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くるりのオフィシャルサポーターズクラブ「純情息子」の会員限定イベントが3月8日に大阪・BIGCAT、3月12日、13日に東京・LIQUDROOMで開催された。この記事では13日に行われたファイナル公演の模様をレポートする。

【写真】ライブ中に突然現れたくるりのマネージャー(ほか写真16枚)

岸田繁(Vo, G)と佐藤征史(B)は、バンドメンバーの松本大樹(G)、野崎泰弘(Key)、石若駿(Dr)とともに姿を現すと、20年前にリリースされたアルバム「アンテナ」の収録曲「グッドモーニング」でライブをスタート。ゆったりした演奏と伸びやかな歌声を届け、「五月の海」へ続ける。彼らは「ノッチ5555」でキレのある演奏を繰り広げたのち、「水中モーター」を披露。グルーヴィなサウンドでフロアには揺れが広がっていき、その揺れは次曲「jumbo」で倍増する。「jumbo」では佐藤がリードボーカルを担い、岸田はドン・キホーテで買ったという黄金のマスクで顔半分を覆いながら演奏した。

ここまでシングル曲一切なしというFCイベントならではのセットリストでライブを展開してきたくるり。MCで岸田は「純情息子の皆さんからあらかじめいただいたリクエストを集計しまして、その上位から演奏してます」と語り、それを受けた観客の反応を見て「意外そうですね。入れた覚えないけどってこと?」とツッコんだ。ライブ中盤では、岸田、佐藤、野崎の同学年3人が、間接照明が温かく灯った空間でCHAGE and ASKAの「クルミを割れた日」をカバー。岸田からリードボーカルを託された野崎は、「僕の歌はチケット代に含まれてないんで」と謙遜しつつも、伸びやかなハイトーンボイスを堂々と響かせた。その後くるりは、2人だけで「坂道」を披露したり、石若と3人で「Brose&Butter」を演奏したりと、ミニマムな編成でファンと親密な時間を過ごした。

再び5人編成に戻ったくるりは「ハム食べたい」「BLUE NAKED BLUE」などを演奏し、激しくも端正なアンサンブルを鳴らしていく。「BLUE NAKED BLUE」のセリフパートでは舞台袖からマネージャーが姿を現し、口上を述べた。「マーチ」での衝動的な演奏ののち、岸田は「ここまでが皆さんのリクエストをもとに決めた曲でした」と語り、「最近の曲をやらせてください」と最新アルバム「感覚は道標」より「California coconuts」「In Your Life」を披露。磐石の演奏でくるりの現在地を示し、5人はステージをあとにした。

アンコールの拍手を受けて1人姿を現した岸田は「普段のライブではアンコールを何曲もやったり、椅子に座って照明が出てくる演出とかないんですが、今日はやりたい放題やらさせてもらいました。普段はピアノ弾きませんが、皆さんからのリクエストに挙がった曲をやらさせていただきます」という言葉に続けて「カレーの歌」を弾き語り。温かくも切ないピアノの調べに乗せて、素朴な歌声をじっくり聴かせた。その後2人になったくるりは、「遥かなるリスボン」をたゆたうように披露。さらにダブルアンコールでは、5人編成で「ポケットの中」が演奏され、場内はしっとりした空気に包まれる。ラストに5人は「潮風のアリア」で壮大かつ穏やかな世界を描き、ライブを締めくくった。

セットリスト

「くるりオフィシャルサポーターズクラブ『純情息子』限定イベント」2024年3月13日 LIQUDROOM

01. グッドモーニング
02. 五月の海
03. ノッチ5555
04. 水中モーター
05. jumbo
06. 魂のゆくえ
07. 真昼の人魚
08. 京都の大学生
09. クルミを割れた日(原曲:CHAGE and ASKA
10. 坂道
11. Brose&Butter
12. 雨上がり
13. ハム食べたい
14. 犬とベイビー
15. BLUE NAKED BLUE
16. マーチ
17. California coconuts
18. In Your Life
アンコール
19. カレーの歌
20. 遥かなるリスボン
<ダブルアンコール
21. ポケットの中
22. 潮風のアリア

「くるりオフィシャルサポーターズクラブ『純情息子』限定イベント」東京公演2日目の様子。(撮影:三田村亮)