静岡県御殿場市NPO法人が所有する80年前の戦車改造ブルドーザーがこのたび披露されます。なお、当日は九州で教材として使われていた戦車エンジンも展示されるそうです。

「戦後復興の生き証人」的激レア車お披露目へ

静岡県御殿場市にあるNPO法人「防衛技術博物館を創る会」は、このたび約80年前に日本国内で造られた戦車改造ブルドーザーの見学会を2024年4月7日(日)に開催すると発表しました。

この車両は、1945年8月の太平洋戦争終結に伴い必要なくなった旧日本陸軍の九五式軽戦車を、戦後の土木工事などで使うためにブルドーザーに改造したシロモノです。

当時の日本では、戦後復興に役立てるために多くの戦車や装甲車ブルドーザーに改造されました。これらは「更生戦車」や「更生ブルドーザー」などと呼ばれ、一説によると通常のブルドーザーの3分の1程度の低価格で販売され、戦後日本では格安の建設機械として重宝されたとか。戦車・装甲車合わせて数百台が改造され、全国各地で土木工事や田畑の開墾などに使われたといいます。

ただ、即席的な改造だったためか、ブルドーザーとしての使い勝手はイマイチだったようで、終戦から10年ほどが経過した1955年頃には、専用に設計・製造されたブルドーザーが、国産の新車、アメリカ製の中古問わず数多く市場に出回るようになります。その結果、使いやすいそれら専用車に更新されて、「更生戦車」の多くがスクラップとして処分されてしまったそうです。

今回、当該NPOが入手した「戦車改造ブルドーザー」は、建設機械としての役割を終えた後も、製材所などでの重量物牽引車、そして除雪や整地作業などを行う支援車両として平成・令和まで生き延びた激レア車です。

言うなれば「戦後復興の生き証人」と形容できる車体が、このたび静岡県御殿場市で見られます。

国内に現存! 80年生き抜いた旧軍戦車のエンジンも

見学会は冒頭に記したように、2024年4月7日(日)に開催されます。場所はカマド自動車本社(静岡県御殿場市かまど717-6)、入場は無料で当日は10時開場で14時30分終了の予定です(15時会場閉鎖)。

なお、来場者の集まり具合を見て、エンジン始動ならびに10m程度の展示走行を随時実施するとのこと。小雨の場合は決行するものの、荒天時含め中止する際の連絡は公式X(旧twitter)や公式facebookなどで当日朝6時に一斉配信するとしています。

また、当日は九州大学内燃機研究室より寄贈されたA6120VD型エンジンも展示するそうです。このエンジンは、前出の「戦車改造ブルドーザー」の原型となった九五式軽戦車向けのディーゼルエンジンで、長らく大学構内で教材として使われていたものになります。

車両に搭載されていない状態のエンジンを隅々まで見ることはなかなかできないため、こちらも貴重な機会といえるでしょう。

九五式軽戦車改造ブルドーザー(画像:NPO法人防衛技術博物館を創る会)。