熊本県には知らない人はいないという隠れ銘菓「リキュールマロン」の魅力とは?

 全国各地の銘菓といえば、名前を聞いてすぐピンと来るものがたくさんありますよね。たとえば広島の「もみじ饅頭」や三重の「赤福餅」、山梨の「信玄餅」、宮城の「萩の月」などなど、みなさんも一度は食べたことがあるのでは?

 そんな中、案外知られていない“隠れ銘菓”というのも日本各地に存在します。今回ご紹介するもそんなスイーツ。それが九州・熊本県の隠れ銘菓『スイス洋菓子店』の「リキュールマロン」というお菓子です。

 熊本県民なら誰もが知っている……ハズですが、筆者の周りには案外「スイス洋菓子店は知っているけど、『リキュールマロン』は知らない」という熊本県人もいたので、その隠れ銘菓の美味しさをご紹介していきたいと思います。

「リキュールマロン」はサバランのようなモンブランのような大人の味

銀座5丁目にある『銀座熊本館』では熊本の名産品や土産ものが1500点余り常時販売中
銀座5丁目にある『銀座熊本館』では熊本の名産品や土産ものが1500点余り常時販売中

 筆者はこの「リキュールマロン」の存在を、東京・銀座にある熊本県アンテナショップ『銀座熊本館』を訪れたときに知りました。

 熊本の名物といえば、「馬刺し」や「辛子蓮根」、「いきなり団子」、「アベックラーメン」、ふりかけの「御飯の友」などは知っていましたが、『銀座熊本館』では販売している約1500ものアイテムの中で人気ベスト3が表示されており、そこに「リキュールマロン」があったのです。ちなみに一位は、「馬刺し」、2位は「南関あげ」、3位が「リキュールマロン」という順位でした。

『銀座熊本館』の人気ベスト3
『銀座熊本館』の人気ベスト3

 馬刺しは知っていますが、2位の「南関あげ」や3位の「リキュールマロン」は熊本県民でない筆者は知りませんでした。そこでお店の方に聞いてみると……。

「南関あげ」は、味噌汁や煮物に使うと美味しい揚げ豆腐だそうです。全国的に流通する“油揚げ”のようなものでしょう。ただし、「南関あげ」は水分を極限まで抜いてあるため、長期保存が可能。いわゆる“乾物”のジャンルに入りそうですね。

「南関あげ」(小)211円
「南関あげ」(小)211

 そしてもう人気3位の「リキュールマロン」は、熊本で1962年に創業した『スイス洋菓子店』のロングセラー商品です。創業当時から変わらぬ製法で作っている洋菓子なんだとか。

 店先にあった商品紹介のコピーには、“言わずと知れたミドリの銀袋にくるんだバターケーキ”と書いてあります。この文言で、熊本で相当有名な商品であることがわかりますが、熊本県民でない人にとっては味の想像がつきませんよね。というわけで、さっそく購入して食べてみることに。

熊本生まれの元祖マリトッツォ?

「リキュールマロン」の緑色の銀袋を開けると、丸っと大きなケーキが入っている
リキュールマロン」の緑色の銀袋を開けると、丸っと大きなケーキが入っている

 緑色の銀袋1個を手のひらに載せると、ずっしり重くてびっくり。昭和レトロな雰囲気のパッケージから「リキュールマロン」を取り出してみます。

 一瞬、どこかで見たようなビジュアルだなぁと思ったのですが、数年前に全国各地で大流行した「マリトッツォ」に似ていませんか? マリトッツォはケーキではなくパンに生クリームがサンドされていましたが、この「リキュールマロン」は上下がケーキ。そして中のクリームはバタークリームがたっぷり。

「リキュールマロン」を半分にカットした図
リキュールマロン」を半分にカットした図

 この写真をご覧ください。注目は下部のケーキの底。リキュールが滴(したた)るくらい染み込んでいるのがおわかりでしょうか。このたっぷりのリキュールのせいもあって、ズシッと重量感があるのです。

 実際に食べてみると、ケーキ部分は非常にキメ細かくしっとり。そして間のバタークリームは、もったり濃厚。そこに粗く刻んだ熊本県産渋皮栗渋の粒が散りばめられています。だから歯や舌で感じる食感は、しっとり、もったり、ぼってり、つぶつぶ、シャクシャクと実に多彩。

 そして味わい的には、リキュールのお酒の風味とスッキリした甘み、そしてバタークリームの重いコク、さらに栗の甘み、渋みが押し寄せてきます。

 サバランのようでもあり、モンブランのようでもあり。ただ、アルコール分が強いので、子どもさんやお酒に弱い方はやめておいほうがいいかも。その代わり、お酒好きにはたまらないスイーツです。

まとめ

東京・銀座にある熊本県のアンテナショップ『銀座熊本館』でも「リキュールマロン」は大人気[食楽web]
東京・銀座にある熊本県アンテナショップ『銀座熊本館』でも「リキュールマロン」は大人気[食楽web]

 形はシンプルでクラシックですが、味の方向性はモダンおしゃれ。表現が難しいのですが、音楽で言うと、クラッシックとジャズをかけ合わせたような、優雅さとかっこよさを併せ持ったようなケーキです。

 というわけで、熊本の隠れ銘菓「リキュールマロン」。正直行って、けっこうやみつきになる美味しさでした。『スイス洋菓子店』のオンラインショップでお取り寄せも可能なので、まだ食べたことがない方は、ぜひ一度味わってみてください。

(撮影・文◎如雨露)

『スイス洋菓子店』の「リキュールマロン」1個439円 | ⾷楽web