AKB48を卒業する柏木由紀(左)と総監督に就任した倉野尾成美
AKB48を卒業する柏木由紀(左)と総監督に就任した倉野尾成美

17年過ごしたグループを間もなく卒業する柏木由紀と、3月17日より4代目AKB48グループ総監督に就任した倉野尾成美による、最初で最後のメモリアル対談! レジェンドアイドルの金言を胸に、AKB48の新時代を切り開け!

【写真】柏木由紀×倉野尾成美メモリアル対談

■総監督としてやりたいこと

――最初に、ふたりはどんな関係性なのかなと。年齢は9歳違います。

柏木 後輩によってテンションやしゃべる内容を変えるんですけど、なるちゃん(倉野尾成美)とは一番自分のままでいられる。後輩と話してる感じがあんまりないかも。聞き上手だし。

倉野尾 でもゆきさんと普通にしゃべれるようになったのはここ2、3年です。やっぱりスーパーアイドルですし、私が会話していいのかみたいなのありましたもん。

――"ゆきりん"じゃなくて、"ゆきさん"呼びって距離ありませんか?

柏木 いや、実はそのほうが近いんですよ。そう呼んでるのは(向井地)美音、(村山)彩希(ゆいり)、なるちゃんぐらいかな。

――最新の話題といえば、倉野尾さんが4代目48グループ総監督になりました。倉野尾さんはもともとチーム8で、同じグループだけど初期は別組織みたいな感じで、AKB48をライバル視してるメンバーでした。

倉野尾 その流れで言うと、自分が総監督になったのは不思議でならないんですけど(苦笑)。チーム4のキャプテンをやったのがすごく大きかったです。メンバーとの距離を縮めなきゃって、積極的に話すようになったら楽しくて、周りからも明るくなったねって。

自分が気づいてなかった、メンバーとの絡みの楽しさ、それを公演のMCで話すとファンが喜んでくれる、そういうもの全部ひっくるめて、メンバーともっと仲良くなりたいなと。だから総監督の話はすごくうれしくて、すぐに「はい」って答えました。

――柏木さんは、倉野尾さんのどのあたりが総監督向きだと思いますか?

柏木 今のAKB48をパフォーマンスで引っ張ってくれるんです。レッスンでもみんなに教えてくれたりして、なるちゃんの言うことを聞こうというベースができてるので、そこも大きいです。

倉野尾 自分が頑張ってきた部分でもあるから、そこを頼ってもらえるとうれしくなっちゃうんですよね。

――総監督としてやりたいことは?

倉野尾 ツアーをやって全国の皆さんに会いに行きたいです。ファンの方が求めてることをやりたいし、あとはメンバーと楽しくやれたらいいな。

――ファンからの要望も多そうですね。

倉野尾 自分だけじゃ実現できないけど、それを(運営に)伝えることはできると思う。

柏木 でも意見の窓口にはならないでほしいな。ツアーをかなえたいって気持ちもめちゃくちゃわかるけど、そこは総監督の仕事じゃない。

内容をこうしたいとかはできるけど、決定権はないじゃないですか。ファンの人も、「◯◯をやってほしい」とかはAKB48の公式のアカウントとかに言うべき。

――昔は劇場支配人という、窓口となるスタッフがいましたよね。

倉野尾 でも、メンバーが思ってることを代表して言う人にはなりたいと思います。

■『遠距離ポスター』は私の代表曲

――柏木さんの17年の歴史を週プレとの関わりを軸に振り返ろうと思うんですが、ざっと調べただけでもソロと集合で50回ぐらいは出ていただいてます。初のグラビア(2007年)も週プレでした。

柏木 先輩がたくさんいる中で、同期はまゆゆ渡辺麻友)とふたりだけ。泊まりでグラビアのロケに行くのが怖いなと(苦笑)。しかもまゆゆは別の班で撮影してたから、実質ひとりだったんですよ。

でも奥(真奈美)ちゃんとか、先輩だけど年下のメンバーが優しくしてくれて、ギリギリなんとか。ソロ撮影のときだけ唯一楽しかった記憶があります。

――続いて週プレといえばチームPB。編集部が選んだ7人がヤンジャンの選んだチームYJと誌面で戦う企画(2009~2010年)でした。

柏木 チームPBが勝利してサイパンへ行ったんですよ。2泊でしたっけ。初日は着いたのが午後で、翌日はずっと撮影。最終日もギリギリまで撮影で、お買い物もほぼできず......。ご褒美ロケって聞いてたのに!!

――すみませんでした。

柏木 でも選ばれてのセンターは初で、そこですごく知ってもらえて、きっかけをたくさんつくっていただきました。

柏木由紀
柏木由紀

――チームPBの『遠距離ポスター』は、今も歌っていただくことが多いですね。

柏木 歌うにつれてどんどん曲の良さに気づいて、ファンの方もめちゃめちゃ好きで、ライブでは絶対に盛り上がるんですよ。私の代表曲です。

倉野尾 最近YouTubeで1000万回再生いったんですよね。

――あとは『水着サプライズ』(2009~2017年)。AKB48選抜総選挙の結果をグラビアにした本です。

柏木 撮影が総選挙の翌日なんですよね。ランクインした全員が朝イチからひとつのスタジオに集まって撮影するという。順位によって水着がゴールドだったり、赤だったり。

私はありがたいことに徐々に順位が上がっていったので、選挙結果のうれしさを実感できる最初の現場だったんですけど、一方では落ち込んでるコもいたり、マジでカオスな現場。今思うとめっちゃAKB48っぽいお仕事でしたね。

■今のAKB48はマジでかわいい

――柏木さんから見た今のAKB48って?

柏木 めっちゃまとまりある感じがします。レッスンとかを通して、みんなで意見を言い合って、高め合って、ひとつの目標に向かう。令和の体育会系みたいな。圧はなく、みんなで楽しく頑張りたいという感じで、すごくいい環境だなって。

昔は、個々で頑張ればそれがグループの勢いにつながるというところがありましたけど。だからパフォーマンスも、それぞれが競って。

――それこそ柏木さんがウインクを決めるとかも。

柏木 ほかと違うことしないと目立たない時代でしたね。ダンスをそろえてくださいとか、なかったですもん。

――それが変わったのはいつなんですか?

柏木 『根も葉もRumor』(2021年)が分岐点かもしれないです。ロックダンスで、とにかく全員でそろえなきゃいけない。たくさん練習しないとできない曲が来たんですよ。

倉野尾 そこは大きかったと思います。アイドルのダンスのレベルが上がって、K-POPブームが来て、ダンスはそろってるほうがカッコいい、みたいな。

倉野尾成美
倉野尾成美

柏木 私、『根も葉もRumor』のレッスン期間は病気でお休みしてたんですよ。戻ってきたらAKB48がめちゃくちゃ変わってた。もし私がいたら、そんなにやらなくてよくない?ってなってたかもしれない。でも空気感が完成してるところに復帰したから、そこになじまざるをえなくて。

でもやったらめっちゃ楽しかった。昔の、自分をどう出すかというのも楽しかったけど、「そろえる」というのは、自分がひとつのピースとしてはまるというか、いないと成立しないから、自分の存在や役割をちゃんと感じられてうれしいんですよ。

たぶん、今のAKB48は個を出すより、集団を見せたほうが届くものがあるんじゃないかと(運営が)判断したんじゃないですか? そういう意味では最新シングルの『カラコンウインク』は中間ぐらい。

私が最後というのもあって、曲は誰もがAKB48ってわかる、ダンスで個性を出せるけど、そろうところもあってけっこう難しい。グループの昔と今をミックスした、最高の曲と振り付けとMVが仕上がりました。これを見たら今のAKB48のやりたいことが伝わります!

――今のAKB48の良さってなんでしょう?

柏木 今のご時世にこんなこと言うのはなんですけど、まず、顔がマジでかわいいです。ちゃんと見てほしい! 顔! かわいい=アイドルだとは思わないけど、私もパッと見て、「かわいい!!!」って、もうファンみたいな気持ちになれる。

ちょっと前は「面白い」とかでAKB48っぽさを感じたけど、今の若いコは「純粋まっすぐキラキラかわいい」アイドル!

――王道アイドル?

柏木 AKB48ってほかと違うところを走ってきたじゃないですか。1周回ってまた王道に戻った気がする。まっすぐアイドルが好きな人に届いてほしいし、アイドル好きじゃなくても、見てるだけで元気もらえるって思わせてくれるコがいっぱい。

結局アイドルって、明るくて楽しくやってるのが一番いい。だいぶ遠回りしたけど、今のAKB48はそれをやってる感じがあります。だからこのAKB48で卒業できて、私はめっちゃ幸せです。

柏木由紀×倉野尾成美

――倉野尾さんはどう思いますか?

倉野尾 最近は16期生あたりがすごいキてます。劇場公演にいっぱい出て面白さに磨きがかかってきたというか、チーム制度がなくなって、私も初めてちゃんと絡むコだったり、毎公演違う絡みがあったり、すごく楽しいです。

――劇場といえば、先月スタート予定だった秋元康書き下ろしオリジナル公演が無期限延期になっちゃいました。

柏木 それは窓口に言ってください! 誰もわかってない。

――いっそのこと柏木さんがいろんな人を集めてプロデュースするっていうのはどう?

柏木 でも私は秋元信者なんです。秋元先生が作ってくれた劇場公演で今があると思ってるので、まずはみんなにそれを経験してもらいたい。私は当時の公式サイトにあったちっちゃい画面の公演動画を見て、AKB48に入りたいと思ったような古い人間なので(笑)。

――秋元さんに新公演を書いてもらえるよう声を届けたいですね。

柏木倉野尾 お願いします!!!

柏木 AKB48は秋元先生が書かないと意味がない! それこそコンサートを見に来てもらいたいです。このコにこんな曲を歌わせたいとか、先生の創作意欲をかき立てたい!

倉野尾 頑張んなきゃですね!

■卒業前のさっしーを見て私もやらなきゃって

――柏木さんがAKB48に残した功績ってなんでしょう?

倉野尾 もういくらでもありますよ。アイドルとして残してくださったものもいっぱい。それこそ、私はゆきさんのアイドルらしさをめっちゃ研究して。

柏木 えー。なるちゃんが?

倉野尾 ゆきさんって、ダンスとか歌に「ゆきりんを入れる」んですよ。有名なのだとやっぱりウインクとか。ゆきさんにしかできない個性を持ってるのがすごくうらやましくて。グループだからこそ、個性も出して頑張りたいなって思います。

あとは、違うと思ったことをちゃんと言える。そこにメンバーもたくさん救われました。自分が総監督という立場になったのもあるんですけど、おかしいなとか、こうしたほうがいいんじゃないかとか、意見をちゃんと言える人になりたいです。

――柏木さんは今後のAKB48はどうなってほしい?

柏木 長く続いてほしいというのは本当にあって。私も、卒業したメンバーのためにもいいグループにしようと思ってやってきた部分もあったし、「私ここにいたんだよ」って自慢したくなるような存在であってほしい。

それと私がAKB48で一番好きなのは、いつ見ても仲良く楽しく明るく元気にやってるところ。テレビとかにぱっと出たとき、今日も元気だな、私も頑張ろうとか、見てる人に元気が伝わるような。

私が長くいて唯一変わっていないところはそこかなって。私もそれをすごく大事にしてきたので。これからのAKB48も、元気になる、うるさいなってぐらいみんなが楽しくやってくれてたら、幸せだなって思います。

――今いるメンバーにとって、柏木さんがいなくなることは? 単にベテランが抜けるとは意味が違う?

倉野尾 ゆきさんは一番身近なスーパーアイドルなので。

柏木 なるちゃんは、私のことけっこうアイドルと思ってくれてるよね、運営側じゃなくて。

倉野尾 でもそういうスタッフ的な立ち位置も含めてアイドルって思っちゃうんです。全体を見て発言する姿も、それはそれでプロいなっていうか、めっちゃ面白い。だからまだいてほしいです!

ゆきさんがいないことなかったから......。本当にいなくなったときにすごく寂しくなりそうで、もうすでに思ってるんですけど......。たまにふらっと劇場に来て一曲歌ってほしい!

柏木 私も最後に向けてどんどん手をかけてしまったというか。卒業しちゃうし嫌われてもいいやって、みんなにいろいろ言ったからこそ。

――関係がさらに深くなった。

柏木 さっしー指原莉乃)が卒業前にそういうことをやってる姿を見て、私もやんなきゃって思ったんですよね。

倉野尾 定期的にくださるアドバイスはもう"お言葉"みたいな。

柏木 うそ! そんな(笑)。

倉野尾 ちゃんとやんなきゃって、みんな引き締まるんです。

柏木 でも「言いたいな」って思うこともあるでしょ? なるちゃんはもう自分にだいぶ余裕あるし、そういうメリハリつけるのも上手だと思うので、できるんじゃない?

倉野尾 いや、みんなで頑張らないとゆきさんにはならないです。みんなで助け合って、一致団結しないと。みんなで手を繋いで一生懸命、全開で頑張ります!

柏木由紀(かしわぎ・ゆき)

1991年7月15日生まれ
鹿児島県出身 身長165㎝
血液型=B型 nickname=ゆきりん 
公式X【@Yukiriiiin__K】
公式Instagram【@yukikashiwagi_official】
公式YouTubeチャンネル『ゆきりんワールド』

■倉野尾成美(くらのお・なるみ

2000年11月8日生まれ 
熊本県出身 身長152㎝
血液型=A型 nickname=なる 
公式X【@Kuranoo_Narumi_】
公式Instagram【@noochan_1108】
公式YouTubeチャンネル『なるたおちゃんねる』

AKB48
柏木由紀初単独センターシングル『カラコンウインク』が好評発売中!『AKB48、最近聞いたよね...~一緒になんかやってみませんか?~』(テレビ東京系、毎週火曜25:30~)に出演中! 最新情報は公式ホームページ【https://www.akb48.co.jp/】をチェック

取材・文/関根弘康 撮影/篠田直人

AKB48を卒業する柏木由紀(左)と総監督に就任した倉野尾成美