社会的養護経験者は、家庭による支援も見込みづらい中、様々な悩みを抱え、自立にあたって困難を抱える場合も多く、丁寧なサポートが必要です。
熊本県熊本市では、児童福祉法改正の施行に先んじて、2023年度に社会的養護自立支援実態把握事業を行い、学識経験者、障害者支援、就労支援、心理、社会的養護経験者で構成される連絡協議会を立ち上げ、社会的養護経験者の支援ニーズ等を把握するためのアンケート調査やヒアリング調査を実施しました。
今回の調査結果を踏まえ、今後の熊本県熊本市の社会的養護分野に向けて、提言を行い、提言の実現に向けて動き始めています。

熊本県社会的養護自立支援実態把握連絡協議会の提言】
1. 調査で得られた結果をもとに、具体的な自立支援の手法等を行政や施設等で議論するなどして、県内共通の自立支援の仕組みづくりを行うこと
2. 定期的に自立支援の現状把握を行い、検証機能を継続していくこと
3. 今回の調査に回答できなかった者に焦点を当て、求められる支援像を検討すること

【調査結果トピックス】  

ー 進学率、経済的問題が改善 ー
退所者調査では、2020年に実施された三菱UFJリサーチ&コンサルティングが報告した『児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査』との比較を行いました。大幅に改善した項目は以下の通りです。
・退所直後の進路で進学が増加
・4年制大学に通っている者が大幅に増加
・ローンや借金があるとの回答が大幅に減少
・措置中の自立支援の内容では、奨学金制度の案内や困りごとの相談先や相談方法の周知が増加
・アフターケアの評価では、良かったという回答が大幅に増加
・アフターケアを利用したことがないという回答も大幅に減少


制度の改正・充実、施設や里親をはじめとする関係者のアフターケアが奏功していることがうかがえます。


ー 月収15万円以上になると収支バランスも黒字化 ー

退所者調査では、月収(給料・奨学金・年金などおおよその手取り額)をたずねました。収支バランスと月収の関連をみると、月収が10万円未満では「支出の方が多い」(赤字)との回答が多く、月収が15万円以上20万円未満になると、「収入と支出はほとんど同じくらい」との回答が多くなります。月収以外にも、以下のような項目で収支バランスと関連がみられました。
・性別、現在の雇用形態、住まいの形態に差がみられる
・収支が赤字だと、病気の時に通院したくてもできなかったという回答が多い
・収支が黒字だと、不安なことはないという回答が多い


ー 意思表示ができると将来への意識がポジティブに ー
入所者調査では、「自分の将来、自分の気持ちや希望は十分に伝えられていますか」と入所中の意思表示についてたずねました。7割近くの回答者が、意思が伝えられているという回答でした。意思表示ができると回答した者は、“意思が尊重されている”、“職員等は信頼できる”と回答する傾向がみられました。
また、「将来への意識」を把握するために、ブリッジフォースマイルの『社会的インパクト調査』の調査項目でもある6項目(生計を立てること、所持金の把握、働くこと、社会マナー、情報リテラシー、将来への希望感)をたずねました。 入所中の意思表示と将来への意識6項目の関連は強く、意思表示ができると回答した者は将来への意識がポジティブな傾向になりました。意思表示が行えることは、自己効力感を養うことにつながるのではないかと推察されます。

令和5年熊本県社会的養護自立支援実態把握事業 報告書【概要版】 

https://prtimes.jp/a/?f=d10064-13-f68db44bf3807a7aaadf0ba8b592afe8.pdf

報告書の詳細は、ブリッジフォースマイルHPから、ご覧ください

https://www.b4s.jp/post-8105

令和5年熊本県社会的養護自立支援実態把握事業 報告書【詳細版】 

令和5年熊本県社会的養護自立支援実態把握事業 報告書【参考資料】

配信元企業:特定非営利活動法人ブリッジフォースマイル

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