近い将来世界中で「K-CAR」が賞賛される!? 日本でバカ売れする軽自動車がもつ限りない可能性

この記事をまとめると

■日本では軽自動車の人気が高く、新車販売の40%を占める場合もある

■維持費の安さやデザイン、運転のしやすさが人気の理由だ

■海外では、軽は走行性能、サイズ、価格が折り合いが合わないため普及が進んでいない

軽自動車は日本の新車販売比率の約4割を占める

日本では軽自動車の人気が高い。2023年には、国内で新車として売られたクルマの37%が軽自動車だった。月別の販売データを見ると、軽自動車比率が40%近くに達することもある。

 軽自動車がここまで人気を高めた背景には複数の理由がある。それは、今も昔も変わらない魅力は税金の安さだ。クルマを所有していると、さまざまな税金を徴収される。そのために軽自動車は、ひとりに1台の割合で数台のクルマが所有される地域で人気が高い。1.3リッターエンジンを搭載するコンパクトカーを4台所有すれば、毎年納める自動車税だけでも、3万500円×4台=12万2000円になる。それが軽乗用車なら、1万800円×4台=4万3200円で済む。

軽自動車がいまだに日本専売のスタイルを貫いている謎

 ただし、軽自動車が好調に売られる理由は、税金の安さだけではない。もっとも大きな魅力は、日本のユーザーを見据えて開発されることだ。ちなみにいまの日本車メーカーは、世界販売台数の80%以上を海外で売る。そのために海外向けの商品を日本国内へ流用することも多いが、軽自動車は違う。

一部の例外を除くと、大半の車種が日本の専売車種として開発される。従って内外装のデザイン、居住空間や荷室の使い勝手、運転感覚まで、すべてが日本向けだから販売も好調なのだ。

軽自動車がいまだに日本専売のスタイルを貫いている謎

 表現を変えると、軽自動車は、もっとも日本車らしい日本車といえるだろう。そのために海外の人達が軽自動車を見ると必ず感心する。小さなボディに広い室内が備わり、シートアレンジも多彩で、装備も充実するからだ。これだけ軽自動車が優れているなら、海外で販売してもいいだろう。スズキ・ジムニーの排気量を拡大したジムニーシエラなどは、実際海外でも売られるが、そのように扱われるモデルは少ない。

軽自動車がいまだに日本専売のスタイルを貫いている謎

軽自動車は海外市場とじつは相性が悪い?

 この理由を開発者に尋ねると以下のように返答された。

軽自動車は、いわば箱庭のようなクルマで、小さなボディに多彩な機能を凝縮させている。このよさは、海外のお客様にも理解できるだろう。ただし北米で使うには、ボディが明らかに小さく、欧州でも走行性能に不満が生じる。新興国には適するが、日本の軽自動車は品質が高いこともあり、価格が折り合わない面もある」。

 つまり軽自動車は、コストも相応に費やして日本向けに造り込んだから、市場によっては品質が過剰になるという。

軽自動車がいまだに日本専売のスタイルを貫いている謎

 そのために軽自動車は、一部の車種を除くと海外では販売されないが、近年はかつての新興国も所得が高まって衝突安全基準も上昇した。これを受けてダイハツでは、日本の軽自動車コンパクトカーと共通のDNGAに基づいたプラットフォームを使って、新興国向けの車両を開発している。

軽自動車がいまだに日本専売のスタイルを貫いている謎

 そうなると、今後の展開としては、海外でも軽自動車を販売するかも知れない。とくに二酸化炭素の排出抑制が主目的になる電気自動車は、日産サクラのように、軽自動車の規格で開発すると高い水準で目的を達成できる。いまの電気自動車を見ると、長距離を移動するために、大きなボディに大容量のリチウムイオン電池と強力なモーターを搭載する車種も多い。これでは車両重量も増加して、肝心の二酸化炭素の排出抑制には、優れた効果を生み出せない。価格も高まる。

軽自動車がいまだに日本専売のスタイルを貫いている謎

 その点で軽自動車サイズの電気自動車は、短距離の移動に限れば、二酸化炭素の排出抑制効果も大きい。この価値は日本国内に限らないだろう。近い将来、日本の軽自動車が世界で賞賛される時が来るかも知れない。

軽自動車がいまだに日本専売のスタイルを貫いている謎

近い将来世界中で「K-CAR」が賞賛される!? 日本でバカ売れする軽自動車がもつ限りない可能性