アメリカに住むある女性が、高校時代から恋人だった男性と結婚。だが彼はその2年後に事故にあい、脳に損傷を受けた。介護が必要となった夫のそばにいつづけた女性だが、まわりの人々に説得され、苦渋の決断で男性と別れた。
それでも元夫の介護を続けていた彼女は、再び彼女を愛する新たな男性と巡り合った。しかし彼女にとって元夫は人生の一部でもあり、再婚できる状態ではなかった。
ところが、事情を知った男性は、元夫も家族として迎え、彼女と一緒にお世話をしていくことを受け入れて2人は結婚。この物語は、人々の想像を超えた驚くべき愛の物語である。
Woman becomes guardian after husband's accident
テキサス州に住む女性クリス・アームストロングさんが、高校時代から付き合っていたブランドン・スミスさんと結婚したのは2006年8月。2人が21歳のころだ。
クリスさんが16歳、ブランドンさんが15歳のときに知り合い、互いに初恋同士だったが、それが2人にとって運命の出会いだった。
当時、私たちはとても若かったのですが、私のブランドンへの初恋は「時代を超越したもの」で、永遠の愛と言えました。
彼は私の一部で、心から彼を愛していました。(クリスさん)
だが、幸せな2人の結婚生活は2年後に急展開を迎えた。ブランドンさんがトラックと衝突する事故に遭い、脳を激しく損傷してしまったのだ。
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事故からすでに7時間が経過してから、クリスさんは電話でその知らせを受けたという。
妻から介護者となったクリスさん
昏睡状態に陥ったあと、ブランドンさんは九死に一生を得た。だが、2人の結婚生活は大きな変化を迎えた。
ブランドンが事故から2か月後に目覚めたとき、私が知っていた彼はもういませんでした。
ブランドンは心的外傷後健忘症で、生涯にわたり介護が必要な状態になっていたのです。彼は記憶も曖昧になり、思い出せても10秒ほどでした。
このとき、私は妻から介護者になったのだと実感しました。
記憶がなくなるということは、過去のその人を失ってしまうのと同じことです。そして、新しいその人を知ることになるのです。それを理解するのに、長い時間がかかりました(クリスさん)
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クリスさんは神に祈り導きを求めた。
愛するブランドンさんとの間に子供が欲しかった。そしてブランドンさんもそれを望んでいた。だが、それはもう叶わなくなってしまったのだ。
私は、病めるときも健やかなるときも彼と共に自分の人生があることを、結婚式に誓いました。
ブランドンが事故に遭ったあとも、その誓いをとても真剣に受け止めていました。だから、彼のそばを離れたくないと強く思いました
クリスさんはしばらくの間ブランドンさんの世話を続けた。だが、ブランドンさんの家族や周りから「気持ちはわかるが、まだ若いし離婚した方がいい」と勧められた。
クリスさんは悩みに悩んだ。その結果、苦渋の選択をすることを決心した。
ブランドンとは別れることになりますが、彼の面倒は見続けようと決心しました
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離婚して元夫の法的後見人になったクリスさん
離婚してブランドンさんの法的な後見人になる手続きを始めたとき、クリスさんの心は粉々に砕け散っていた。
しかし、ブランドンさんの面倒を見るのは自分だと決めていたので、いつもしてきたことを裁判所に示した。
私はブランドンを裁判所に連れて行き、彼のために弁護しました。
ブランドンが医療施設に入ったときも、ほぼ毎日面会に行きました。経済的な問題にも気を配り、彼の医療をすべて管理しました
最終審問のひとつで、裁判官はクリスさんに具体的な質問をしたそうだ。
いつか、あなたに家族ができたらどうしますか?
それでもブランドンさんの面倒を見ることができますか?そのときはどうなりますか?
クリスさんの答えはすでに決まっていた。
何も変わりません。一生面倒を見続けます
そして本当にその時が来たが、実際に何も変わらなかったのだ。
新たに出会った男性は元夫も家族として受け入れてくれた
2014年、クリスさんは現在の夫ジェームズさんと出会った。
初めて出会ったときにクリスさんがまず話したことは、元夫のブランドンさんのことだった。
私には世話をしている前夫がいるの。彼は永遠に私の人生の一部なの。
もし私と付き合う気があるのなら、あなたにはその事実を受け入れてもらわなければならないの
ジェームズさんは、当時を回顧しこのように話している。
全然気になりませんでした。クリスが人として素晴らしい心を持っていることを知ったからです
心やさしいジェームズさんにブランドンさんのことを理解してもらえたクリスさんは、早速2人を引き合わせた。
今でも覚えています。2人を会わせて紹介すると、「ビールを飲みに行かないか」とブランドンがジェームズさんを誘ったんです。このとき、私の中に希望が芽生えました。
私たち家族の一員として、ブランドンが問題なくジェームズを受け入れることはとても重要なことなので、幸せな気持ちになりました。(クリスさん)
やがて1年後、クリスさんとジェームズさんは結婚し、ブランドンさんには新たな保護者ができた。
なおジェームスさんとってもこの結婚は再婚だった。彼と別れた元妻との間には息子もいたが、新たに家族となったクリスさんとブランドンさんは彼らとも打ち解けていった。
事故から16年経った今、普段は医療施設にいるブランドンさんを週に何回も夫妻は迎えに行き、家に招くなどしながら世話を続けている。
クリスさんとジェームズさんにとって、ブランドンさんへの愛情は“ブランドンおじさん "と過ごす時間を喜ぶ夫妻の幼い子供たちとともに、ますます深まっているという。
今は“きょうだい”という言葉の方が、私とブランドンの関係をよく表していると思います。
でも、私はいつも彼の心を胸に抱いています。彼に対する愛は永遠です。だって私の一部ですから。
ジェームズもジェームズの息子も、私たち2人の子供たちも、みんなブランドンを愛してくれています。そこにはたくさんの愛があるんです(クリスさん)
ジェームズさんの懐の大きさに多くの人が感動
元夫への永遠の愛を示し、献身的に世話を続けるクリスさんに対して、ジェームズさんは本当に複雑な気持ちは抱いていないのだろうか。
Watch this. It’ll remind that humans are GOOD. Grab a tissue. pic.twitter.com/6T8T5nJetn
— David Begnaud (@DavidBegnaud) March 4, 2024
メディアのインタビューで、ジェームズさんは涙を流しながら次のように話している。
悲劇の中にクリスの献身的な愛の美しさを見ました。ブランドンには、私たちの愛が必要なんです。彼を愛している人たちが彼の周りには必要なのです
クリスさんは、深い愛で自分とブランドンさんを包み込んでくれるジェームズさんに感謝の気持ちをこのように伝えた。
ジェームズは、文字通りブランドンをいつも献身的に介護してくれています。それだけじゃなく、精神的にもブランドンを支えてくれているのです。
懐がとても大きく素晴らしい愛を持っているジェームズに私は感謝しているし、彼をとても愛しています
驚かざるを得ないのが、ジェームズさんはクリスさんに「もしブランドンの状態が良くなることがあれば、君はブランドンと一緒になればいい。僕はそれでも構わないから」と常に言っていることだ。
ジェームズさんは、ブランドンさんの単なる介護者また後見人というだけでなく、ブランドンさんに大きな愛情を持ち、日々接している。
ジェームズさんにとって、そこには「無条件の愛」しかないのだ。
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クリスさんは特別な家族の物語をTikTokで共有しているが、多くの人々が胸を打たれずにはいられない感動がそこにある。
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15年間、私たちはこの特別な家族の物語を紡いできました。自分たちの物語を分かち合うことで、人々と繋がることができることも知りました。それは、希望を分かち合う方法なのです
このように話すクリスさん。今後も、ジェームズさんと力をあわせて、ブランドンさんに多くの愛情を注ぎながら、献身的に世話を続けていくという。
追記:(2024/03/18)本文を一部訂正して再送します。
References:Husband became ‘brother’ after 15 years of marriage | news.com.au — Australia’s leading news site / This Texas woman divorced her husband to become his guardian. Now she cares for him — with her new husband/ written by Scarlet / edited by parumo
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