佐藤健長澤まさみ森七菜が初共演した「四月になれば彼女は」の主題歌を担当した藤井風と、原作者の川村元気氏の対談が実現した。藤井が本作のために書き下ろした主題歌「満ちてゆく」の制作の裏側について語っている。

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本作は、45万部を突破した川村氏のベストセラー恋愛小説(文春文庫刊)を映画化したもの。10年に渡る愛と別れを壮大なスケールで描く。メガホンをとったのは、米津玄師の楽曲「Lemon」などのMVを手掛けた山田智和。本作で長編映画初監督を務め、日本のほか、チェコプラハアイスランドのレイキャビク、ボリビアのウユニで撮影を行った。撮影監督は「新聞記者」「余命10年」の今村圭佑、音楽は小林武史が担当した。

4月のある日、精神科医の藤代俊(佐藤)のもとに、かつての恋人・伊予田春(森)から手紙が届く。"天空の鏡"と呼ばれるウユニ塩湖からの手紙には、10年前の初恋の記憶が書かれていた。ウユニ、プラハアイスランド。その後も世界各地から春の手紙が届く。時を同じくして藤代は、婚約者の坂本弥生(長澤)と結婚の準備を進めていた。けれど、弥生は「愛を終わらせない方法、それは何でしょう」という謎掛けだけを残して突然、姿を消す。春はなぜ手紙を書いてきたのか? 弥生はどこへ消えたのか? 2つの謎は、やがて繋がっていく。共演には、仲野太賀、中島歩、河合優実、ともさかりえ、竹野内豊らが顔を揃えた。

本作のために主題歌「満ちてゆく」を書き下ろした藤井だが、その背景には藤井の楽曲「青春病」のMVを山田監督が務めたこと、そして原作者である川村氏とのめぐり逢いがあった。藤井と川村氏が主題歌について語り合った対談では、貴重な制作秘話が明かされる。

川村からの「メロディはどうやって誕生したんですか」という質問に対し、藤井は「物語を貫いている空気感みたいなものにインスパイアされて。(これは)自宅で書くもんじゃないなと。どこかつーんとした、それでいて神聖で、崇高な場所で書きたいと思って、教会で書かせていただいたんです」と話す。「映画のエンディングのところでストップして。(その後)どういう音楽が鳴ったら、この物語の邪魔をしないだろうか。それを考えながらピアノに向かいました」と振り返り、本編観賞後に体感した感覚をそのまま楽曲制作に活かしたことを明かした。2人はタイトルに込められた想いや、本作に抱いた感想、そして歌詞が生まれたプロセスについてなど1時間に渡って熱いトークを交わした。

【対談内容(一部抜粋)】

川村 今回、メロディはどうやって誕生したんですか。

藤井 物語を貫いている空気感みたいなものにインスパイアされて。(これは)自宅で書くもんじゃないなと。どこかつーんとした、それでいて神聖で、崇高な場所で書きたいと思って、教会で書かせていただいたんです。映画のエンディングのところでストップして。(その後)どういう音楽が鳴ったら、この物語の邪魔をしないだろうか。それを考えながらピアノに向かいました。

川村 教会をお借りしたということは、数時間であのメロディを書いたの?

藤井 そうです。

川村 すごいね! いつもそんな短時間で書けちゃうものなの?

藤井 曲にもよりますね。めちゃくちゃ時間かかる曲もあります。けど最近はするすると出てきてくれることも増えて。

川村 数時間で曲を書き、そこから歌詞に取り組むの? それは次の日?

藤井 当日でした。

川村 すごい! そんなイタコみたいに降りてくるの??

藤井 メロディは1時間もかかってないかも。

川村 マジか!!

藤井 いやいや。作る頻度が少ないんで。作ろう! と思わないと出てこない。

川村 じゃあ、降臨させる感じだね。

藤井 教会入った時も祈りました(笑)。書けますように。降りてきますように。そしたら歌詞もすらすらと……。

川村 藤井 風の歌詞を読んでいると、曲が死というものに近接する瞬間がすごくある。
そこでハッとして、そこからまた生き返るというか、戻ってくる感覚がある。それがすごく好きなんですよ。

対談全文は映画公式サイト(https://4gatsu-movie.toho.co.jp/talk.html))にて掲載中。「四月になれば彼女は」は3月22日公開。

貴重な制作秘話を披露 (C)2024「四月になれば彼女は」製作委員会