この記事をまとめると
■トヨタのコンパクトモビリティ「C+pod」はどれぐらい売れているのか
■販売比率は法人が75%個人が25%となっており、個人は60代以上の利用が多い
■販売台数は約2000台で2024年夏ごろの生産終了が決まっている
2020年12月にかつてない独特な乗りものとして誕生
トヨタの電気自動車といえばbZ4Xを思い浮かべる人が多いかもしれないが、それよりも前に登場したのが「C+pod」だ。
ふたり乗りのコンパクトなこのモビリティは、いままでの自動車にはない独特の乗り物といえるが、実際のところどれくらい売れていて、どんな人が利用しているのだろうか?
C+podってどんなクルマ?
改めてだが簡単にC+podを振り返ろう。2020年末に登場したC+podは、全長2490mm×全幅1290mm×全高1550mmというボディサイズで、軽自動車よりも小さなものだ。最小回転半径は3.9mと非常に小さく、狭い道を走りやすく切り返しもしやすい仕様になっている。
最高速度は60km/hで、航続距離は150km。室内幅1100mmの空間にはシートがふたつ並列で並べられている。シート後ろにはラゲッジスペースが設けられていて、日常的な買い物だけならば事足りそうな雰囲気だ。
とってもコンパクト! そんな印象のC+podが目指したのは人の移動におけるひとりあたりのエネルギー効率。ひとりでクルマ移動をするときはどうしても余分な空間が生まれて、エネルギーを無駄にしてしまう。それならば少人数の移動に適したモビリティを作ろう。そんな背景から生まれたのがこのC+podといえるだろう。
当初は法人ユーザーや自治体など限定的なユーザーに販売していたが、約1年後の2021年末には個人ユーザーも対象とした。なお、販売はすべてリース契約だ。
超小型モビリティよりも軽自動車が日本にはあっていた
どれくらい売れているの?
ではC+podはどれくらい売れたのだろうか? 販売から約3年弱が経過した2023年11月時点での販売台数は約2000台だ。正直3年弱で約2000台という数字は売れているとはいえないだろう。
また、法人と個人での販売比率を見てみると、法人が75%で個人が25%となっている。航続距離が短く、乗車定員なども限られているため、日中にいくつかの訪問先をまわるといったような、使用用途に変化が少ない法人のほうが使いやすいという側面があるのだろう。エネルギー効率として考えれば、少人数での個別移動のコストを下げたい法人には適したモビリティともいえる。
反対に、個人ユーザーにとっては、航続距離や乗車定員などが限られているため融通が利かず、唐突に人を乗せたり、遠くまで行ったり、荷物を載せたり、といったようなもしもを考えると選択肢としては難しいのかもしれない。
なお、個人ユーザーの内訳は、60代以上が7割を超える結果となった。見方を変えれば、60代以上は日ごろの足としてモビリティに求める要素が限定しているともいえる。
残念ながら生産終了の予定
新しいカタチのモビリティとして登場したC+podであるが、非常にコンパクトなふたり乗りとある意味コンセプトが尖り過ぎていたのか、2024年夏ごろに生産終了となることが発表されている。
航続距離などの問題ではなく、コンパクトで汎用性が低いのが理由ではないだろうか。軽自動車EVのサクラ&eKクロスEVがある程度の成功を納めていることを考えると、電気自動車のコンパクトモビリティとして市場が求めたベストなカタチは軽自動車であったといえるだろう。C+podはいささか小さすぎたのだ。
電気自動車の普及とトレンドはまだ始まったばかり。今後はどのようなコンパクトモビリティが出てきてトレンドを作っていくのか? その点にも注目していきたい。
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