東京23区唯一の“ぼけ封じ関東三十三観音霊場”である玉川大師(東京都世田谷区)では、2024年3月17日3月23日にかけて「春彼岸会」を開催。

【写真】ガンマ波変調技術搭載スピーカー「kikippa」

本イベントでは、テレビなどの音声に40ヘルツ変調を施した“ガンマ波サウンド”を出力するスピーカー「kikippa」(ききっぱ)が導入され、寺院業界初の取り組みとして注目されている。そんななか、春のお彼岸のお中日(春分の日)となる3月20日に、御供養・ご祈祷が報道公開された。

「kikippa」とは、テレビなどの音声に対して独自のアルゴリズムにより40ヘルツ変調を施し、ガンマ波サウンドとして加工・出力することができるガンマ波変調技術搭載スピーカー。寺院業界に先駆け、認知症予防プログラムなどを提供する全国のクリニックや高齢者施設での導入が進んでいるという。

現在、高齢化の進展とともに認知症患者数も増加しており、厚生労働省の調査によると、65歳以上の認知症患者数は2025年には約700万人(有病率約20%)、つまり5人に1人程度が認知症になると予測されている。こうした理由もあってか、ぼけ封じ関東三十三観音霊場である玉川大師にも、連日多くの参拝者が“ぼけ封じ”の願いとともに、都内外より参拝者が訪れている。

そうした参拝者がさらなる御利益を享受できるよう、同寺院では「kikippa」の導入を決定したそうで、「春彼岸会」の期間中は地下仏殿のご参拝とお彼岸の御供養および、住職のご祈祷を実施。さらに“ご詠歌”の音源を40Hz変調に加工したガンマ波サウンドで出力しており、大勢の参拝者が「kikippa」がもたらす効果を体感していた。

玉川大師・5代目住職の眞保龍言さんは「kikippa」の導入に踏み切った理由について、以下のように話す。「実は最近『kikippa』の存在を知り、『kikippa』を通じて、ガンマ波サウンドが認知機能を改善する可能性があることに驚きました。認知症は自分ではなかなか気づけない病と伺っております。気づけない不安を気づかない効果で対処する感じが、仏の教えである大慈大悲の関係性に近いものを感じざるを得ません。この『kikippa』を導入することで、参拝者の心の拠りどころとなることを期待しております」

今回の取り組みがきっかけとなり、寺院業界にてガンマ波サウンドスピーカーの導入が本格的に検討されることになるかもしれない。

取材・文=ソムタム田井

春のお彼岸のお中日に実施された「春彼岸会」の御供養・ご祈祷/撮影:ソムタム田井