11月に北海道での開催を予定している、食と映像の映画祭「北海道フードフィルムフェスティバル」のプレイベントが3月21日北海道札幌市内で行われ、TOHOシネマズすすきのでは大泉洋主演の映画「そらのレストラン」を上映。映画上映後には大泉洋本上まなみをゲストに迎えたトークイベントが行われた。

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大泉が所属する芸能事務所クリエイティブオフィスキュー札幌市北海道新聞社がタッグを組んで執り行われる「北海道フードフィルムフェスティバル」は、"食の映像"と"北海道の食・観光"を結びつけた取り組みを展開する映画祭。11月の開催を前に、3月19日から21日にかけてプレイベントを実施しており、そこでは札幌を舞台に現在製作中のドキュメンタリー映画「北の食景(仮題)」の完成前トークイベント、映画「劇場版 おいしい給食 Final Battle」の上映&市原隼人をゲストに迎えたトークイベント、そして「そらのレストラン」の上映&トークイベント、そして「そらのレストラン」に関連した食事を食べることのできるシネマディナーイベントなどが行われた。

プレイベント最終日となる21日に上映された「そらのレストラン」は、クリエイティブオフィスキューが「地域と人と食」をテーマに企画した"北海道三部作"(「しあわせのパン」「ぶどうのなみだ」「そらのレストラン」)の1本で、北海道のチーズ生産者と農業を営む仲間たちのきずなを描き出した作品。

映画上映後、万雷の拍手が鳴り響く中、ステージに登壇した大泉は、「先ほどお話をしていたら、この映画、5年前の映画だということで。そんなに年月がたったのかと思いました。本当に思い出深い、すばらしい映画なので、こんなにもたくさんの方に観ていただいてうれしく思います」とあいさつ。続く本上も「ただいま! 北海道に帰ってきました!」とあいさつすると、「この映画はわたしの人生で大切な作品になっています。その作品をお客さまに、しかもこんなにも大きなスクリーンで観ていただけるなんて。こんな日がくるんだなとうれしく思っています」と笑顔を見せた。

本作は、世界屈指の美食の街であるバスク地方サン・セバスチャンで行われている第67回サン・セバスチャン国際映画祭のキュリナリー・シネマ部門に選出された。同部門は、食に関連した映画を上映した後に、その作品に関連したディナーを楽しむことのできる同映画祭屈指の人気プログラムとなる。

大泉は「今だから言えますけど、サン・セバスチャンって規模が大きくないんで予算がなくて。監督とプロデューサーしか呼ばれなかった。でもどうしても映画祭に行きたかったので。テレビ番組の企画で連れてってもらって、映画祭に行くことができました。なのにそこで写真集までつくってしまって、(その番組の司会を務めていたTBSアナウンサーの)安住さんに怒られました。しかも映画の上映の時も会場に入ろうとしたら、主演俳優なのに待てと言われて、外で待たされて。苦い思い出ですよ」と次々とボヤき続けて会場は大笑い。

すかさず司会者から「もう少し楽しいお話を」とたしなめられ、ドッと沸いた会場内。すると大泉は「その後に食事会がありまして。この映画にまつわる食事をシェフがつくってくれたわけですが、わたしはもう映画のことよりも現地の人を笑わせることにすべてをかけていました。とにかくご飯がおいしかった記憶がありますね」と振り返った。そんな流れで「そらのレストラン」のロケ地となった北海道の檜山北部・せたな町が「日本のサン・セバスチャンである」と語る大泉のもとに、大泉と本上演じる主人公夫妻のモデルとなった村上健吾さん妙子さん夫妻、そしてマキタスポーツ演じる石村のモデルとなった富樫一仁さん、そして本作のフードアドバイザーを務めた塚田宏幸シェフも来場。

本作のモデルとなった「やまの会」は、自然栽培やオーガニック農法で作物や家畜を育てている自然派農民ユニットであるが、無農薬栽培と言っても、ただ肥料を使わなければ良い、というものではなく、根本的な土から変えていかないと無農薬栽培はできないのだという事実を、驚いた様子で観客に報告する大泉。富樫さんも「土をつくるのには何年もかかかりますけど、今は本当にいい状況になりました。自分は大豆をつくっているんですけど、自然の災害っていろいろあるんですよ。虫に食べられたり、鹿に食べられたり、あるときは雪の下になったり。そういうことが3年くらい続いて、(大泉演じる)亘理くんじゃないけど、これ以上やっていけないんじゃないかと思った時もありました。そんな時に『そらのレストラン』のロケがあって。公開が2019年でしたが、あれでわれわれも助けていただいたんですよ」と語り、「おお!」と沸いた会場内。大泉も「しかもこの間、わたしが(テレビ番組の)『人生最高レストラン』で紹介しちゃったものだから。富樫さんはわたしに向かって足を向けて寝られないですよ!」と冗談めかして語るものの、大泉たちがこの映画を通じて大切なきずなを築きあげた様子がうかがい知れた。

きずなを結んだのは本上も同様だったようで、「せたな町に家族を絶対に連れていきたいと思って検索したら、海の家という民宿が出てきて。そこに電話をしたら富樫さんの奥さんが出て、そのお声を聞いてふたりで大号泣ですよ。それで家族で遊びに行きました。村上さんのところにも遊びに行って本当に楽しかった」と述懐。すると大泉が「偶然ですが、そこにわたしの家族もいたんです」と明かして会場はビックリ。「わたしも数年ぶりに遊びに行ったら、それがちょうど同じ日で。本上家と大泉家で一緒に遊んでいました」と明かした大泉。そこではモルック(棒を投げてスキットルという的を倒すスポーツ)で遊んでいたとのことで、本上も「大泉さんが実況中継をしてくれて。最高の一日を過ごしました」と笑顔を見せた。

トークイベント終了後は、札幌のオリンピックミュージアムで営業する創作フランス料理レストラン「ヌーベルプース大倉山」に会場を移し、映画の世界観を味わうシネマディナーを実施。「そらのレストラン」のモデルになった「やまの会」の希少な食材を使用した極上のディナーと道産ワインを堪能するなど、観客の評判も上々。まさに「食」と「映画」を融合させたイベントは大盛況のうちに幕を下ろした。

北海道フードフィルムフェスティバル」は11月22日~24日に実施予定。

食と映像の映画祭「北海道フードフィルムフェスティバル」のプレイベントに登壇!