アメリカ、ニューヨーク市の街角では、MS-13など大規模なギャングと関わりを持つ販売者集団が、移民たちに、偽の社会保障番号やグリーンカードを公然と売りさばいているという。
1週間で少なくとも10人の男たちが、クイーンズのルーズベルト・アベニューの路上4ヵ所で、白昼堂々、偽造証明書を80ドルから250ドル(1万2000円~3万7500円)で売りつけているところを目撃された。
【画像】 路上で公然と移民に偽造IDを売りさばくギャングたち
このの行為は、新たな治安の脅威となりつつあり、街の平穏を大きく乱す可能性を秘めている。
社会保障番号(ソーシャルセキュリティーナンバー)は、1936年より導入された国民識別番号で、アメリカ国民、永住権所有者及び労働等を目的とした一時的な居住者に対し発行される個人番号である。
社会保障番号がないと、銀行口座を開いたり運転免許証、クレジットカードの取得ができない。
また米国の永住権を持っていることを示す身分証明書であるグリーンカードは、移民にアメリカに居住して働く法的権利を与える。
移民の多くは、雇い主が書類をあまり細かく見ないような職に就くためにこうした偽物を購入するという。
ルーズベルト・アベニューでは少なくとも10人の男たちが偽の身分証明書を売り
つけていた。
偽の身分証でテロ行為が行われる可能性も
だがもっと恐ろしい目的のために、偽の身分証を手に入れる者もいる。
「こうした偽の身分証を持つ者が、トラックに爆発物を積んで、ホランドトンネルの中に持ち込み、大規模な惨事を引き起こすことがあるかもしれない」と警告するのは、ニューイングランド地方で国土安全保障調査担当だった元特別捜査官のブルース・フーカート氏だ。
「テロを起こすなど国の安全保障上脅威になる人物にとって、米国で第二の人生を築くのは今やいとも簡単なことなのです」
「このままでは、再び第二の911が起こるのは間違いないでしょう」
Gangbangers openly sell fake IDs, green cards to migrants on NYC streets as officials warn of danger https://t.co/6Lw2ZzNbYp pic.twitter.com/Ux5aiHfIgC
— New York Post (@nypost) March 9, 2024
水曜日、ジャクソン・ハイツからエルムハーストとコロナまで続くルーズベルト・アベニュー82丁目と103丁目の間でのことをポスト紙が次のように報じた。
・ラ・ガータ・ゴローサ・ベイカリーの外に集まっていたフードを被った5人の男たちが、「社会保障、社会保障」とささやきながら、スペイン語を話す者たちとなにやら雑談していた。
・合わせて読みたい→アメリカの今の犯罪率がこのまま続けば179人にひとりが殺害されることになる
ひとりが買い手を装ったポスト紙の記者にまっさらの永住権と社会保障カードを80ドルでどうだと声をかけてきた。「ちゃんと有効なものだよ」怪しげな売人は太鼓判を押し、自分のスマホで偽書類のサンプルを見せた。「あんたのフルネーム、年齢があればいい。顔写真は撮ってやるよ」
・売人の何人かは、客を引き連れて通りから82丁目のマデリン・サロンの地下へ急いで向かった。ガラス戸の向こうで現金の引き渡しと書類の受け取りが行われているらしい。
・102丁目と103丁目の間にある〝保険事務所〟の外の椅子に座っていた別の売人は、偽のグリーンカードは180ドル、社会保障カードは70ドルだと言った。たくさんの人間が偽造カードを購入していると言うが、その数については明らかにしなかった。
・ある売人はポスト紙記者を理髪店の下へ連れて行き、自分の名前、年齢、出身国をスマホに入力するよう言った。最初、グリーンカードと社会保障カードで200ドルと言ったが、交渉の末、80ドルに値下げした。記者は購入はしなかった。
Instagramのアカウント「Zombiesinnyc」が投稿した映像によると、別の偽造文書販売者が高架下の歩道の椅子に座っている様子がビデオに撮影されている。
ルーズベルト・アベニューは偽造IDの温床に
警察上層部の話によると、ルーズベルト・アベニューの偽造証明書の売人たちは18丁目ストリートギャングや冷酷なMS-13と連携しているという。
どちらのギャング団もロスが発祥で、暴力と麻薬取引で知られているライバル同士だが、偽造IDにも手を出している。
「偽造IDはギャングたちにとって大きなビジネスになっている」という。
偽造IDを作る製造所を経営する多国籍犯罪組織もまた、こうした違法移民の入国を手助けしていて、彼らのための〝なんでも店〟を構えている可能性がある。
捜査関係者の中では、クイーンズのルーズベルト・アベニューは偽造ID売買の東海岸の中心地としてずっと知られていた。
ここは性労働者の温床でもあり、最近もYouTube動画でも人気の「青空恋人市場」が暴露された。
地域住民や労働者たちは、町のど真ん中にある偽造ID製造所に激怒している。
ルーズベルト・アベニューにある食料品店で働くジー・オマールさん(24)は語る。「偽の社会保障番号を売買しているのに誰もなにも言わなければ、次は武器とパスポートになるでしょうね。今は誰もがやりたい放題ですよ」
2022年の春以降、ニューヨークには18万人近くの移民が流入していて、IDカードの需要が高まっている。
「ほかの行政区の人たちが身分証を取得するためにわざわざこの地区へ流れてくるのです。新たな移民はすべてここに来ているといってもいいくらいだ」
Sanctuary cities are where the fall of the Republic begin.
— 🇺🇲Salty Texan (@texan_maga) March 9, 2024
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サウスカロライナ州シタデル刑事司法省のロイ・フェノフ氏は、不法移民たちは偽造文書によって、政府の身分証がなければ受けられなかったたくさんのサービスを受けることができるようになると言う。
「いったん偽造IDを取得してしまえば、仕事に就くことができ、旅行ができ、米国内の多くのサービスを受けることができます。仕事を得るためではなく、別の目的でこうした偽造カードを手に入れる者もいて、彼らが犯罪を助長しているのです」
自分の社会保険番号が使用され、犯罪に巻き込まれることも
社会保障カードは偽物でも、ナンバーは本物なので、真の米国国民が負の影響を受ける可能性もあるという。
「もし私が他人の社会保障ナンバーを使って犯罪を犯し、その人の名前をかたった場合、無実の人が逮捕される可能性があります。この人物が本当に誰かはわからないからです」フェノフ氏はIDを盗まれたデンバーに住む女性のケースをあげて言う。
不法移民は、本名が犯罪暦に残ることを避けるため、偽造カードを使うこともあるという。
「過去に指紋を採取されたことがなければ、偽名で何度も逮捕されることだってあります。本当の名前で記録が残ることがないのです」ニューヨーク市警の元情報副部長ジョン・カッター氏は語る。
「偽造IDを使えば、足がつきませんから幽霊になるようなもので、より大胆に積極的に法を犯し、より深刻な犯罪に手を染めるようになるかもしれません」
ジョージア大学の看護学生だったレイケン・ライリーを殺害したとして起訴されている不法移民のディエゴ・イバラは、学校で働くために入手した偽造グリーンカードを所持していた疑いで連邦政府に拘留されている。
ディエゴはベネズエラの残忍なギャング団と関係があるとされている。
当局は取り締まりを強化
ニューヨーク州では、偽造IDを作ることは偽造文書所持の罪になり、最高で懲役7年の重罪だ。
ニューヨーク市警は、引き続きルーズベルト・アベニューのこの状況に対処していき、あらゆる違法行為の芽をつぶそうと捜査していると、広報担当者は言っている。
こうした偽造カードがどれだけ流通しているのか、それが闇市場でどれほどの価値になっているのかは不明だが、カッター氏はおそらくニューヨーク市だけで数万枚のグリーンカードや社会保障カードが使用されていると推定している。
移民の急増で偽造文書の製造、販売が止まらないのは確かだ。
「不正の機会が増え、その需要も増えれば、市場は常にそれを追従するものです」フェノフ氏は指摘する。
追記(2024/03/24)ニューイングランド州をニューイングランド地方に変更して再送します。
References:Gangbangers openly selling phony green cards on NYC streets / written by konohazuku / edited by / parumo
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