TVアニメ「ゆびさきと恋々」(毎週土曜夜22:30-23:00ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラスTVerHuluLeminoほかで配信)の第11話が3月16日に放送された。素直になると決めた桜志が雪と向き合う。一方、心もエマに長年の思いを打ち明け……。それぞれの覚悟が伝わってくるエピソードに、視聴者からは3人の幸せを願う声が上がった。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】今週も相変わらずのスパダリぶりに反響のあった逸臣(CV:宮崎遊)

■TVアニメ「ゆびさきと恋々」とは

ゆびさきと恋々」は、「月刊デザート」(講談社)にて連載中の、森下suuによる同名漫画のアニメ化作品。聴覚障がいのある女の子・雪と世界を旅する大学の先輩・逸臣のピュアラブストーリーがSNSを中心に反響を呼び、累計発行部数380万部突破(電子含む)、「第11回ananマンガ大賞」「このマンガがすごい!2021」などの数々の賞にランクインしている。

アニメーション制作を亜細亜堂が手がけ、監督・絵コンテを村野佑太、キャラクターデザインを酒井香澄、音楽を橋本由香利が担当。糸瀬雪役は諸星すみれ、波岐逸臣役は宮崎遊が務める。

■学校でも雪に甘々な逸臣

新学期が始まり、2年生になった雪はバイトの面接を控えていた。みんなで手話合宿をした日から京弥(CV:逢坂良太)と良い感じのりん(CV:本渡楓)と恋話で盛り上がっていると、現れたのは逸臣。りんが気を遣って2人きりにしてくれたが、雪は恋人になった逸臣と学校で顔を合わせるのはまだ緊張するみたいだ。

バイトの面接があるから緊張しているのかと思った逸臣は、雪に「Ich drücke dir die Daumen!」という言葉を贈る。これはドイツ語で「頑張れ!」という意味だ。雪の手を取り、呪文のようにその言葉を唱える逸臣。2人の甘い雰囲気に通りかかった人は注目するが、逸臣は全く気にしていない。去り際にもさらりと雪のまとめた髪を褒める逸臣のまっすぐな愛情に、またもやこちらまで当てられそうになってしまった。

逸臣と別れた後、ろう学校時代の友人・まどか(CV:菱川花菜)に紹介されたカフェへ向かう雪。するとお店の前で、まどかの叔母でオーナーのあき(CV:白石涼子)が仁王立ちで待ち構えていた。一瞬怖気付く雪だったが、あきは気さくでサッパリとした性格ですぐに打ち解ける。そんなあきとの面接を経て、正式にカフェで働くことに。週末は結構混み合うようで「みんなでがんばろー!」と雪を鼓舞するあきは、やはりどこかまどかに似ているのだった。

生まれつき聴覚障害がある雪に対し、中途失聴者であるまどか。あきは彼女がろう学校に通い始めてから明るくなったといい、「あの子の周りの人たちに私も恩返ししていきたいって思ってたんだ」と笑う。もしかしたら、まどかには聴力を失って塞ぎ込んでいた時期があるのかもしれない。本作は雪が主人公の物語だが、こうした丁寧な描写で周囲の人々が歩んできた道のりも想像させてくれる。

■桜志が素直な心で雪と向き合う

面接の帰り、雪は母親に買い物を頼まれスーパーに立ち寄る。いつもは会計時にジェスチャーで対応してくれる店員の列に並ぶが、この日は別の店員が雪の会計を担当。マスクを着けた店員の口元を読み取れず、困っている雪を助けてくれたのは桜志(CV:大塚剛央)だった。

「俺呼べば、一緒に行くけどな」と、いつも皮肉屋な桜志から優しい言葉をかけられて雪は戸惑う。そんな時、逸臣からバイトが決まったことをお祝いするメッセージが。「付き合ってんだろ」と桜志に言われ、驚く雪。そこで彼女は桜志が逸臣と飲みに行ったことを知る。けれど、雪はそこで桜志が自分への恋心を自覚して泣いたことを知らない。素直になると決めたことも。

「あいつにもし泣かされたりしたら俺に言えよ。それくらい、大嫌いなんだよ。あいつのことが」という桜志に、雪は逸臣をかばう言葉を手話で伝える。それを遮るように雪の手を取り、「俺の前でそんな手話…使うな」とまっすぐ目を見る桜志。そんな桜志から雪はいつもと違う雰囲気を感じ取るのだった。

なんだか気まずくて黙り込む2人を、電車の音が包み込む。けれど、雪には聞こえていない。同じようにかつて乗っていた電車が急停車し、アナウンスが聞こえず不安そうな雪を見て、桜志は本格的に手話を勉強し始めた。いつでも雪を守れるように。その思いを素直に伝えることができなかった桜志だったが、雪には彼の心根の優しさがちゃんと伝わっていた。

「桜志くんが手話で話しかけてくれるたびに前向きな気持ちになったよ。頑張ろうって思えた」と雪は桜志に感謝を述べる。片思いのままだが、なんだか桜志の思いが報われた気がして心が震えた。

■心に長年の思いを伝えられたエマの反応は?

一方、逸臣に片思いしているエマ(CV:東山奈央)も真実を知る時がきた。心(CV:畠中祐)が呼び出す形で週末の夜に落ち合う2人。水辺のベンチに腰掛け、心はついに逸臣に彼女ができたことを伝える。静寂が2人を包み込み、風がエマの頬を撫でた。

「俺がいんじゃん。慰めとかじゃねぇよ」と言葉を続ける心の手が小刻みに震えている。その言葉を伝えるのにどれだけの勇気がいっただろう。高校から逸臣に片思いしているエマをずっと思い続けてきた心。エマは「エマだけは死んでも好きにならない」という心の言葉を引きずっていたが、「死んでも言わないつもりだったから」とその真意を告げられて驚きを隠せない。ここから2人の関係はどう変わっていくのだろう。どうか心の長年の思いも報われてほしい。

心がエマに思いを告げた夜、バイト初日を終えた雪のもとに逸臣から連絡が。「ちょっと待って」という逸臣の言葉を最後にメッセージが途絶えていたが、しばらくして「外」と送られてくる。窓の外を見ると、そこには逸臣がいた。顔だけ見てすぐに帰ろうとする逸臣をパジャマで追いかけていく雪。そんな雪に逸臣は自分の上着をかけ、2人は公園で語らう。

逸臣と海外に行くまでは節約のためにデートも少し我慢しなければならないと思っていた雪はその時間を噛みしめる。そんな彼女にお金や時間を費やさずともデートはできると言ってくれる逸臣が優しい。

相変わらずのスパダリ(=スーパーダーリン)具合にSNSでは、「本当に23歳…?」「天然人たらしイケメン怖い」「逸臣くんのような男性に愛されるって宝くじに当たるのと同じって思う」「雪に対して揺るぎない愛があるの良いよね」という声が上がると同時に、「心とエマも幸せになってほしい」「桜志くんと心くん切ないけどずっと一途なのほんと尊いです…」「桜志ィーッ!!守りたいって気持ちがちゃんと雪に伝わってて良かったね」と3人に思いを馳せる視聴者も相次いだ。

◆文=苫とり子

テレビアニメ「ゆびさきと恋々」第11話が放送/(C)森下suu・講談社/ゆびさきと恋々製作委員会