第96回アカデミー賞の作品賞と脚本賞にノミネートされた「パスト ライブス 再会」から、切なくも美しい世界観を凝縮した、シャロン・バン・エッテンの歌う楽曲「Quiet Eyes」にのせた特別映像(https://youtu.be/ieSmUC8azc4)がお披露目された。

【フォトギャラリー】「パスト ライブス 再会」美しい場面写真

本作は、ソウルで初恋に落ちた幼なじみのノラ(グレタ・リー)とヘソン(ユ・テオ)が、24年後に36歳となり、ニューヨークで再会する7日間を描くラブストーリー。物語のキーワードは、「運命」の意味で使う韓国の言葉"縁(イニョン)"。見知らぬ人とすれ違ったとき、袖が偶然触れるのは、前世(パスト ライブス)で何かの"縁"があったから。久しぶりに顔を合わせたふたりは、ニューヨークの街を歩きながら、互いの人生について語り合い、自らが「選ばなかった道」に思いを馳せる。「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のA24と、「パラサイト 半地下の家族」の韓国・CJ ENMが初の共同製作を担当。セリーヌ・ソン監督が、長編映画監督デビューを飾った。

特別映像は、まるで"輪廻"を象徴するように夜の街に浮かび上がるメリーゴーランドから始まり、緩やかなビートとエッテンの穏やかな声が心を掴む"再会を願う歌"が響く。故郷・ソウルの情景、12歳で初めて恋をした記憶などが切り取られ、そして36歳の夏に、ふたりは再び巡り合う。「Your quiet eyes break my heart now(あなたの静かな瞳が私の心を傷付ける)」、「You're calling out despite it(それでもあなたに呼ばれてる)」という歌詞の通り、ノラとの出会いから24年を経て、ヘソンはノラに会うために、ニューヨークへと降り立つ。

雨宿りをしながら煙草をふかす落ち着きのないヘソンは、再会を待ちわびながらも、不安を隠せない様子。そして再会の瞬間、ふたりは緊張から解放され、その姿からは一気に喜びが溢れ出している。その後、ニューヨークを巡るため地下鉄に乗り、同じポールに手をかけたふたりは、一瞬も目を逸らすことなく見つめ合うも、決して触れることはない。作家のアーサーと結婚したノラの薬指には、指輪が光る。12歳の自分自身と再会したように、24年の時の流れを受け入れようと、いくつもの感情が重なる表情で互いを見つめるふたり。映像は、「Will we meet again in the light?(私たち、また光の中で会える?)」というエッテンの歌声で締めくくられている。

「Quiet Eyes」を歌うエッテンは、米ニュージャージー出身のシンガーソングライター。もともとはレーベルのスタッフとして働きながら、自主制作で楽曲づくりに取り組み、2009年にアルバムデビューを果たし、2度の来日公演を成功させている。16年には女優としてもデビューを果たし、ドラマ「The OA」「ツイン・ピークス」、映画「17歳の瞳に映る世界」で存在感を発揮した。「Quiet Eyes」では、過去2枚のアルバムでタッグを組んできたZachary Dawesと共同で作曲・演奏を行っている。

劇中音楽を手がけたのは、ニューヨークブルックリンを拠点に活動するオルタナティブロックバンド「グリズリー・ベア」の主要メンバーであるダニエル・ロッセンとクリストファー・ベア。「レディオヘッド」との共演経験があり、「アニマル・コレクティブ」などと並んで、USインディ界を牽引するバンドのひとつでもある。そんなバンドの"頭脳"と呼ばれるボーカル&ギターのロッセンと、ドラムのベアが、物語を彩る至極の15曲を用意した。自然を写す水面、窓から差し込む光、静かに佇む街の景色――繊細な映像と物語に優しく溶け込んでいくような楽曲となっている。

「パスト ライブス 再会」は、4月5日から東京・TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開される。なお3日間限定先行上映は、3月22日~24日にTOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田にて、各日1回で実施。来場者には入場者プレゼントとして、オリジナルポストカードセットが配布される(※先着限定、なくなり次第終了)。鑑賞料金は通常と同じで、詳細は各劇場のサイトで確認できる。

12歳での初恋。そして36歳の夏に、ふたりは再び巡り合う (C)Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved