イギリス王室に一体何が起こっているのでしょう……。エリザベス女王というカリスマ的存在を失ってから、心配になるニュースが続いています。



エリザベス女王



◆国王がん、キャサリン妃入院に加えショッキングなニュースも
 チャールズ国王ががんを公表し、療養生活へ。さらにキャサリン妃まで同時期に入院し、腹部の手術を受けていたことが報じられました。


 病名は非公表で、復帰予定がキャンセルになったり、元気そうな家族写真が公開されるも加工を指摘されて取り下げられ、キャサリン妃の謝罪声明が出されたり、と情報が錯綜(さくそう)。写真のキャサリン妃の元気そうなお姿は、2016年に「VOGUE」表紙になった笑顔の写真を素材にPhotoshopで合成したという説も出ていて、キャサリン妃は今どんな状況なのか心配になります。




 ウィリアム王子にとって心労の種は他にもあり、年齢が近いロイヤルメンバーのレディ・ガブリエラの夫トーマス・キングストン(チャールズ国王の義理のはとこ)が、傍(かたわ)らに拳銃が残された状態で急死していた、というショッキングなニュースもありました。


 そして、チャールズ国王が不在の中、ひとりで公務に励んでいたカミラ王妃が、ついに音を上げてしばらく休暇を取ることになり、イギリス王室の重圧がウィリアム王子の肩にかかっている状態です。




ヘンリー&メーガン、スキーでリア充感満載
 そんな中、ヘンリー王子とメーガンさんはバレンタインデー前後にカナダのスキーリゾートを訪れ、リア充感満載の姿を見せていました。プライベートジェットにゲスト扱いでただ乗りして、ヘンリー王子が運営に関わるインビクタスのカウントダウンイベントに出席。


 ヘンリーは直前にチャールズ国王をお見舞いしてきたそうですが、雪山ではイギリス王室の暗い雰囲気を吹き飛ばすかのような幸せそうな笑顔でした。メーガンさんと手をつないだり肩を抱いたりイチャついている写真が報じられています。




 とくにメーガンさんはかなり自然体で嬉しそうで、私たちはこんなに元気ですけど何か? という優越感すら漂っているような……。


 積年のライバル(と、メーガンさんが一方的に敵視)についに勝利したという感覚なのでしょうか。王室伝記作家によると、メーガンさんヘンリー王子がキャサリン妃に淡い恋心を抱いているのを察知して、異様にライバル意識を抱いているそうです。


◆父親が病気になると上から目線で支えたいとか言い出すヘンリー




 ヘンリー王子は、チャールズ国王のがんの診断があってから、「どんな病気も家族を1つにする」と急にひとりで結束感や使命感を高めているようです。回顧録『SPARE』や暴露本『Endgame』ではさんざん王室の悪口を書き散らかしていたのに、父親が病気になると上から目線で支えたいとか言い出すのはどうなんでしょう。


 以前から、王室に復帰したい意思を表明していたヘンリー王子。王室メンバーに復帰すると、生活費も保証されるので経済的にも安心です。昨年はアメリカの雑誌に「ハリウッドの今年最大の負け組」に選ばれ、ヘンリー王子とメーガン妃が立ち上げたアーチウェル財団への寄付が激減し、支出が多いのでこのまま行くと経済的にも詰む恐れがあります。



(画像:huluPrince Harry’s Mission: Life, Family and Invictus Games』より)



 よほどお金のことか心配なのか、Netflixと5年契約をしているのに、競合のHuluヘンリー王子のドキュメンタリーを放映。同時期に競合他社と仕事をするなんて素人でもNGとわかりますが、そこまで目先のお金に振り回されているのでしょうか。家庭ではメーガンさんの野望に振り回され、ヘンリー王子は自分を見失っているようです。


◆メーガンに合わせるように意識高い系活動をするヘンリー
 メーガンさん意識高い系のイベントに好んで出席し、ヘンリー王子と一緒に世界に影響を与えようとしていますが、ヘンリー王子の本心はそこにはないように思います。



 23年に王子が来日して出演した「ISPS・スポーツの力 特別サミット」(幕張メッセ)を見学して感じましたが、仲の良いポロ選手など男友達と気の置けない男子トークしているヘンリー王子はリラックスしてイキイキしていました。


 日本の感想を聞かれて「インクレディブル神戸ビーフ」などと語る姿は、肉とスポーツが大好きな率直な青年といった印象。国連での講演などメーガンさんに合わせるように意識が高い活動をしていますが、彼の中では意識の乱高下が起きていそうです。


ヘンリー初体験の地が史跡として認定されるかも
 それを証明するのが、時々噴出する過去の黒歴史回顧録『SPARE』でイキり散らかしたのが原因でもありますが、ヘンリー王子が17歳の時に、2歳年上の女性と初体験したパブの裏の野原が史跡として認定されるかもしれない、というニュースがありました。


 こんな風にネタにされて良いのでしょうか……。日本の皇族の史跡といえば植樹関係が多いですが、別の意味で種を巻いた場所が史跡になったら世界中に笑われてしまいます。


 ヘンリー王子は下ネタと縁があるのか、メンタルへルス関係の企業の役職が「チーフ・インパクト・オフィサー」、略して「CHIMPO」になったことも話題になりました。



(画像:アメリカのスタートアップ企業「BetterUp」のチーフインパクトオフィサーChief Impact Officer紹介ページより)



 また、これも『SPARE』が発端ですが、本の中で過去のドラッグ使用歴について書いたため、米入国に関する機密書類が開示される可能性が出てきました。最悪、アメリカからの国外退去処置がとられることに……。


 イギリスでも歓迎されず、アメリカから追い出されたら、安住の地はどこになるのでしょう。昨年の来日イベントでは社交辞令っぽく日本に住みたいと発言していましたが、本当に行き場がなくなったら物価も安い日本移住も検討されるかもしれません。


ヘンリーの全裸写真があわや公開されそうに
 ヘンリー王子の受難は続き、元ストリッパーのキャリーライチャート(芸名はキャリーロイヤル)が、2012年にラスベガスのパーティーで羽目を外したヘンリー王子の裸体写真を会員制サイトで公開する、と発表。それも『SPARE』絡みで、ラスベガスでの夜についての描写が正しくないと怒りを感じたことが動機だそうです。



ヘンリー王子の回顧録『SPARE』Bantam Books



 当時ヘンリー王子は27歳。ラスベガスのホテルのスイートルームで、ストリッパーや女性たちに囲まれ全裸になって騒いでいたとか。マイケル・ジャクソンの「ビート・イット」を歌ったり、エアギターを披露したりと、かなりテンションが高かったようです。


 キャリーライチャートは、リベンジポルノは違法だと批判され、サイトから写真公開禁止の通告を受ける結果に。新たな全裸写真流出はまぬがれ、ヘンリー王子は安堵(あんど)していることでしょう。


◆兄夫妻と仲が良かった頃の彼が本来の姿では



ダイアナ妃の像の除幕式に出席したウィリアム王子とヘンリー王子



 愛すべきおバカキャラの一面も持っているヘンリー王子。かつてウィリアム王子とキャサリン妃と仲が良かった頃、よくヘンリー王子がジョークを言って皆を笑わせていたと言われています。本来の自分の姿を取り戻して、英国王室のムードメイカーになった方が、暗い雰囲気を一変できそうです。


 ヘンリー王子がSPARE以外の自分の役割を見出すことで、イギリス王室にも少し平穏がもたらされることでしょう。


<文/辛酸なめ子>  


【辛酸なめ子】東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著書は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。