反響の大きかった記事を厳選して届けてきた大反響トップ10。今回は2023年の大反響270本を再集計、その上位に輝いたトップ10を発表。あの興奮を再び、第9位の記事はこちら!(集計期間は2023年1月~11月まで。元記事の初公開2022年8月25日 記事は取材時の状況)
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 飲食店で働く従業員たちは、客の入店対応、料理のオーダーから提供まで、さまざまな業務を同時にこなさなければならない。そんななかで、客の何気ない行動が、じつは「歓迎されていない」場合もあるという。今回は、“注文の仕方”によっては従業員がテンパる原因になるという話だ。

◆メニュー表を指しながら「コレとコレとコレとコレで…」

 焼肉店でアルバイトをしていた近藤祐樹さん(仮名・20代)は、凄まじいスピードでメニュー表のお肉を指しながら「コレとコレとコレとコレを4人前ずつで」と注文されるのは困るという。

「しょ、少々お待ちください」と必死にハンディをポチポチするのだが……。

「だいたいこのようなお客様は、少し間を置くだけで注文の勢いは止まりません。メニュー表に掲載されているお肉を大きく円で囲みながら『あと、ここらへん全部で』と注文するんです」

 余程の動体視力情報処理能力がなければ、注文を取ることは難しいと話す。

◆結局は聞き返すので二度手間に

 ここまでになると、思考は停止。客にもキッチンスタッフにも注文ミスで迷惑をかけないように再度聞き返すことになる。

「すべての命運が僕にかかっているとプレッシャーになります。お客様と一緒にメニュー表を見ながら注文の確認をするのですが……お客様が『はい、はい、そうです。あ、それは頼んでないです』と言うと、微妙な空気にもなりますし、結局は二度手間で余計な時間を取られてしまいます。『カルビ2人前!』『ネギタン塩1人前ください』などと具体的なメニュー名を言ってほしい」

 近藤さんは常々そう思っていたと話してくれた。

◆「おかわり自由」を注文するときは一度に言ってほしい

 学生時代、とんかつ専門店で4年間アルバイトをしていた加藤奈々子さん(仮名・30代)。とんかつ店では、「おかわり自由」と謳っているところが多い。ライス、キャベツ、味噌汁がいつでもおかわりできる。半数以上の客が何かしらの「おかわり注文」をするのだが、従業員側としてはおかわりの仕方に困っていたと話す。

「たとえば、『ご飯とキャベツ大盛りで』とか『ご飯少なめと味噌汁ください』と一度に頼んでくれるととても助かるんです」

◆「おかわり注文」の連鎖でホールを走り回っている状態だった

「ホールスタッフの仕事はおかわり提供以外にもたくさんの仕事があります。『ご飯おかわりください』と言われお持ちしたところで、今度は『あ、追加でキャベツも』と注文される方がいます。さらにキャベツをお持ちすると、お連れ様が『こっちもご飯』と頼まれることもあります」

 そうすると、何度も同じ客の席に行ったり来たりしなければならず、時間がムダになってしまうのだ。

 しかし、長年働いていた加藤さんはこれらの問題において解決策を見つけたそうだ。

「最初におかわりを注文された際に、『ほかにキャベツやお味噌汁おかわりはいかがですか?』と聞くようにしました。そうすると、お客様は一度で注文できますし、お連れ様だけではなく近くの席のお客様も一緒に頼んでくれることが増えたんです」

 効率よく仕事をすることで料理の提供がスムーズになり、客に喜んでもらえたと笑顔で答えてくれた。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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