京都府福知山市は、新たな産業の創出・集積を目的に、起業家人材育成プログラム「NEXT産業創造プログラム」を福知山公立大学と連携し、2021年度から実施しています。2023年度は「規格外野菜」「脱炭素」「サーキュラエコノミー」「学生×起業家」「ふるさと納税」の5つをテーマに新規事業に取り組みました。

  • NEXT産業創造プログラム 2023年度

 関西で唯一の加入自治体である本市は、第三期となる本年度、SHIBUYA QWSとの連携を加速し、出張PBLとして3つのイベントを開催しました。首都圏のQWS会員企業やスタートアップのアイデアをブラッシュアップし、今後の事業提携に向けた繋がりも創出しました。また、3期続けて実施したクラウドファンディングによるテストマーケティングは、3年間で達成総額累計約500万円、支援者数累計600人超と当初の目標を大きく上回る実績を達成し、各種メディアでも多数取り上げられました。

 2024年3月2日(土)には、NEXT産業創造プログラムPBL成果報告会及び修了式を福知山公立大学で開催し、受講生が考案した5つの新規事業プロジェクトの成果を報告しました。本報告会は、NEXTふくちやま産業創造事業に共感いただき、起業版ふるさと納税を活用し、本市に多額の御寄附をいただいた株式会社ニチゾウテック様をはじめ、福知山市商工会、金融機関、SHIBUYA QWS、地域企業の

経営者、講師、福知山公立大学などの関係者並びに受講生含め総勢81人(オンライン参加11人を含む。)の参加のもと実施しました。

▼5つの新規事業

【テーマ1.規格外野菜】

福知山の企業と大学生が挑戦!規格外野菜を活用した満願成就あめ~地域から廃棄ロスを目指して~

【テーマ2.脱炭素】

プラネットハウス~エネルギーでつなぐ脱炭素な暮らし~

【テーマ3.サーキュラエコノミー

サーキュラエコノミーから生まれるバスアメニティ

ー地球にやさしく、肌にも優しい。京都森の製油所の挑戦ー

【テーマ4.学生×起業家】

一般社団法人NEXTE福知山学生記者部―Style Note―

【テーマ5.ふるさと納税

福知山企業の魅力可視化によるふるさと納税活性化事業 ―学生と地元企業の新結合による価値創出を目指してー

  • 5つの新規事業案

○【テーマ1.規格外野菜】

福知山の企業と大学生が挑戦!

規格外野菜を活用した満願成就あめ~地域から廃棄ロスを目指して~

<活動した受講生>

<作成チラシ>

▼概要

株式会社Season(本社:京都府福知山市)は万願寺とうがらしを日本最大規模で栽培しています。この地元の特産品ともいえる、万願寺とうがらしにおいて、総生産量の2%ほどが規格に合わず出荷前に廃棄されているという現状があります。形が悪いことを理由に、食べられるのに捨てられてしまう万願寺とうがらしを何とか有効活用しようと、福知山公立大学の学生と共同で未利用の規格外万願寺とうがらしの活用方法を発案し「万願成就あめ」を商品化しました。

▼今後のアクション

福知山市内の郵便局などでのテスト販売やSHIBUYA QWSでのサンプル配布を通して回収したアンケート結果を基にさらにブラッシュアップし、今後も継続して株式会社Seasonと学生が一緒になってプロジェクトを進めていきます。

関連記事:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000093836.html

〇【テーマ2.脱炭素】

プラネットハウス~エネルギーでつなぐ脱炭素な暮らし~

<12月15日Question Storming>

<作成チラシ>

▼概要

地元企業や教育機関と連携し、脱炭素社会実現による持続可能な地域づくりを目標に掲げ、環境に配慮した新たな生活様式を具体化する住まい「プラネットハウス」の建築プロジェクトに挑戦しました。2023年12月15日にはSHIBUYA QWS(東京都渋谷区)にて「QWS QuestionStorming with福知山市」をSHIBUYA QWSと共同開催し、「脱炭素な暮らしとは」をテーマにワークショップを実施するなど、市内外の脱炭素や高性能住宅設計に感度が高い事業者、建築家、金融機関、大学生、大学及び行政部局と意見を交換しながら、脱炭素型の付加価値を取り入れた住まいによる新しい生活スタイルの構築に取り組みました。

▼今後のアクション

若い世代が考える「地球環境を考えた暮らし方」が実現できる住宅を作り、実際にそこに住んでもらうことにより、脱炭素・SDGsに関する感度の高い人材を育成したいと考えています。

脱炭素・エネルギーの地産地消を通した新たな収益構造を「プラネットハウス」プロジェクトで構築し、世界に発信していきます。

関連記事:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000121.000053572.html

〇【テーマ3.サーキュラエコノミー

サーキュラエコノミーから生まれるバスアメニティ

ー地球にやさしく、肌にも優しい。京都森の製油所の挑戦ー

<活動した受講生と連携企業>

▼概要

マーケティングとSNSによる販売促進効果の実証を目的として、クラウドファンディングに挑戦しました。結果として、応援購入者数74人、応援購入額645,590円、平均申込率1.29%となり、化粧品関連として一定の結果を残すことができました。SNSによる販売促進効果に関しては、広告を打つことにより狙いどおりの効果が如実に表れるようになり、SNSの運用次第で広告費用を抑えてより効果的な宣伝効果が得られることが分かりました。

 今回のクラウドファンディングによるマーケティング結果を受けて、「有機JAS認証米から作られたコメ発酵エキスを配合した、まるで香水のようなボディクリーム」は既に本販売に移行しています。2月28日から高島屋新宿店、3月9日から蔦屋書店湘南SITE及び高島屋京都店にて店頭販売するとともに、CreemaSPRINGSにて通販を開始しています。

<活動を通して開発された商品>

▼今後のアクション

今回のプロジェクトを通じて、森の精油所としてのサーキュラエコノミーの取組がマスメディアに取り上げられ、様々な方面からの依頼や見学が急増しておりボディソープのみならず活動自体が注目されています。今後も人間と地球にやさしい商品づくりを目的として事業を進めていきます。

〇【テーマ4.学生×起業家】

一般社団法人NEXTE福知山学生記者部―Style Note―

<活動した受講生と連携企業>

▼概要

 一般社団法人NEXTE福知山は、福知山公立大学2回生3人と、学生記者部を立ち上げました。学生が起業家の方々を取材し、NEXTE福知山のHPに記事を公開する事業です。「大学での学びを活かして、実践的経験を得つつ、起業家の人生観を聞いてみたい!」と起業に興味のある学生と、「地域コミュニティの醸成を図り、ハブとして地域エコシステムを創造したい!」と考えるNEXTE福知山の思いがマッチして立ち上がりました。

 12月中旬から起業家の方々に取材を行い、3月2日の成果報告会までに6つの法人に取材し、計9本の記事を公開しました。学生は活動を振り返り、「堂々とした起業家さんと関わったことで、自信をつけることが出来た。」「学生記者の強みを活かした記事や、どの世代に読んでもらいたいかを考えるのが難しかった。」「取材中の起業家の方々の目は、未来を見据えていて、美しかった。自身も将来が明るい印象になった。」と手応えを感じています。また、NEXTE福知山のHPにおいては、4倍以上のユーザー数を獲得し、福知山だけでなく全国からの閲覧があります。

<学生記者の活動の様子>

▼今後のアクション

今後も何か一歩踏み出したい若者へ、勇気を与えられるような記事を発信していきます。

〇【テーマ5.ふるさと納税

福知山企業の魅力可視化によるふるさと納税活性化事業 ―学生と地元企業の新結合による価値創出を目指してー

< Grow Spiralのメンバー

▼概要

 本プロジェクトは、社会人2人のサポートを受け、学生起業した福知山公立大学生の菅谷君が中心となり、取り組みました。菅谷君は、株式会社Lifexiaのインターンシップ生として、任意の学生メンバーとともにマネタイズの実現性などを深く検討しながらビジネスモデルを構築し、GrowSpiral(グロウスパイラル)というサービスの名称で事業を開始しました。

 事業内容は、主に福知山の企業に対する売上アップのためのコンテンツ制作です。このサービスでできた制作物は、学生が発注企業に対してインタビューを行い、その企業特有の魅力をプロデザイナーと連携し、画像にまとめます。この画像を納品し、ふるさと納税などの出品用画像に活用してもらおうと考えています。売上金額又は売上上昇額の15%を完全成功報酬として受け取ることとしています。初期費用は一切かからないため、発注者側は資金力を必要としないことが大きな特徴です。企業は売上を、自治体は納税額を向上させることが期待でき、学生にとっては実践を踏まえた実績を得ることも可能となる‘三方良し’のビジネスモデルです。

<SHIBUYA QWSイベントの様子>

▼今後のアクション

NEXT産業創造プログラム受講終了時にはすでに3社から受注を受けています。学生起業家が福知山に成長のスパイラルを巻き起こすべく、躍動していきたいと思います。

  • 講評者からのコメント

東京都立産業技術大学院大学 板倉宏昭教授

郵便局のネットワークを活用したテスト販売や脱炭素社会実現を目指す地域ビジネスなど、具体的に事業化を追及している点並びに地域に根差したSDGs観点での取組要素がある点が素晴らしい。この福知山モデルが全国に拡がり、各地域が連携できると、日本全体の産業創造にもつながるのではないか。

株式会社サノス 板越ジョージ代表取締役

クラウドファンディングによるテストマーケティングは本年度も一定の成果を挙げたのではないか。これを契機として、スケールする事業となることを期待する。本年度は、カーボンニュートラルやサーキュラエコノミーなど、社会的課題をテーマとしたプロジェクトが増えた印象だ。今後、クラウドファンディングの活用もあれば是非支援させていただきたい。

SHIBUYA QWS 米山孝生副館長

問いを導く上で、使命とはなにか、顧客の価値とはなにかを考えることが益々重要となってきている。本年度は多くの学生参加があった。失敗を恐れずにまずは行動してもらいたい。福知山でできることをもっと経験し次の世代に残してもらいたい。また、活動に当たっては、今後もSHIBUYA QWSを積極的に巻き込んでもらいたい。

  • 株式会社ニチゾウテック様から企業版ふるさと納税の御寄附をいただきました

<左:大橋市長 右: 柴田社長>

地域再生計画として福知山市総合戦略に基づき、本市が策定した「福知山市まち・ひと・しごと創生推進計画」における施策「新産業の育成と起業支援の充実」のうち、起業家人材の育成を目的に実施する「NEXTふくちやま産業創造事業」に共感をいただき、株式会社ニチゾウテック様から、企業版ふるさと納税制度を活用して100万円の御寄附をいただきました。

本寄附金を大切に活用し、起業家の育成、そして本地域におけるスタートアップ企業の創出に向けて取り組んでまいります。

  • NEXT産業創造プログラム

 福知山市では、産業施策のテーマとして「産業集積と技術革新のまちづくり」を掲げ、先進的な企業やこれから生まれる多様な産業を集積させ、雇用の創出や雇用水準の向上にも寄与する新たな企業や産業の育成に取り組んでいます。

 その実現に向け、2021年度から福知山公立大学と連携し、起業家人材育成プログラム「NEXT産業創造プログラム」を開講しています。イノベーションを創出する起業家輩出の障壁として、2017年度中小企業白書からは、「経営知識の不足」「資金方法の目途がつかない」「事業化の方法がわからない」などがあげられています。本プログラムは、それら起業を阻む壁に対し、処方箋となるよう「基礎科目」「事例研究型科目」「PBL型科目課題解決型科目」の3つから構成されるカリキュラムを提供します。

紹介動画 https://m.youtube.com/watch?v=LdDfEEvUuSc

配信元企業:京都府福知山市

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