バーチャルアーティストとDJが出演するクラブフェス『V-REAK!!』が、3月17日に渋谷WOMBで開催された。

 『V-REAK!!』は「バーチャルとリアルの境界線をBREAK」することをテーマに、雑誌『VTuber mode』が主催する今回が初開催のイベント。メインフロアだけでなく、WOMB LOUNGEをサブステージにして、2フロアでの音が鳴り止まない空間を展開した。

 イベントのトリを務めたのは、えのぐ。直前までDJとしてフロアを揺らしていたパルムが、ラストに「Yell for Dear」でえのぐに繋いだことも相まって、1曲目の「スタートライン(2022 ver.)」から会場の盛り上がりはトップギアだ。「ビリパリッ!!!」「BAD DANCE」といったEP『MIX』からのナンバーを披露しながら、ラストは「ヴァーチャルバーサーカー」で狂乱のフィッシュとなった。

 えのぐと同じバーチャルアイドルユニットとして出演していたのは、épeler。「Pride Bride」や最新曲の「My Shining Day」まで計4曲を駆け抜けた。音楽×仮想世界プロジェクト「十五少女」は、mzsrz(大原きらり)をボーカルに迎え、十五少女 feat. mzsrzとして初のライブとなった。「漂流」から儚げに始まった十五少女のライブは、「八月三十二日」で終わりを迎えた。

 ほかにもDJ WILD PARTYは、ChumuNote「Broken Promises(feat. Purukichi)」から星街すいせいソワレ」を経由して、名取さなの誕生日(3月7日)を祝福する「メチャ・ハッピー・ショー」まで30分余りのDJをシームレスに繋いでいった。

 バーチャルアーティストやDJと同じ並びでメインステージに出演していたのが、Vライバーだ。えのぐ、épelerのようなバーチャルアーティストに限りなく近いが、普段は17LIVEでバーチャル配信をしているVライバーがステージに出演する権利を掴み取った夢のような瞬間だった。

 Vライバーとしてトップバッターを切った雪わんこは、「ドメスティックバイオレンス」「FREEDOM」といったAdoの楽曲で見た目とはギャップのあるボーカルを響かせ、17LIVEでの再会を約束した。“ちゃうぞ組”として普段から交流のある歌伝みぃると御珠すず。この4月で17LIVEでの配信開始から1年を迎える歌伝みぃるは、かいりきベア「バグ」、Kanaria feat. 星街すいせいレクイエム」で妖艶な歌声を響かせ、ラストは自身のオリジナル曲The beginning of starlight」で真っ直ぐなメッセージを届けた。

 「わんこー!」という歌伝みぃるからのコールを受けて登場した御珠すずは、自身が「きつね」であることをしっかり主張してから、DECO*27ボルテッカー」、柊マグネタイト feat. 可不「マーシャル・マキシマイザー」の2曲で歌い手としての実力を見せつける。ラストは御珠すずにとっての歌への思いを込めた初めてのオリジナル曲「思い届け」を初披露した。

 人生初ライブとなる猫夢もずは、スクリーンに「ここは夢の中 夢の世界です」「ここから私 猫夢もずが貴方を夢の中へ 誘います」「短い時間ですが 盛り上がって楽しんで頂けると うれしいです」と映し出し、先のVライバーとは異なる演出で自身の世界観を作り出す。選曲はAdo「唱」、ずっと真夜中でいいのに。「残機」といったメインストリームとも言えるアーティストと楽曲。だからこその覚悟を感じられるパフォーマンスでもあった。

 Vライバーとしてはトリを務めるホーリー・ドーナッツは、MAISONdesトウキョウ・シャンディ・ランデヴ」、水曜日のカンパネラ「エジソン」、吉川友「こんな私でよかったら」の3曲を歌唱。「エジソン」の途中には〈間違いなくこれからの時代くるのはドーナツ!いや、歌うまかわいい、動画配信者なんだけどな〉と歌詞をアレンジする余裕を見せていた。

 バーチャルとリアルの垣根を超えたステージを展開した今回の『V-REAK!!』。えのぐのステージ終わりには、パルムが会場に残った参加者に感謝を示しつつ、再びWOMBにて2回目の『V-REAK!!』の開催を発表。日程や出演アーティストなど詳細はまだ未定ではあるが、そこには多様なライブの形が存在しているはずだ。

『V-REAK!!』(撮影=渡辺彰浩)