昨年12月末にSKE48を卒業し、3月27日(水)に「はじまる」でソロデビューする江籠裕奈。収録される3曲の作詞を手がけるだけでなく、シングル制作一貫に携わった彼女のこだわりや想い、卒業後の心境、3月29日(金)に開催される卒業後初のライブとなるバースデーライブの見どころなどを聞いた。

 ◆SKE48のある楽曲から繋がる表題曲「はじまる」

――3月27日にソロデビューとなりますが、今の気持ちは

江籠 昨年の12月の段階で準備をし始めていたので、徐々に情報解禁ができてやっと始まるなという思いです。

――SKE48在籍時にもソロシングルを出していますが、またそのときとは違った感覚でしょうか?

江籠 SKE48在籍時に出したソロシングルは、ソロシングルを出しますと言われたわけではなく、ソロライブをするようになったときに、持ち曲をもっと増やしたいよねという話から気がついたらシングルを出すことになっていて。前回も自分で曲を選んだりはしたんですけど、今回はリリースに向けて昨年からしっかりと動いたりと、一から順を追ってシングル制作をすることができたのはいい経験になりました。ファンの方がどんな反応をしてくれるか楽しみです。

――前回のシングル制作ではデモ曲をたくさん聞いたとのことでしたが、今回も時間をかけて決められたんですか?

江籠 数はたくさん聴きましたけど、最終的には意外とすぐに決まって。表題曲の「はじまる」は今の私にしかできない曲をと思って決めました。今だからこそやれる曲、やりたい曲という想いで選んだらすぐに決まりましたね。あとは大雑把にいろんな曲を聴いて選ぶというよりは、違うタイプの曲を入れたかったのでライブで盛り上がりそうな曲とバラード曲のカテゴリーに分けてその2つに狙いを定めて聴いて選んだ感じです。

でも結局、バラード曲は前回のソロシングルを出すときに聴いてチェックをしていた曲で。なので選んだというより、やっぱりあの曲は良かったなというものを持ってきました。

――今回のテーマなどはじっくり話し合って決められたんですか?

江籠 そうですね。シングルを出すと決まったときに周りのスタッフの方が“ソロシングル一発目って、これからの方向性が決まる大事な曲だよね”と言っていたので、どういうタイプの曲にするかは時間をかけて話し合って決めました。最初に提示された他の案もあったんですけど、SKE48の在籍時にやっていた「時間がない」公演の中の『君は未来に試されている』という楽曲が好きで、そういう経緯を今回共作という形で携わってくださっているkazueiさんに話したり、kazueiさんが公演を見に来てくださったことで、『君は未来に試されている』のアンサーソングのような繋がりがある曲をということで、仮で書いてくださったのが『はじまる』なんです。

――そんなストーリーがあったんですね。ちなみに3曲の作詞はどのくらい時間をかけられたんですか?

江籠 今回は本当に時間がなかったです(笑)。この曲でいこうと決めたのが12月18日で、3曲の歌詞を上げなければいけない締切が12月26日でした。私の卒業公演が12月23日で、それまでは作業ができなかったので公演が終わってから書き始めたんです。表題曲は共作という形でやらせてもらっていますけど、残りの2曲は卒業公演後に0から書きました(笑)。

――短期間で3曲も! 

江籠 はい(笑)。その中でもバラード曲の「思い出」という曲は卒業公演の次の日に書いたんですけど、出会いと別れだったり、その中でもらった優しさや感じた後悔をテーマに書いているので逆に時間がなくてこのタイミングに書けて良かったなって感じがしました(笑)。卒業公演の次の日だからこそ、歌詞により気持ちが入った曲になったかなと思うので良かったです。

――作詞のときに言葉選びや気をつけていることは?

江籠 私目線で歌詞を書くのが好きなので、今の自分を歌った等身大の歌詞になっています。今はそういう曲しか書いていないし、一人称が「私」になっていて、そこがひとつのこだわりです。今後どうなっていくかは分からないのですけど今はそういう感じです。

◆大変だけどやっぱり楽しい

――卒業をして、新たな一歩を踏み出して良かったことってありますか?

江籠 グループにいた頃は、良くも悪くも常に人と比べてしまうし、比べられてきましたけど、一人になってそういうのがなくなったことですべてが自分次第になりました。シングルの制作のときも、自分がOKを出したらOKになってしまうこともあるので、そういう意味では妥協せずに常にどこまでいいところへ持っていけるかというのは自分との戦い。でもそれがやり甲斐でもあるので、すごく楽しいなって思いながら今は取り組めているので良かったです。

――それに対してプレッシャーは感じたりしますか?

江籠 プレッシャーではないですけど、ファンの方の反応はやっぱり気になりますね。でも以前から世界観をガラッと変えたりとかはしないので、自分のことを好きでいてくれる方に楽しんでもらえたらいいなっていう感じでやっています。

――行き詰まったときや何かあったときに相談する人っているんですか?

江籠 相談する人はいませんね。私自身が自分の頭の中にある理想をどう形にできるかが重要だと思っているので。自分の頭の中は共有できないし、それが難しいので自分で考えて解決しています。
なので、今回のジャケ写も自分でこういうのがいいという案をいくつか提示したりしました。すべてを自分で考えて作り上げるので、大変ですけどやっぱり楽しいです。

◆シンプルに運動をしなくなりました(笑)

――アイドルを卒業してから変えたことはありますか?

江籠 実は意外と変わっていなくて。ずっとあったものがなくなったといえば劇場公演くらいです。事務所も同じで拠点も名古屋なので、SKE48のメンバーにも会いますし、周りのスタッフさんも全然変わっていないので、大きく変わったことといえば公演がないのでシンプルに運動をしなくなりました(笑)。

――公演がなくなって、その空いた時間は何かやられたりしてるんですか?

江籠 それこそ3月29日バースデーライブがファンの方の前でもう一度何かをする最初の日にしようと決めているので、1、2月は家にいる時間が本当に多くて、愛犬のきなちゃんと遊んだり、SKE48のメンバーと会ったりしました。なので環境が大きく変わったという感じはあまりないです。

――アイドル活動以外に江籠さんが新生活で始めようと思っていることはありますか?

江籠 プライベートなことだと、免許を取って運転したいです! 今は行動範囲がすごく狭いので免許を取ったら行動の幅が広がりそうだなって。

――免許を取って行きたいところはありますか?

江籠 きなちゃんと旅行に行きたいです。犬を連れて電車で移動となるとやっぱり気を遣いますし、きなちゃんもストレスになっちゃうと思ってこれまでは遠出ができていなかったので、一緒に車でお出かけをしたいです。

◆特技を変えなかったのはこだわりが……?

――ソロになっても特技を変えていませんが、こだわりがあるんですか?

江籠 本当は変えたいけど、特技がないんですよ。なのでこだわりはありません(笑)。もっと他にできることがあればすぐに変えるんですけどね〜。ピアノとか何かスポーツができますっていうのが一番分かりやすいし、すごいなって思うんですけど私にはそういうのがないのでずっと変えずにここまできました(笑)。もともとこの特技を書いたときが消去法だったんです。SKE48としての初めての仕事がシングルの特典映像の撮影で、ひとり1個特技を披露するという仕事だったんです。それが入りだったので、初仕事で何か残さなきゃって思ったので、変わった特技になっちゃったんだと思います。

――ちなみになぜ魚編なんですか??

江籠 いろんな人に分かりやすいじゃないですか! 人偏より魚編の方が良くないですか?

――魚編の漢字は今でも書けるんですか?

江籠 当時はめっちゃ書けたんですけど、今は何個か書けるけど、以前みたいにたくさん書くためには練習しないと書けないです(笑)。でも意外と特技にこれを書いていたことで、仕事で魚編の漢字を書いてくださいって機会があったんですよ。それこそ横浜アリーナのコンサートで披露して、指原莉乃さんに「しょうもないからやめなさい」って言われたりしました(笑)。

――新しい特技は見つけないんですか?

江籠 それこそ免許を取って、運転が上手くなったら駐車が得意ですって言いたいので、今後に期待です。新しい特技が見つかったらすぐに消します! でも今後新しい特技を見つけるのか、プロフィールから特技の欄を無くすかはスタッフさんと相談します(笑)。

――話せる範囲でバースデーライブの見どころを教えてください。

江籠 今言えることは…ライブに向けて着々と準備を進めています。そしてサプライズがあります! 何かは当日のお楽しみで(笑)!

――今後の目標は?

江籠 アイドルフェスとかにいっぱい出たいというのが近い目標なので、そのためには曲がないのでライブでできるように楽曲をいっぱい作っていきたいです!

江籠裕奈(えご ゆうな)】
2000年3月29日生まれ。愛知県出身。 アイドルグループ「SKE48」のメンバーとして活動後、2024年3月よりソロアーティストとして活動開始。

取材・文/和田恵実 撮影/後藤 巧

江籠裕奈。3月27日に1stソロシングル「はじまる」を発売する