カラパイアの元の記事はこちらからご覧ください

 自然界では今日もどこかで生きるための死闘が繰り広げられている。特に鳥の世界では、巣を巡る争いが絶えない。人間だったら住居侵入の罪に問われるが、鳥の世界では巣の奪い合いが日常茶飯事なのだ。

 この映像は、キツツキ科のアカゲラが、自分の巣を占拠したムクドリを、その鋭いクチバシを使って追い出そうとする瞬間をとらえたものだ。

【画像】 ムクドリが奪った巣を取り返そうとするアカゲラ

 アメリカ、ミシガン州で、自然動物写真家のエミリー・トルンガさんは、ある日キツツキの仲間であるアカゲラの姿を目にした。

 木の幹に穴をあけて作った巣の前で動いていたので、最初は巣の中の掃除をしているのかなと思ったらそうじゃなかった。

 ムクドリがアカゲラが出かけている間に巣を乗っ取り、ちゃっかりと中に住んでいたのである。これに怒ったアカゲラが、「私の家から出ていけ!」と力づく、いやクチバシづくで追い出そうとしていた所だったのだ。

1

 好戦的なムクドリも居住権を主張していたようで、「追い出せるもんならやってみな」とばかりに巣の中からクチバシで応戦。はげしい突つきあいとなった。

 この勝負、元の所有者であるアカゲラが、自由に動ける分有利に働いたようで、結局ムクドリは巣から引きずり出され、アカゲラは無事巣を取り戻すことができたようだ。

[もっと知りたい!→]「誰が上なのかわからせてやる」圧倒的勝者感。フクロウがキツツキのいる木に舞い降りにらみつけるその威圧力ったら!

no title

外来種のムクドリは他の鳥の巣を奪いがち

 このムクドリはホシムクドリ( Sturnus vulgaris ) で、もともとはヨーロッパやアジア、アフリカに生息している種だ。

 だが1890年、シェイクスピア作品に出てくる全て鳥の種をアメリカに紹介したいと考えた、シェイクスピア愛好家によってニューヨーク市のセントラルパークに放たれところ、その繁殖力の強さと知能の高さで大増殖し、今ではアメリカの在来種の生態系に悪影響を与える敵対的外来種となっている。

 ムクドリは、他の鳥の巣を奪うことで知られている。アカゲラのように木の幹に穴を掘って巣をつくる能力はないので、他の鳥が作った巣穴や人工物を拝借する。

 ムクドリは他の鳥の巣を見つけたら中にヒナがいようが、攻撃して殺すことをいとわないという。

 アカゲラにとって、ムクドリは自分の巣やヒナを奪っていくとんでもない敵だが、今回は無事巣を死守することができたようだ。

[もっと知りたい!→]ヒッチコックの世界が現実に!?数千もの真っ黒な鳥が駐車場を覆い尽くす終末的光景(アメリカ)

 アカゲラは世界各地に生息しており、縄張り意識が強い鳥なため、攻撃的なムクドリとの戦いにもひるまずに真っ向から挑むという。

 だが、1966年から2019年にかけてアカゲラの個体数は54%減少した。これは適切な巣を作るための木が伐採されていることが主な原因だ。

 そこにもってきて外来種のムクドリに巣を奪われちゃうんだから、彼らの受難はまだまだ続きそうだ。

/ written by konohazuku / edited by / parumo

 
画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

出ていってもらおうか。巣を盗んだムクドリをクチバシで引きずり出すキツツキ