人づきあいで重要となってくるのは、価値観が近いことではないでしょうか。なかでも、金銭感覚が合わないと、なにかとトラブルになりがち。


 今回は、女友達との価値観の違いに悩まされているという絵美さん(仮名・34歳)に話を聞きました。


◆18年来の仲の友人



※写真はイメージです(以下、同じ)



 絵美さんと学生時代からの友人の優子さん(仮名・34歳)は、18年来の仲。高校時代は、同じ美術部で過ごしました。


「高校の美術部は部員が3名しかおらず、同じ学年だった優子とは3年間ずっと一緒でした。最後は私が部長で、優子が副部長になり部活動を続けていました。


 部費の使い道も、少しでも安い画材を買おうとする優子に、『そんなに細かくなくても良いじゃない?』と言ったことがありました」


 二人は高校卒業後、別々の大学に進学をしたが一緒に映画を観に行ったり、旅行に出たりと交流を続けていました。


◆節約好きの友人は、貯金が趣味



「彼女とはお金に細かい以外は、趣味や食べたいものがあうのでよく遊んでいました。でも、一緒に旅行に行った時も、1円単位で割り勘をしたり、奇数のおかずがあると1個を割って、『分けて食べよう』とするんです。


 べつに半分のコロッケとか食べたくないし、箸で割ったりするのも汚いから、本当はそんなことをしたくないなって思っていました」


 優子さんが節約していたのには理由がありました。


「彼女は子どもの頃からお年玉もずっと貯金をしていて、一度も貯金を下ろしたことがないって言うのです。いったい、何のために貯金しているのか気になったのですが、どうやら結婚資金にしたかったようで。


『35歳までに結婚したい』とずっと言っていて、婚活をしていました。結局、マッチングアプリで出会った年上男性と結婚しましたが、相手の仕事がフリーランスのカメラマンで収入が安定していないと言っていました」


◆結婚パーティーの会場はカラオケ系列のレストラン



 念願叶った優子さんの結婚パーティー。絵美さんも喜んで出席したと言います。


「有名な挙式場で行うかと思ったら、場所はカラオケボックスの系列のレストランでした。しかも会場に行くと、立食でビュッフェ方式。狭い店内はギュウギュウ詰めでした。


 料理も必要分に足りていなくて、すぐに無くなっていました。男性客は女性に遠慮をして、ケーキなどスイーツには手を付けていませんでしたね」


 絵美さんからしたら、楽しみにしていた友人の結婚パーティーでしたが、食事や会場以外もいろいろと残念だったようで……。


「会場も料理もあまりよくないのに、会費は男性が1万、女性は8000円でした。正直、8000円もだしたら、もっと良い料理が出てくると思ったのに。


 ビンゴでもらった景品も二人が新婚旅行で行ってきた国のDVDで、いまさら再生する機器も持っていないので観られませんでした。旦那さんのセレクトの奇抜なTシャツなど、あまり欲しくないものばかり……。二次会にも参加せずに帰りました」


◆友人のケチさに呆れる
 1年後に、今度は絵美さんが会費制の結婚パーティーを開催。優子さんには受付などを手伝ってもらったので、会費はもらわないことにしました。


「夫と相談して、優子は招待にしました。それなのに優子は、自分の結婚パーティーの話になると、『結婚パーティーの会費を女性を8000円にしたのは安くしすぎた。1万にすればよかった』って言いだしたのです……。


 こちらは8000円も払ったのに、料理も無かったのにと思いました。思い返せば、優子さんに誕生日プレゼントをあげたら、お返しに手作りの不格好なヘアアクセを渡されたこともあったのです。その時に気づけばよかったですね」


 学生時代からの友人は、お互いの環境が変わってもつきあいをつづけたいと思ってしまうもの。しかし、金銭感覚など違和感を抱き始めたら適切な距離を置くのも必要なのかもしれません。


<文/阿佐ヶ谷蘭子 イラスト/ズズズ@zzz_illust