりもお金がかかりそうだから」(29.8%)がトップ。次いで「具体的に何をしたらよいのかわからない」(28.4%)。

■直近1年で「気候危機」を実感した人は67.8%に。

「異常気象の多発」「最高気温の更新」など、身近な異変が「気候危機」の実感を高める

・直近1年で気候危機について「実感している(非常に実感+やや実感)」と回答した人は67.8%に。

・気候危機を実感するタイミングは、「豪雨などの異常気象が多発したとき」(61.4%)、「日本国内で最高気温が過去最高を観測したとき」(53.6%)、「外に出て猛烈な暑さを感じたとき」(52.6%)など、身近で異常気象を体感したときに高まる傾向がみられる。

<調査結果の詳細>

■名称認知(時系列比較)

・「脱炭素」という言葉を「知っている(言葉を知っている+内容まで知っている)」と回答した人は91.0%(前回 89.8%)、「カーボンニュートラル」は90.5%(前回88.3%)と前回より微増し、ともに過去最高値の9割超えに。ほとんどの人が知るワードとして浸透していることがうかがえます。

・今回の調査から追加した「ブルーカーボン」(沿岸・海洋生態系に取り込まれ、バイオマスや土壌に蓄積される炭素のこと)についての認知度は32.0%。


■「脱炭素社会」に対する意識(時系列比較)

・脱炭素社会に向けた取り組みがどの程度必要だと思うか聞いたところ、「必要(非常に必要+やや必要)」と回答した人は74.9%で、前回の76.1%から微減。「非常に必要」の回答は第1回から減少し続け、過去最低値に。

・脱炭素社会の実現がどの程度差し迫った課題だと思うかについて、「すぐに対応すべき課題(非常に深刻であり喫緊の課題+深刻度が増しており今すぐ対応すべき課題)」であると回答した人は58.8%で、前回の 55.8%から微増。

・いずれの項目も、第1回(2021年9月)調査時からは大きな変化はみられず、脱炭素に向けた取り組みの必要性はある程度理解しながらも、切迫感は高まっていないことがわかります。



■「脱炭素社会」に向けた行動の実施(時系列比較/性年代別比較)

・日々の暮らしの中でどの程度脱炭素社会に向けた行動をしているか聞いたところ、「行動している(非常に意識して行動+ある程度意識して行動)」と回答した人は33.6%と、第1回調査時の32.1%からほぼ変わっていません。

・性年代別で比較したところ、「行動している」と回答した人は、70代男性と60~70代女性で約5~6割にのぼりました。若年層になるほど「行動していない」計が高くなる傾向ですが、10代(15~19歳)男女は「行動している」計が60~70代に次いで高く、若年層でも10代と20代では行動意識に大きな差があることがうかがえます。



■「脱炭素」に向け行動しない理由

・脱炭素に向けて行動しない理由をきいたところ、「今よりもお金がかかりそうだから」(29.8%)がトップ。次いで、「具体的に何をしたらいいのかわからないから」(28.4%)。

・性年代別でみると、特に30代男性で「今よりもお金がかかりそうだから」が45.6%、30代女性で「具体的に何をしたらいいのかわからないから」が38.8%と、ともに全体より10~15ptほど高く、子育てや仕事で忙しい日々を送る世代を中心に、お金をかけずに簡単に取り入れやすい具体アクションの理解促進の必要性がうかがえます。


■「脱炭素」に向けた行動実態と意向

・脱炭素に向けた取り組みの実態と今後の意向を聞き、その差分をみたところ、「プラスチックやビニールを使わない製品を選ぶ」(差分15.8ポイント、以下pt)、「冷蔵庫やエアコン、照明器具などは省エネ効果の高い製品を購入」(14.0pt)、「できるだけ地産地消となる商品やお店を選ぶ」(12.2pt)などの意向が、現在の取り組み実態よりも12~16pt近く高くなっており、これらの行動はきっかけがあれば顕在化する可能性が高いと推測できます。


■「気候危機」の実感度

・直近1年の間に「気候危機を実感した(非常に実感+やや実感)」と回答した人は67.8%にのぼり、「非常に実感している」は24.4%となりました。


■「気候危機」を実感するタイミング

・気候危機を実感するタイミングとしては、「豪雨などの異常気象が多発したとき」(61.4%)、「日本国内で最高気温が過去最高を観測したとき」(53.6%)、「外に出て猛烈な暑さを感じたとき」(52.6%)など、日常生活の中で感じる異変が上位に挙がりました。


■「気候危機」を意識して始めた行動

・気候危機を実感して実際に始めた行動については、「家庭で節電するようになった」(48.6%)、「暑さをしのぐための対策をとるようになった」(42.0%)、「破棄食品を減らすようになった」(34.2%)など、日々の生活においてすぐに始められることから取り組んでいる人が多いようです。


<調査結果への所見>

「脱炭素」は広く浸透し、ほとんどの人が知るワードとなりました。一方で、脱炭素社会に向けて行動している人の割合は2年前から変わっておらず、多くの人が「脱炭素という言葉は知っているが、行動には移せていない」という課題が浮かび上がってきました。脱炭素社会に向けた行動は、「お金がかかりそう」「手間がかかりそう」「不便になりそう」といったネガティブなイメージがあり、忙しい日常の中で自分事として積極的に取り入れたい行動になっていないことが背景にありそうです。

昨年の夏は、連日の猛暑や最高気温の更新などを通じて「気候危機」を実感した人が多く、「節電」や「破棄食品を減らす」など日々の生活の中でできるところから行動を始めた人が増えました。このことから、身近な危機実感を入り口とした行動への結び付けが、今後の生活者の脱炭素行動を促す鍵となりそうです。(分析担当)

<調査概要>

調査手法:インターネット調査

対象者:15-79歳の男女1,442名

※分析時は、人口の性年代構成比に基づきウェイトバック集計を実施。

本資料掲載の数値はウェイトバック後のものを使用。

対象地域:全国

調査時期:2023年10月7日-8日

調査委託先:(株)H.M.マーケティングリサーチ

<実施主体>

本調査は、企業のSDGsへの取り組みを支援する全社プロジェクト「博報堂SDGsプロジェクト」が実施しました。

博報堂SDGsプロジェクト

SDGsの視点からクライアント企業のビジネスイノベーションを支援する全社的プロジェクト。マーケティング・ブランディング、PR、ビジネス開発、ナレッジ開発、クリエイティブ、メディア企画など、SDGsに関する経験と専門性を持つ社員で編成。次世代の経営のテーマとなる、企業の経済インパクトと社会的インパクトの統合に資するソリューション開発や経営支援、事業開発支援、マーケティング支援などを行います。

https://www.hakuhodo.co.jp/news/info/82711/

博報堂ニュースリリースページ
https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/108914/

配信元企業:株式会社博報堂

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