えっ? これってあの「ゴルフ」なの!? 世界のベンチマークVWゴルフに存在したキワモノ派生車たち

この記事をまとめると

■2024年で生誕50周年を迎えたフォルクスワーゲン・ゴルフの派生車種を5つ紹介

ピックアップトラックオフロードモデルなどユニークな車種が存在する

■貴重なモデルになると新車価格の数倍の値段で取引される例もある

あなたの知らないゴルフが大集合!

 世界中で愛されたフォルクスワーゲン・タイプ1(いわゆるビートル)の後継モデルとして1974年に誕生した「フォルクスワーゲン・ゴルフ」は、今年で生誕50周年。大定番のハッチバックとしていまなお進化を続けながら世界中で愛されているわけだが、その長い歴史のなかではさまざまな派生モデルも登場した。

 もちろん、派生モデルとはいえヴァリアントステーションワゴン)やカブリオレなどはほぼメインストリームともいえるが、50年の歴史のなかでは、たまに変わり種の派生モデルも登場していた。

 そのうちのひとつが、1980年に発売された「フォルクスワーゲン・キャディ」だ。これは初代ゴルフのピックアップトラック版で、ビジュアル的には「サニトラ」に近い。搭載エンジンは1.6リッターガソリンまたは1.5リッターディーゼルで、日本への正規輸入はされなかったが、ゴルフが「ラビット」という車名で販売されていた北米へは「ラビットピックアップ」として輸出された。

フォルクスワーゲン・ゴルフの異色なモデルを集めたら愉快すぎた

 キャディは1995年には2代目へとフルモデルチェンジされ、さらに2003年には3代目が登場。3代目はピックアップではなく両側スライドドアの5ドアバンに進化し、さらに2020年には最新のMQBプラットフォームをベースとする4代目のキャディが誕生している。日本ではほぼ知られざる存在といえるゴルフ由来のキャディだが、海外市場ではそのモデルライフが連綿と続いているのだ。

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 先ほど述べたように、今年はゴルフ生誕50周年の年だが、ゴルフ40周年記念車としては、ゴルフIIをフルタイム4WD化した「ゴルフシンクロ」が1986年3月に西ドイツ(!)で発売され、日本ではヤナセによって1987年7月に発売された。ヨーロッパ以外の国への輸出はこれが初めてであったらしい。

 ゴルフシンクロはビスカスカップリングを用いたフルタイム4WD車で、1987年当時の新車価格は334万5000円。ただし、大阪エリアでの価格は1万円高く、仙台、福岡、札幌ではさらに高い。そういえば昔は、地域によって新車価格が違ったりもしていましたな。

異色すぎた4WDモデルも!

 フルタイム4WDのゴルフといえば、1989年にはラリーのグループA部門で戦うためのホモロゲーション取得モデルとして「ラリーゴルフG60」も登場している。自然吸気の2WD車であるゴルフGTIではもはやWRCで勝てなくなったフォルクスワーゲンは、「4WD+過給器+ブリスターフェンダーのゴルフ」で勝負に出たのだ。

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 エンジン排気量は1.8リッターで、そこにフォルクスワーゲン独自のスクロール式の圧縮機「Gラーダー」を追加。過給機をつけるとWRCの規則では排気量1.7倍に換算されるため、有利な3リッタークラスに収まるように1781ccから1763ccへ排気量を微妙に減少。ちなみに市販版ラリーゴルフG60の最高出力は160馬力だった。

 そして、トレッドをガバッと広げ、ランチアデルタHFインテグラーレもかくやのブリスターフェンダーをまとうに至ったのだ。WRCグループAでは残念ながらあまり活躍できなかったラリーゴルフG60だが、5000台生産された市販車の中古車がもしも良好な状態で保存されていたら、いまやかなりの値が付くのではないだろうか。

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 ちなみに同1989年には、最高出力210馬力の1.8リッター直4DOHCスーパーチャージドエンジンを搭載する「ゴルフG60リミテッド」も70台限定で販売されたが、こちらはブリスターフェンダーではなく、外観的には普通のゴルフIIである。

 そして1990年には、前述したゴルフシンクロをベースとした、いまで言うクロスオーバーSUVの「ゴルフカントリー」を投入。ゴルフカントリーは、ゴルフシンクロの最低地上高を上げたうえで、荒れた路面でタイヤが激しく動いても大丈夫なようにホイールハウスを拡大。そして、オフロードでのあれこれを考慮して前後のプロテクトバーや大きな補助灯、岩などからエンジンを守るアンダーガード等々を装着している。

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 1990年から1991年にかけてわずか7735台のみが生産され、日本への正規輸入は100台ほどでしかなかったゴルフカントリーだが、それはまさに来るべきクロスオーバーSUVブームを予見していたというか、先駆けだったといっていいだろう。

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 ゴルフカントリーの中古車が市場に出てくる機会はいまやほとんどないが、「オートモビルカウンシル2021」に出品されたいた極上モノには約600万円の値札が付いていた。もちろん人それぞれの価値観次第ではあるが、それぐらいの希少価値はあるといっていいだろう。

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