4月13日(土)~5月26日(日)の期間、京都国立博物館 平成知新館にて特別展『雪舟伝説―「画聖(カリスマ)」の誕生―』が開催される。他会場への巡回はなく、音声ガイドのナビゲーターは山寺宏一、解説ナレーターは能登麻美子が務める。

国宝 秋冬山水図(右) 雪舟筆 東京国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

国宝 秋冬山水図(右) 雪舟筆 東京国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

日本美術史上もっとも重要な画家の一人とされる雪舟。雪舟筆と伝わる作品は数多く残っている一方で、誰もが間違いないと認める作品は決して多くはない。同展では数ある雪舟画のうち六件の国宝を全て公開するほか、代表作と呼び得る作品を通し「画聖」と仰がれる雪舟への評価がいかにして形成されてきたのかを検証する。

竹林七賢図屏風(右隻) 長谷川等伯筆 京都・両足院蔵 桃山時代 慶長12年(1607) 通期展示

竹林七賢図屏風(右隻) 長谷川等伯筆 京都・両足院蔵 桃山時代 慶長12年(1607) 通期展示

なお、同展は「雪舟展」ではない。秋月や宗淵、等春など多くの弟子だけではない幅広いフォロワーと雪舟を並べることで、影響力を明らかにすることが目的となる。桃山時代には雲谷等顔や長谷川等伯が、雪舟に師事していないものの画風を継承、再生。その後継者を名乗り、雪舟画風を規範とする作品を数多く制作し、雲谷派や長谷川派と呼ばれるようになる。そのほか雪舟画風を流派様式の礎とした江戸時代の狩野派など漢画系の画家とは異なるさまざまな画家たちが雪舟を慕い、その作品に学びながら、新しい絵画世界を切り開いてきた。

富士山図 狩野探幽筆 江戸時代(17世紀) 通期展示

富士山図 狩野探幽筆 江戸時代(17世紀) 通期展示

近世における雪舟神格化の動きに最も大きな役割を果たした狩野探幽の画風は、狩野派のみならず江戸時代絵画般の一つの共通基盤となったが、その探幽が自らの画風を形成するにあたり拠り所としたのが雪舟だった。江戸時代の狩野派作品を通して、雪舟画風の継承を確認する。

重要文化財 四季花鳥図屏風 雪舟筆 京都国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

重要文化財 四季花鳥図屏風 雪舟筆 京都国立博物館蔵 室町時代(15世紀) 通期展示

竹梅双鶴図 伊藤若冲筆 東京・出光美術館蔵 江戸時代(18世紀) 4/30~5/26

竹梅双鶴図 伊藤若冲筆 東京・出光美術館蔵 江戸時代(18世紀) 4/30~5/26

雪舟の伝説化に寄与したのは、狩野派のように、主に宋・元の中国絵画に学んだ絵画の「漢画」をもっぱらとした画家だけではない。江戸時代の多くの画家がさまざまな観点から雪舟を規範として仰いだ。例えば水墨画家の曾我蕭白は、「富士三保図屏風」にみられるように蕭白らしさも発揮しながら「富士三保清見寺図」の構図を踏襲していた。また中国の比較的新しい時代の絵画に関心を寄せていた伊藤若冲も、雪舟筆「四季花鳥図屏風」との類似点が見られる作品を生み出し、古い日本の絵画も学んでいたことが分かっている。これら作品を比べてみることで、「画聖」雪舟、誕生の過程を明らかにする。

富士三保図屏風 曾我蕭白筆 滋賀・MIHO MUSEUM蔵 江戸時代(18世紀) 通期展示

富士三保図屏風 曾我蕭白筆 滋賀・MIHO MUSEUM蔵 江戸時代(18世紀) 通期展示

チケットはイープラスほかプレイガイドにて販売中。

特別展『雪舟伝説―「画聖(カリスマ)」の誕生―』