最新のフランス映画を紹介する「横浜フランス映画祭2024」が3月20日横浜みなとみらい21地区で開幕した。桜木町駅前広場ではオープニングセレモニーが開かれ、特別アンバサダーの役所広司が開会を祝福した。

この日は開始直前に突然の雷雨が降り、関係者をヒヤヒヤさせるひと幕が見られたが、無事にレッドカーペットイベントを実施。これにはユニフランス東京オフィス責任者のエマニュエル・ピザーラ氏も「先ほどはものすごい雨でしたが、今は晴れている。これはもしかしたらフランス映画のおかげかもしれないですね」と語るなど、登壇者たちがそれぞれに「雨があがって良かった」と安どの表情を見せていた。

そんな中、本作の特別アンバサダーを務める役所が、今年のオープニング作品「愛する時」主演のバンサン・ラコストと共にレッドカーペットに登場。「横浜フランス映画祭のアンバサダーという大役をいただきました。お役にたてるかどうか分かりませんが、自分もフランス映画が大好きなので、どうか皆さまもこの映画祭を楽しんでいただけたら」と挨拶。さらに、フランス映画について「映画発祥の国でもありますし、プライドを持って映画をつくっている国なので。フランス映画のアンバサダーというのは重荷でもありますが、参加できて良かったです」と語った。

役所に第76回カンヌ映画祭で最優秀男優賞をもたらしたヴィム・ヴェンダース監督作「PERFECT DAYS」に関しても、「フランスのカンヌ映画祭で評価され、最終的に日本代表としてアカデミー賞(国際長編映画賞)のノミネートまでいけたので。やはりノミネートされただけでも光栄で。いい経験をさせていただきました」と話し、隣にいたラコストを見て「バンサンはこれからのフランス映画を支えていく才能ですから。今日は会えて良かったです」と笑顔を見せた。

横浜ブルク13では、オープニングセレモニーが開催された。オープニング作品「愛する時」は、第二次世界大戦後のフランスを舞台に、シングルマザーのマドレーヌと、裕福なインテリ学生フランソワが運命の出会いを果たし、惹かれ合うようになるも、時が経つにつれ、マドレーヌの過去とフランソワの秘密がゆっくりと明らかになるという物語だ。

ラコストは「わたしが演じるフランソワという人物はとても複雑で、いろんなものを持っている人。とてもロマンのある作品であり、大きな感動を呼ぶ作品。そしてカップル、欲、人生についての映画でもあって。ぜひともこの役をやりたいと思いました。この映画を観るといろんな疑問が湧いてくるような映画だと思います」と客席に呼びかけた。そして本作のプロデューサーを務めるジュスタン・トーランも「実は監督とは長い付き合いで、彼女の長編第1作からずっと一緒に映画をつくってきました。この映画は彼女の私的な家族の話なので実話から始まるのですが。それが次第にフィクションの方向へ向かっていくというわけです」と本作の背景を明かした。

そしてこの日は参加がかなわなかったカテル・キレべレ監督もビデオメッセージで参加。日本に来られなかったことへの残念な思いを語りつつも、「バンサンに感謝します。あなたはすばらしい仕事をしてくれました。そして横浜に行ってくれてありがとう。キスを贈るわ!」とメッセージ。その言葉を受けたラコストも「監督が僕のことについてコメントしてくれてうれしいです!」と笑顔を見せた。

「横浜フランス映画祭2024」は3月25日まで横浜みなとみらい21地区で開催中。

役所広司と「愛する時」主演のバンサン・ラコスト