鈴鹿央士が主演を務めるドラマ24「闇バイト家族」(毎週金曜夜0:12-0:52ほか、テレ東系ほか)が、ついに3月22日(金)放送で最終回を迎える。

【写真】キスしそうなほど顔を近づける鈴鹿央士“颯斗”と山本舞香“美咲”

同作は、闇バイトに加担した5人の老若男女がニセ家族を演じつつ、人生の再起を図る姿を描くスリリングでユーモラスなドン底エンターテインメント。

逃げてばかり、言い訳ばかりのダメ長男・田中颯斗を鈴鹿央士、勝ち気でお金にがめつい、ワケあり長女・久保美咲を山本舞香、女と金にだらしないお人よしの父親・小川健三を光石研、イケメンに貢いで無一文の純情な母親・原佳苗を麻生祐未、かつては伝説の空き巣だった祖父・栗林徹を綾田俊樹が演じている。

このたび、WEBザテレビジョンでは同作のプロデューサー・濱谷晃一氏にインタビューを実施。キャスト陣のオファー理由や、撮影の裏話などについて聞いた。

■“ダメなりに頑張っている感じ”を応援してくれる好意的な声が多いと感じています

――まず「闇バイト家族」というタイトルのインパクトが強くて、主演の鈴鹿さんも「最初、このタイトルを聞いたときは“放送できるの?”と思いました」とおっしゃっていたのですが、今回のドラマを制作することになったきっかけや経緯を教えていただけますか?

企画は去年の春ごろ考え始めたのですが、闇バイト社会問題になっていて、そこに加担してしまう若者たちの貧困や倫理観など、個々の事情も世相を反映していると思ったので、闇バイトに巻き込まれる人たち目線のドラマを作ろうと思いました。

テレ東の深夜ドラマなので、ストレートに“社会派”として問題提起するだけでなく、エンターテインメント性の強い内容にしたい。そこで、人生の落とし穴に迷い込んでしまった老若男女が “ニセ家族”として闇バイトを繰り返し、“疑似家族”として人生を再生していくヒューマンドラマにできないかなと思いました。

そして「闇バイト家族」っていうタイトルが浮かんで“これだ!”と思ったんです。でも後々考えたら「万引き家族」に似てたなって(笑)。思いついたときは、なぜか気付きませんでした…。

――ドラマの放送がスタートして、周りの反応などはいかがでしたか?

最初に出たリリースが「闇バイトを繰り返しながら人生の再起を図る」と書かれていたので、“闇バイトを肯定するドラマなんじゃないか”というご指摘も結構ありました。

でもドラマを見ていただくと、決して肯定しているわけではなく、むしろ、そこから脱却しようとする人たちの話であることに気づいて頂けましたし、5人の愛すべきキャラクターが“ダメなりに頑張っている感じ”を応援してくれる好意的な声が多いと感じています。

■鈴鹿くん自身が模索して、迷いながらも役に命を吹き込んでくれた

――メインキャストとして出演している闇バイト家族5人のキャスティングについては、最初にキャラクター設定をしてからそれぞれのキャラクターに合うキャストを探していった感じでしょうか?

そうですね。5人のキャラクター設定自体はしていました。ただ、肝心の主役の颯斗は他の4人に振り回されるキャラクターなので、受け身というか、ちょっとキャラが弱くなっちゃうかなという心配があって。

しかも、颯斗は闇バイトに手を染めているだけでなく、過去に彼女の妊娠、中絶疑惑があったりして、視聴者に嫌われたらどうしようという不安もあったんですが…。鈴鹿くんが演じることで根っこの部分の“いい人”というか、決して悪いことばかりをしてここにたどり着いたわけではないことが、過剰に説明しなくても十分伝わるなと感じました。それくらい、鈴鹿くんの“困っている顔の愛苦しさ”みたいなのが絶妙でした(笑)。

鈴鹿くん自身が“颯斗をどう演じようか?”と模索して、迷いながらも役に命を吹き込んでくれたことにより、より今の“うだつが上がらない、愛すべき”キャラクターができあがった気がしますね。

逆に長女の美咲は、けんか上等で目力が強くて口も悪い…みたいなキャラで作っていて、今は美咲っていう役名なんですけど、最初のプロットでは“まいか”という役名だったんです。キャスティングする前から、すでに山本舞香さんをイメージして作ってました(笑)。

もし山本さんに断られたら、あんなに目力にインパクトがあって暴れ出したらめっちゃ強い人を見つけるの大変だと思っていたので、無事に引き受けていただけてよかったです。

■“麻生さんってテレ東の深夜ドラマとか出てくれるんだ!”って盛り上がりました(笑)

そしてお父さん。光石さんに決まったことで、光石さんに近い要素を足したいなと思いまして。当初は標準語キャラだったんですけど、一人だけ博多弁丸出しというギャップもニセ家族のカセになって面白いので、光石さんに決まってから変えました。

お母さんは、愛のために犯罪に加担してしまうタイプの女性。実は映画にもなった「紙の月」という小説の主人公をモチーフにしてまして…。真面目に銀行に勤めていたのに、若い男との恋に溺れて横領してしまうという。今回のお母さん役は、テレ東深夜っぽく、より振り切ったお馬鹿さんなキャラクターにしてみました。

そういうイメージが薄い人がいいなと思って、麻生さんにダメもとでオファーしたらご快諾頂けて、“麻生さんってテレ東の深夜ドラマとか出てくれるんだ!”って盛り上がりました(笑)。第7話(2/16放送)で韓国人俳優にバックハグされて泣くシーンや、第11話(3/15放送)でジュディ・オングの「魅せられて」を歌うシーンなど、振り切ったお芝居もすごく面白く、やっぱり麻生さんに頼んでよかったなと実感しています。

おじいちゃん役はひょうひょうとつかみどころがないキャラだったので、まさに綾田さんだなって(笑)。でも、もともと台本にはなかったんですけど、ちょっとミステリアスさというか愛嬌を出すために「古い大阪弁に変えてもいいですか?」と綾田さんからご提案いただいて。家族の中で方言が2人に増えたのは綾田さんのプランですね(笑)。

このように、世相やキャスティングを見ながら、キャラクターやストーリーを柔軟に作っていけるのは、オリジナルの利点かもしれませんね。

■長妻くんはすごく努力家で、とてもお芝居のセンスがあると思いました

――実際に現場でキャストの皆さんの演技を見ていかがでしたか? 山本さんのアクションシーンなどもすごくかっこよくて話題になっていましたよね。

まず、山本さんのアクションシーンは本当にすごくて。カットを割らなくても一連で撮れちゃうんですよね。4、5人をやっつけるシーンもアクション監督から「こういう感じで」って説明を受けたら「わかりました」と、すぐにパパパッとできてしまう。

もともと空手をしていたり、運動神経がいいこともあるとは思うんですけど、勘というか、センスがいいと感じました。

あとは光石さんがほしがりというか…(笑)。テイクを重ねるごとに光石さんの演技が過剰になっていくんですけど、多分、周りの4人に笑ってほしくてしょうがないんですよね(笑)。

でも、さすが名バイプレイヤー。全然、その感じに嫌みがないんです。光石さんに引っ張られるようにみんなのアドリブも増えて、それぞれのキャラクターがこの場だとどう振る舞うかを各キャストがいろいろ考えてくれたことで、よりキャラ立ちした楽しい家族ができあがった気がします。

――韓国人留学生・ドユン役で出演されていた長妻怜央さんの演技も素晴らしくてかっこいいと話題になっていましたが、韓国語はこのドラマのために勉強されたのでしょうか?

そうですね。韓国語は耳で覚えて、事前に練習してくれたそうです。ありがたかったのですが、一番心配していたのは、留学生として話す片言の日本語がわざとらしくないか、という点でした。

韓国語より片言で話すシーンの方が何十倍も多いので。衣装合わせのときも「そこが心配なんですよね」ってお伝えしたら、めちゃくちゃ練習してきてくれて。

長妻くんは現場ではすごく陽気というか、サービス精神旺盛でキャッキャッしてるんですけど、すごく努力家で、とてもお芝居のセンスがあると思いました。

■山場を越えた後にまたへなへなってなるところがやっぱり颯斗っぽいんですよね(笑)

――颯斗と美咲の恋の行方も気になりますが、その辺りはいかがでしょうか?

これまでも恋愛ドラマ的な展開は多くはなかったんですが、お互いの良さに徐々にひかれあっていく流れはありました。そのシーンが少ない分、美咲のツンデレと、颯斗の不器用さにすごくあったかい気持ちになるというか。

美咲が颯斗を“この人いいかも”っていう目で見るシーンは、普段クールなキャラなので見ていてホッとするというか、可愛らしく見えますね。山本さんはそういう表情の作り方もとても素晴らしい。

最終回で闇バイト家族が一番大きな山を乗り越えた後に2人がどうなるか、恋の行方?もぜひ楽しみにしていただきたいです。

――最終回に向けての見どころや、注目してほしい部分を教えてください。

颯斗の成長が、まず大きな見どころだと思います。逃げてばかりで闇バイトに手を出してしまったクズみたいな彼が、最後は美咲や家族のピンチを救うために命懸けで中国マフィアのフリをします。その鬼気迫る演技が、劇中の颯斗と鈴鹿くん自身にシンクロした感じがして、鈴鹿くんが模索した颯斗というキャラクターの集大成になっています。でも、山場を越えた後にまたへなへなってなるところがやっぱり颯斗っぽいんですよね(笑)。

恋愛ドラマで活躍している若手イケメン俳優さんはたくさんいますが、鈴鹿くんのようにうだつが上がらないダメな感じが自然に似合うイケメンってそんなにたくさんいないと思ってます。振り回される演技や、コミカルな表情、自然なしぐさもとても器用で、これから鈴鹿くんのコメディー需要が増えると思います!

ポンコツ闇バイト家族5人が最大のピンチをどう乗り切るか、ハラハラ、ドキドキの最終回になっています。そして、ニセ家族に家族以上の絆が芽生えて、最後、どのような結末を迎えるのか、ぜひ、見届けていただけたらと思います!

「闇バイト家族」のプロデューサーに独占インタビューを実施!/(C)「闇バイト家族」製作委員会