ダルビッシュの渾身の一球を捉えた大谷。この一打に球場も大いに沸いた。(C)Getty Images

 初陣は上々のスタートとなった。現地時間3月20日ドジャース大谷翔平は、韓国・ソウルにある高尺スカイドームで行われたパドレスとの開幕戦で5打数2安打、1打点、1盗塁を記録。5-2での逆転勝ちに大いに貢献した。

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 大谷にとっては、新天地ドジャースでのデビュー戦でもあり、少なからずプレッシャーもある試合。ゆえに緊張感からか珍しく硬さもあった。今月15日の訪韓後に行った前哨戦となるエキシビションマッチ2試合での打撃成績は5打数無安打、2三振とからっきし。移動による疲労の影響はあったにせよ、打席内で精彩を欠き、首を傾げる姿も見られた。

 ただ、本番では見事にアジャストしてくる。だからこそ、大谷は「違い」を生み出すのだ。ポイントとなったのは、たった1回のスイングだ。

 相手先発を務めたダルビッシュ有と2度目の対峙となった3回2死無塁の局面での第2打席だ。カウント1-1からの3球目を豪快に引っ張ると、「パカンッ」という乾いた音とともにライト方向に飛んで行った打球はあっという間に天井に直撃する特大ファウルとなった。

 惜しくも本塁打とはならなかったが、打球速度は119.2マイル(約191.8キロ)の自己最速。この「憧れの存在だった」というダルビッシュに対して見せた会心のスイングが、硬さを解いた。直後には112.3マイル(約180.7キロ)の弾丸ライナーとなる強烈な右前打を放ち、移籍後初ヒットを記録。チームが5-2と逆転に成功した8回には、1死一、二塁の好機で左前適時打を放ち、移籍後初打点もマークした。

 出色のパフォーマンスを見せた大谷を指揮官も称える。地元局『LA Sports Net』が報じた試合後の会見でデーブ・ロバーツ監督は「ショウヘイにとっては全体的に良い夜だった」と分析。そして、あと一歩で特大ホームランとなる打球を生み出した凄まじいスイングを、こう振り返っている。

バッターってものは時として、たったひとつのスイングがキッカケで感覚を取り戻したりするものだ。今日の試合中にショウヘイが見せたあのファウルはとても良いスイングだったし、それがその後のヒットに繋がったと思う」

 鮮烈なインパクトを残したソウルでの“デビュー戦”は、感覚を取り戻したであろう明日以降の試合が楽しみになる内容だった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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