永野芽郁主演のドラマ「君が心をくれたから」(毎週月曜夜9:00-9:54、フジテレビ系)の第11話が3月18日に放送され、最終回を迎えた。太陽(山田裕貴)の命を救う奇跡の代償として、心を差し出す=五感を失うことになった雨(永野)。そのラストは2人の思い出と約束が詰まったもので、切なく悲しく、一方で美しくもあり、さまざまな思いを見るものに届けた。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】五感をすべて失う日、身だしなみを整えてもらう雨(永野芽郁)

■雨が五感をすべて失うときが訪れる

本作は、ノスタルジックな雰囲気の長崎を舞台に、主人公・逢原雨(永野)が、かつてただ一人心を通わせた忘れられない男性・朝野太陽(山田)と“過酷な奇跡”に立ち向かうファンタジーラブストーリー。脚本は、純愛小説の名手として若い世代に注目の作家・宇山佳佑氏によるオリジナルだ。

最終回では、雨が五感のうち最後に残された聴覚を失うときが訪れた。

「もっと時間が欲しい。1時間が、1分が、この世界の何よりうんと大切だって、奇跡を背負って初めて知りました」と、奇跡を見届ける案内人・日下(斎藤工)に打ち明けた雨。

残り1週間。1分、1秒を慈しむように雨と太陽は過ごし、タイムリミットの日は雨の希望で2人が出会った高校で迎えた。

■奇跡の3カ月間で心を寄せ合った雨と太陽

泣き崩れたあと、呆然とする太陽の前に日下が現われ、「奇跡はまだ終わっていません」と告げた。

すると、場面が変わって、自宅のベッドで目を覚ました雨。その五感はすべて戻っていた。だが、太陽が亡くなったという残酷な事実を知る。

実は日下が伝えたのは、天からの最後の言葉。「奇跡とは与えられた奇跡に対して、君たちが何を思い、どんな選択をするかを見つめるために存在する。逢原雨は、心を捧げる選択をした。次は君の番だ、彼女が差し出したその心を受け取るか否か。君の選択を見せてほしい」。

雨の心を受け取れば、太陽は天寿を全うできる。断れば、命を落とし、雨に心が戻される。太陽は迷いなく、雨に心を戻すことを選択した。

本来ならば3カ月前に命を落としていたはず。この3カ月の奇跡が、雨と2人で生きる時間の猶予だった、と太陽。さらに、その時間の中で、十分に雨から心をもらったからと。

奇跡により心を寄せ合った2人の時間。その大切さがひしひしと伝わってきた。

■雨は太陽との約束を果たす

そしてラストはその数年後。雨はパティシエとして自分の店を開く夢を叶えていた。それは最後に太陽が願った未来の約束だった。

パティシエとなった雨には太陽との思い出がたくさん詰まっていた。「私の最高傑作ですから」と自信に満ちあふれた笑顔でお客に差し出したマカロンは、奇跡で味覚がなくなったときに太陽に食べてもらったもの。雨が着るコックコートの上から二つ目のボタンは、第4話で太陽のコートから内緒でもらったもの。それは高校卒業する太陽から第二ボタンをもらい損ね、代わりにマーガレットの花束を買ってもらっていたという思い出に由来。そのマーガレットも店内に飾られていた。

そして店名は「SUN&RAIN」、太陽と雨だ。その店先を雨が濡らした。これは、夢がかなったときに天国から心をこめて雨を降らせるという太陽の約束。雨は笑顔でその約束に含まれていた太陽の母の形見でもある赤い傘を差し、笑顔を見せた。

本作が始まったときタイトルは太陽目線だったが、この最終回では雨目線になった。前回までで視聴者の多くが願っていた2人が幸せになる結末は必ずしもかなえられたわけではないけれど、雨の最後の笑顔は幸せそうだった。

3カ月にわたって見届けた奇跡のラブストーリー。当初の「毎週泣くことになる気がする」はその通りで、ラストもSNSには「涙腺崩壊」「涙腺やばい」と上がった。また「これから生きる『時間』と『心』を大切にしたいな」「今生きていることを考えさせられる」という声も上がり、タイトルがトレンド入りする反響となった。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

雨(永野芽郁)と太陽(山田裕貴)のラブストーリーが閉幕/(C)フジテレビ