鼻づまりで病院に行ったら、突然のがん宣告! WEBで大反響を呼び昨年書籍化された、がん闘病コミックエッセイ『鼻腔ガンになった話』。お金や手術、副作用と不安を抱えながらも、家族や周囲の人々と支え合い闘病生活を乗り越えていく様子を、”がんサバイバー”当事者の視点からコミカルに描いている。

【漫画を読む】抗がん剤治療を前に不安に襲われる

2024年3月には、続編の『続 鼻腔ガンになった話 未来への道』が電子書籍で刊行された。そこで続編に至る前シリーズの一部を抜粋・編集し、作者であるやよいかめさんのインタビューとともにお届けする。

※本作で紹介している症状は、個人の体験談でありすべての人に当てはまるものではありません。症状で悩んでいる場合は医師・看護師等の専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含む為、閲覧にはご注意ください。

■手術や治療に対する不安。同じがん患者の体験談が心の支えに

治療による脱毛の対策や、知人への告知を迷うなど気が重くなるばかり。そんな中で、ネットで見かけるがん患者の前向きな体験談に励まされていく。

抗がん剤治療による脱毛も不安だったというが、「腫瘍が鼻だったので、手術で顔が変わってしまうのがとにかく怖かったです。鼻が削げて無くなったらどうしよう、と思っていました。そうなったとしても、自分が家族みんなをサポートしたり、子供たちを育てたりすることはできたりするはず、と前を向きました。『どんな顔になってもできることはある!顔が変わっても生き抜こう!』と決意をして通院。ですが、術後に元の顔に戻れるかどうかやっぱり心配で、顔を復元する整形についても調べていました」

通販サイトのウィッグのレビューなど、がん患者の体験談にも勇気づけられた。「『抗がん剤治療で髪の毛が抜けてしまったので、こちらのウィッグを買いました。自然なつけ心地でよかったですよ』といった書き込みです。ただそれだけのなんてことのない一言だったんですが、『一緒だ!』と思えて心がフッと軽くなりました。それまでは『自分だけが大変!』っていう思いが無意識にあったのかもしれません。若いがん患者さんの意見が聞けてうれしいと感じた経験が、がんの漫画を描くきっかけの一つになりました」

がん告知以降も、子供はいつも通り元気だったそう。「逆に『ママ、がんなんですけど?』って何回か申告したくらい。『ママが入院する前にしっかり甘えとくね』というちゃっかりさんたちでした。まだ幼かったため、実はがんについてよくわかっていなかったのではないかと考えています。数年後、『はたらく細胞』のがん腫瘍の回を見て、『ママって、ヤバかったんやなぁ』と言っていました」

この後、間もなく入院。不安だった抗がん剤治療が始まる。

「鼻腔ガンになった話」第5話より