令和6年は、難波橋(なにわばし)のライオン像の制作者として知られる彫刻家・天岡均一(あまおかきんいち)(1875~1924)の没後100年にあたることから、これまで注目されることが少なかった天岡に焦点をあて、希少な作品を一堂に展示します。

 天岡は摂津三田藩の重臣の家に生まれ、東京美術学校(現東京藝術大学)で高村光雲や竹内久一(たけうちひさかず)に師事し彫刻を学びました。卒業後は、岡倉天心が創設した日本美術院の実技担当として活躍すると同時に、美術院の事業の一環として古社寺の国宝修理(仏像彫刻)にも参加します。明治33年(1900)頃から現在の天王寺区真法院(しんぽういん)町に拠点を移し「天岡鋳金所」の看板を掲げて活動。大正7年(1918)には、天岡をはじめ在阪の彫刻家5人で大阪彫塑会を結成します。また、均一の妻・香(蕗香(ろこう))も近代大阪における女流工芸家として多数の作品をのこしていることから、併せて展示・紹介します。


1. 名  称 特集展示「―わたしが難波橋のライオン像をつくりました!!―なにわの彫刻   

       家・天岡均一没後100年記念展」

2. 主  催 大阪歴史博物館 

3. 共  催 三田市郷土先哲顕彰会、三田市

4. 後  援 神戸新聞社

5. 協  賛 大阪シティ信用金庫、広田証券株式会社、ライオン橋法律事務所、緒方洪庵

記念財団、花外楼、株式会社衣笠設計、株式会社丹波屋、株式会社西村清月

堂、福助グループ、医療法人社団前橋内科循環器科医院

6. 会  期 令和6年5月8日(水)~7月8日(月)

       ※火曜日休館

7. 開館時間 午前9:30~午後5時

※入館は閉館の30分前まで

8. 会  場 大阪歴史博物館 8階 特集展示室(常設展示場内)

       〒540-0008 大阪市中央区大手前4-1-32

電話06-6946-5728 ファックス06-6946-2662

https://www.osakamushis.jp/

(最寄駅)Osaka Metro 谷町線中央線「谷町四丁目」駅 2号・9号出口

大阪シティバス「馬場町」バス停

9. 観 覧 料  常設展示観覧料で観覧いただけます。

       大人600円(540円)、高校生・大学生400円(360円)

※( )内は20名以上の団体割引料金

※中学生以下、大阪市内在住の65歳以上の方(要証明証提示)、

障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料

10. 展示資料数 約60点

11. 主な展示資料

(1)天岡均一作「ライオン像」(ブロンズ製) 明治~大正時代 九鬼隆章氏蔵


本作は、難波橋のライオン像制作のために試作を兼ねてつくられたと伝えられています。均一は動物をモチーフとした作品を数多く手がけていますが、いずれも躍動感あふれる造りとなっているのが特徴です。大正4年(1915)に開園した天王寺動物園に足しげく通い、徹底的に観察し、ライオンやトラ・ゾウなどをスケッチしています。なお、ライオンなどが描かれたスケッチ帳も伝わっています。

(2)天岡均一作「馬像」(ブロンズ製) 明治45年(1912) 奥谷武彦氏蔵


本作は、明治45年(1912)に均一の友人で有馬郡会議長をつとめた奥谷為治の長男誕生に際して贈られたものです。均一は、第5回内国勧業博覧会受賞作品の「豊公騎馬像」や湊川神社の神馬像(現存せず)など馬をモチーフにした作品を数多く手がけています。均一は、東京美術学校で高村光雲に師事し写実主義的技法を学びますが、本作の馬が駆ける優美な姿にその影響がみられます。

(3)天岡均一作「慈恩大師像」(古三田青磁)明治~大正時代 個人蔵


均一は、明治31年(1898)に三田焼の窯元より依頼されて様々な石膏形を制作していますが、本作はその石膏形によるものです。明治12年(1879)4月に旧三田藩士族等が結束し、当時廃(すた)れつつあった三田焼再興のために「陶器社」という組織が創設されました。その中には、均一の父・源六の姿もありました。本作から、均一は、父と共にふるさとの産業復興に尽力したことがわかります。均一は、三田焼の石膏型制作のほか、鑑定も行っています。また、三田焼の型制作にとどまらず、自ら作陶を行うなど、陶芸にも精通していました。

(4)天岡均一作「金剛力士像」(ブロンズ製) 明治44年(1911) 吉田廣志氏蔵


本作は、明治44年に制作されたもので、阿吽(あうん)形の仁王像のうちの1体・吽形です。筋肉隆々として裙(くん)の衣文(えもん)表現も躍動的な造りとなっています。均一は、東京美術学校時代に竹内久一や仏像彫刻を専門とした高村光雲に師事し、また、岡倉天心が創設した日本美術院において国宝級の仏像の修復や模写を多数手がけた経験を持つことから、優れた仏像作品を数多く制作しています。

(5)「天岡均一句幅」 大正9年(1920) 丹羽建蔵氏蔵 


本作は、均一が大正9年(1920)に8ヵ月間渡欧した際、滞在中のパリから俳友に贈った句幅です。俳句「ストーブを たきはじめたり 秋の暮れ」とともに前衛的な俳画が描かれています。また、「秋」の字の偏と旁を反転させているのも特徴です。均一は、俳句や俳画をよくし、直覚・直感を率直に表現できる俳人として正岡子規門下の青木月斗などから高い評価を得ていました。子規門の松瀬青々(せいせい)や芦田秋双(しゅうそう)・松村鬼史(きし)などとも親しく交流しました。均一は俳句について「日本の芸術を外国に示して何一つ自慢になるものはないが、俳句だけは全く彼等のまだ窺い知ることの出来ない神品である。向うでも(※8カ月間渡欧した際)自分は俳句一点張りで、誰に逢っても俳味を説いてやった」と、俳句こそが世界で日本および日本人の優越を示せるものであると語っています。

(6)天岡蕗香作「赤楽茶碗」 大正~昭和時代 個人蔵


本作は、均一の妻である天岡蕗香によるものです。蕗香は、均一とともに精力的に作陶を行っています。なかでも赤楽茶碗を好んで手がけています。蕗香は、佐倉藩医・津田長人の三女として生まれ、兄は東京美術学校教授で日本橋の装飾や日比谷公園の噴水を手がけた津田信夫(しのぶ)、甥は鋳金家の津田永寿(えいじゅ)といったように、芸術一家で育ちました。

12. 関連事業

(1)~プレミアム歴史散歩~なにわの彫刻家・天岡均一のふるさと三田へGO!!

   日 時:令和6年5月11日(土) 午前10時~午後5時

   解 説:九鬼 隆章氏(三田藩家老職家当主)

北上 真生(大阪歴史博物館 学芸員)

   集合・解散場所:JR三田駅改札前

   内  容:天岡均一のふるさとである三田を訪ね、均一の生誕地や天岡家の菩提寺・

      心月院、天岡家が仕えた三田藩九鬼家の居城・三田城跡など均一ゆかりの

       スポットを巡ります。昼食は、城下町の商家をリノベーションした蕎麦の

名店「蕎麦いち」にて三田グルメをお召し上がりいただきます。

   参 加 費:5,980円(昼食代・拝観料・資料代・イヤホンガイド代・保険料込み)

   ※集合場所までの交通費は参加者自己負担。

   ※参加方法等の詳細は、決まり次第、当館ホームページにてお知らせします。

   募集人員:20名(※最少催行人数10名)

(2)ギャラリートーク

   日 時:1.令和6年5月19日(日)、2.6月8日(土)

いずれも午後2時から30分程度

   担  当:北上 真生(大阪歴史博物館 学芸員)

   会  場:大阪歴史博物館 8階 特集展示室

   参 加 費 :無料(ただし、入場には常設展示観覧券が必要です)

   参加方法:当日直接会場へお越しください(※事前申込不要)

(3)なにわ歴博講座「難波橋・ライオン像の生みの親・天岡均一」

   日  時:令和6年6月23日(日)午後1時30分~午後3時

   担  当:北上 真生(大阪歴史博物館 学芸員)

   会  場:大阪歴史博物館 4階 講堂(※変更の可能性あり)

  ※参加費・参加方法等の詳細は、決まり次第、当館ホームページにてお知らせします。

13. 取材について 

取材をご希望の場合は、事前に下記までご連絡ください。

 大阪歴史博物館 企画広報課 企画広報係 

 電話 06-6946-5728 ファックス 06-6946-2662 


広報用画像をご希望の方は、下記URLより申込書をダウンロードのうえ、ご提出ください。

▼広報用画像申込書はこちら

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配信元企業:地方独立行政法人大阪市博物館機構

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