―[誰も知らなかったゴルフの真実]―
教える側の経験則や主観で語られてきた既存の指導法とは一線を画す論理的なレッスンで、YouTubeチャンネル登録者数が41万人超と日本中のゴルファーから絶大な人気を誇るティーチングプロの三觜喜一氏。そんな三觜喜一氏がより実践的なテクニックをまとめた『ゴルフの思考法』が発売されるとあり、注目を集めている。
ラウンド中、さまざまな選択に迫られるゴルフ。アマチュアゴルファーであれば、その選択ひとつでスコアは大きく変わるだろう。スコアアップの一助となるのか。そんな大きな期待を集める『ゴルフの思考法』の発売を記念して、今回はそのベースとなった『週刊SPA!』連載から誌上レッスンの模様をここに公開する。
(以下は『ゴルフの思考法』のベースとなった週刊SPA!連載『誰も知らなかったゴルフの真実』より抜粋)
◆Lesson82 「ココがうまくできない」読者からの質問に答えます!
今回は読者からの質問に直接お答えするというもの。前著『ゴルフの真実』の内容でわかりづらかった部分に対しての質問、「ここをもっと掘り下げて説明してほしい」という要望に計30ほどイベントで回答させていただいたのですが、そのイベント内で出たQ&Aをここでも公開します。これでみなさんの理解をより深めていただければと思います。
ゴルフというスポーツは上達が難しく感じがちですが、物理的な原理原則をしっかり理解することが上達への何よりの近道。練習あるのみです!
◆Q1.アドレス:ベストなスタンス幅を教えてください!
A.スタンス幅に正解はない。それ以上に「ガニ股」か「内股」かをチェックしてみよう
最適なスタンス幅は個々の体形や関節の可動域、柔軟性などで変わるため正解はありません。ただし、広すぎても狭すぎてもダメ。前者は体の動きに制限がかかりすぎ、後者では体が左右にスライドしやすくなるからです。
最適なスタンス幅を見つけるには、スタンスを広げたり狭くしたりしてボールを打ち続けるしかありません。
その際「両ヒザの幅」にも注意が必要で、僕はスタンス幅以上に大事だと考えています。
例えば僕は普段、内股気味に歩くクセがありますが、そのまま構えると内股になりすぎてスイング中に体が伸び上がりやすくなります。そのためアドレスでは両ヒザをやや外側に向け、感覚的にはガニ股で構えるように心がけています。逆に普段はガニ股の人がそのまま構えると体が沈んだり突っ込んだりで、回転運動がしづらいので少しヒザを内側に向けて内股で構えたほうがいいでしょう。
整理すると、スイング時に体が上下にブレる人はややガニ股、左右に突っ込む人は少し内股にすると、余計な動きが入りづらくなり効率よくクラブを振れるようになります。
◆Q2.テークバック:「肩のタテ回転」がうまくできません。
A.頭の高さは変えずに「右ワキ腹」を伸ばし、「左ワキ腹」を縮める動作がコツです
テークバック時の肩のタテ回転は、正しいスイングに必要不可欠な動作。多くの人はヨコ回転してしまい、テークバックで左肩がアゴにつく格好になると思うので、まずはアゴと左肩の間にスペースをつくるよう意識してバックスイングしてみてください。
その際のコツは、テークバック時に右ワキ腹を伸ばし、左ワキ腹を縮める意識を持つこと。左足で地面に圧力を加えて動くと両ワキが伸び縮みしやすくなります。このとき、頭の高さを変えないように注意してください。
また、肩がヨコに回転する人はテークバックでクラブをインサイド(自分の右後ろ方向)に引く傾向があります。こうなるとクラブがスムーズにトップまで上がらないので、手で持ち上げてしまう。インパクトにかけても手でクラブを下ろすことになり、効率よく体の力をクラブに伝えられません。ですので、クラブフェースをボールに向けたままテークバックするよう意識するのが正解。クラブが正しく動いていれば結果的に肩はタテに回転します。
◆Q3.アドレス:構えた時の重心位置は、つま先側? カカト側?
A.絶対につま先側。カカト体重では、お尻が落ちた構えになる
体重は基本的にはつま先側の“前体重”がベスト。カカトにはまずかかりません。なぜかというと、カカト体重だとお尻が落ちたアドレスになるから。そのスタイルのままバックスイングすると、Q2で触れた「肩がヨコ回転」するスイングになってしまいます。体のバランスを取るのも難しくなるのです。
そもそもアドレスしたときに、どこに重心があると安定するでしょうか? つま先かカカト、多少の個人差はあるとしても、どちらかといえば前傾姿勢で前体重のほうが体が安定するはずです。
もちろん、クラブが動くことによって重心位置は移動しますが、体の前にあるボールを打つのですから、つま先重心のほうが理に適っているのです。
◆Q4.テークバック:重心移動は、どの程度意識すべき?
A.意識は不要! 正しい重心移動は、正しくクラブを振れた先にある
僕は普段、重心移動について解説することはありません。なぜならば下半身の動きや重心の移動は、すべて結果として自動的に起こるものだからです。
やるとわかりますが、地面のボールに対して強く力を伝えたいときに重心が右に残る人はいませんし、重心が左にいきすぎてもエネルギーを伝えるのは難しい。真下のボールに向かって最も強く出力しようとすれば結果的に正しい重心移動が行われているものです。
それに、「体をどう動かすか?」と考えるとクラブを振ることが後回しになり、振り遅れなどのミスを誘発します。つまり、ボディ側の動きは極力意識しないほうがいい。クラブの正しい使い方を意識したほうが、下半身の動きが良くなっていくのです。
【三觜喜一】
みつはしよしかず●’74年、神奈川県生まれ。日本プロゴルフ協会認定ティーチングプロA級。ジュニア育成、ツアープロコーチとしても活躍。YouTubeの「三觜喜一MITSUHASHI TV」は登録者数41万人超
―[誰も知らなかったゴルフの真実]―
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