ひと昔前は「出会い系」と言われ、利用すること自体がはばかられるような風潮があったマッチングアプリ。しかし、現在は5人に1人がマッチングアプリで成婚しているというデータもあるようだ。とはいえ、「この人となら人生を共にできる」と思える相手を見つけることは一朝一夕なことではない。何人もの人とデートを重ねるのには時間もお金もかかり、“婚活疲れ”という状態になってしまうこともある。

【漫画】マッチングアプリで婚活!デートを重ねても運命の相手は見つからず。とある男性の奮闘記!

そんなマッチングアプリを利用した婚活模様を描いた角野ブタ煮さんの体験漫画「恋愛経験ほぼゼロ!の僕がマッチングアプリで幸せを掴むまで」が話題だ。もともと女性と話すのが苦手というブタ煮さんがどうやって“運命の相手”と出会い、そして2人の関係を育んでいったのか。2人の温かで誠実な関係性はInstagramでの連載時から多くの読者を惹きつけてきた。ブタ煮さんに、どのようにマッチングアプリと向き合ってきたのか話を聞いた。

■デートに失敗しても「自分の恋愛経験値が上がっている」と考えてモチベーションを維持

――マッチングアプリの利用に怖さや抵抗感はなかったんですか?

マッチングアプリに対する抵抗は多少ありましたね!当時は、今ほどマッチングアプリという言葉が浸透していなくて、いわゆる出会い系サイトのような、見知らぬ人と出会う、少し危ないイメージでした。周囲に利用している方はいませんでしたね。ただ、僕自身職場での出会いが少なく、合コンのような大人数の出会いも苦手だったので、最初から1対1で出会えるマッチングアプリを選びました。

――マッチングアプリは初回のデートまでこぎつけるのが大変なイメージがあります。ブタ煮さんはコンスタントにお相手とのデートができていますよね。どんなことを心がけていましたか?

そうですね……マッチングアプリでは、主にメッセージのやりとりになるので最初は警戒心を解いてもらうところから始めました。お相手のプロフィールをよく読んで、共通の話題を振ったり、出身地や職業などの当たり障りのない話題で距離を縮めることが大切なのかなと思います。そして、メッセージが落ち着いた段階で「好きな食べ物」の話題を振り、そこからお食事デートにつなげることが多かった気がします。また最初から夜ご飯だと警戒されることも多いので、初回はランチやカフェなどお昼に設定することを意識しておりました!

――体験記では「数えるのを途中でやめたくらい多くの女性とお会いした」とありましたが、実際はどれくらいの人数とお会いしたんでしょうか?

毎週1人以上に会っていたので、半年間で30人近くの方とお会いしました。

――それはすごい!運命の相手となった“タイヤキさん”以外にも、2回目以降のデートにつながった方はいらっしゃったんでしょうか?

2回目のデートにつながった方も5人くらいはいたと思います……。が、僕自身トークを広げるのが苦手だったので、2回目3回目……とデートを重ねるごとにつまらなくなってしまうという負のジンクスを抱えておりました(汗)。

――それだけ「初めまして」の方とお会いして、なかな次につながらないとなると婚活疲れを感じるのも納得です。何が婚活を続けることのモチベーションになったんでしょうか?

やはり恋人が欲しいというのが一番のモチベーションですが、多くの方とデートを重ねることで「自分の恋愛経験値が上がっている」と考えて、モチベーションを維持していました。メッセージのやり取りを通して自然なアプローチを学んだり、2回目のデートへつながる経験が増えたことを自信にしたり、今回はダメでも着実に前に進んでいる!と捉えて婚活疲れを乗り越えました。

――ご自身の経験を踏まえ、マッチングアプリで恋活・婚活をされている方にアドバイスを送るとしたらどんなことがありますか?

僕自身、真面目に婚活していて最初は一喜一憂しておりましたが、マッチングアプリは出会いにあふれているので、少し俯瞰的に見るのも大切なのではないでしょうか?たくさんの方に出会うことで自分の好きなタイプがわかったり、居心地のよいパートナーが見つかったりすると思うので、肩の力を抜いてデートを楽しむことも大切なのかなと思います!

――作中では、告白や初めてのお泊まりがどんなふうだったかも描かれています。都度、タイヤキさんのことを気遣って段階を踏んでいるブタ煮さんの姿が印象的でした。こうした姿が読者の方からも好感を持たれているのだと思いますが、ブブタ煮さんは、ご自身の行動をどう思われていますか?

女性に気遣いしているといえば聞こえがいいですが、僕自身は勘違いしたくないのも大きいと思います(笑)。告白のときもそうですが、ちゃんと宣言することでお互いに安心してお付き合いできると思いますし、言葉できちんと伝えることでお互いの意思を尊重したいのだと思います。同棲にあたってはご両親にあいさつしたことで、彼女の人となりがわかり、より真剣に交際しようと思いました。

――同棲といえば、家事をどこまでやるのかという部分でお二人が初めて喧嘩をしてしまいましたね。作中ではタイヤキさんがブタ煮さんに対して「こうしてほしい」というリクエストをはっきりと出し、ブタ煮さんが少し我慢しつつ合わせているという状態でした。ブタ煮さんからはタイヤキさんに対してどうしてほしいという話はあまりしないでいたんでしょうか?

同棲では彼女のレベルに合わせられず喧嘩になってしまいましたが、僕から彼女にお願いすることは少なかったように思います。僕の家事レベルが低すぎて基本的にやってもらいたいことすらない感じです……(笑)。

――ご夫婦となられて、いまはどのように話し合っていますか?

現在もたまに意見が合わないこともありますが、お互い我慢せずに気持ちの根源「こう思うからこうしてほしい」を伝え合うように心がけています。

――Instagramでの連載が電子書籍化にもつながりました。Instagramで漫画を描くようになったきっかけを教えてください。

もともとInstagramで育児エッセイや体験談を読むのが大好きで「男性目線で婚活漫画を描いたらおもしろそう!」と思い、漫画を描くことにしました。自分に起こった出来事を人に話すのが好きなんですよね。作品の発表場所はいろいろあると思うのですが、Instagramは投稿数も10枚で描きやすく、ターゲット層もアラサーの方が多いので選びました。現在4年近く続けられているので、Instagramの雰囲気が自分に合っているんだと思います。

――漫画に関して、今後の目標や夢はありますか?

現在Instagramで妊活編を描いておりまして、不妊治療をしている方や幅広い年齢層の方から参考になるコメントをいただいております。大きい目標ではありませんが、これからも自分の経験を漫画という形にして、それを楽しんでもらえたり、誰かのお役に立つことができたら幸いです。

取材・文=西連寺くらら

結婚への憧れから、マッチングアプリを試すことにした角野ブタ煮さん。デートを繰り返すも、“運命の相手”に出会うためにはさまざまな条件クリアが必要なことを知っていく/(C)角野ブタ煮/KADOKAWA