●銀座で飛ぶように売れていると噂の超贅沢な海苔弁を食べてみた

「海苔弁」というと、筆者は若い頃、仕事帰りによく食べた地元の“ほか弁”を思い出します。当時、確か270円くらいで、店の弁当の中でも最安値でした。

 蓋を開けると魚のフライや厚焼卵や、キンピラゴボウちくわの磯辺揚げなどがぎゅうぎゅうに詰まっていて、ごはんは大盛り。ペコペコのお腹をすぐ満たしてくれました。ただし、海苔やごはん、おかずなどが全体的に油っぽくて、味わうというより、丼飯のようにかっこんでいた記憶があります。

 しかし、今回ご紹介する海苔弁は、その青春時代の海苔弁とは真逆の一品です。おかず、ごはん、海苔、漬物など、細部にいたるまで手抜かりゼロ。尋常ではないこだわりを持った、とても贅沢な海苔弁なのです。

 販売されている場所は、東京・銀座。そう、日本でも指折りに地価が高く、かつ高級ブランドショップが立ち並ぶ、あの“ギンザ”です。そんな華やかな場所で、地味な「海苔弁」が飛ぶように売れているというじゃありませんか。

 その海苔弁を売っているのは、丸ノ内線銀座駅に直結している東急プラザ銀座B2にある『SALON GINZA SABOU』です。

『SALON GINZA SABOU』の入口に山積みになっている「海苔弁」(1100円~)たち
SALON GINZA SABOU』の入口に山積みになっている「海苔弁」(1100円~)たち

SALON GINZA SABOU』の店頭に午前中に行くと、写真のように山のような「海苔弁」がどっさり。それがあれよあれよという間に飛ぶように売れ、昼過ぎには完売するんです。

 筆者が訪れた日も、お客さんが、1個、2個と買っていきます。中には「銀鮭海苔弁、10個ください」なんて大人買いしている男性も。

 海苔弁はベーシックな「銀鮭海苔弁」(1100円)のほか、「唐揚げ海苔弁」(1100円)、「鰆の幽庵焼き海苔弁」(1400円)の3種類があります。お店の方に聞くと、「一番人気は銀鮭海苔弁で、最初に売り切れますよ」とのこと。そこで今回は、その「銀鮭海苔弁」を購入してみました。

大きいだけじゃない、脂の載った絶品の国産銀鮭が旨い!

『SALON GINZA SABOU』の「銀鮭海苔弁」(1100円)
SALON GINZA SABOU』の「銀鮭海苔弁」(1100円)

「銀鮭海苔弁」は、竹皮を編んだ容器に入っていて、蓋を開けると、ドーンとビッグな銀鮭の切り身が出現します。その下にはちくわの磯辺揚げ、厚焼卵、煮しめ、浅漬けなども入っているのが見て取れます。何より、弁当箱から醸し出されている雰囲気が、いかにも高級です。

 というわけで、いざ気になる中身をご紹介していきましょう。

大きな銀鮭は、国産の銀鮭を沖縄産の糸満塩を振って焼き上げたもの
大きな銀鮭は、国産の銀鮭を沖縄産の糸満塩を振って焼き上げたもの

 銀鮭を持ち上げてみると、ズシッと重く、皮の焼き目が絶妙で、なんとも芳しい香りが鼻をくすぐります。箸を入れると、ふっくらやわらく切れて、身がぶ厚くて脂もノリノリ! こんな贅沢な鮭がお弁当に入っているのは見たことがありません。

立派な銀鮭です!
立派な銀鮭です!

 その銀鮭の下に控えるのが弁当の主役たる海苔です。この海苔は、瀬戸内産の一番摘み「まる」等級海苔を使用しているそうで、美しく黒光りしています。香りもたまりません。

 ちなみに海苔の“◯(まる)等級”というのは、若い芽だけを使って作る海苔のこと。柔らかいので目が詰まらず穴あきになるのが特徴。歯切れがよく、とろけるような食感の海苔です。

瀬戸内産の一番摘み「まる」等級海苔を使用
瀬戸内産の一番摘み「まる」等級海苔を使用

 さらにごはんにも手抜かりなし。お米は、天皇献上米として認められた幻のお米として名高い『雪ほたか』(群馬県コシヒカリ)を使用し、なんと、土鍋で炊いているそう。

 口にすると、一粒ずつのお米の形が舌の上でわかるほど粒立ちがよく、さらにみずみずしさもあり、噛むほどにごはんの甘みがじわじわと口内に広がっていきます。冷えているのに、こんなに美味しいごはんがあったとは……スゴいの一言です。

海苔弁の美味しさの醍醐味はやっぱりご飯。冷えていてもなお旨し
海苔弁の美味しさの醍醐味はやっぱりご飯。冷えていてもなお旨し

 そして、この「海苔弁」のスゴさがよくわかるのが、磯辺揚げ。これが普通のちくわの磯辺揚げのようで、実は違うのです。食べてみると、魚の旨味がぎゅぎゅっと濃縮されたような濃厚な味わい。実はこれ、イワシやサバの身を使った静岡県産特産黒はんぺんに、青のりをまとわせて揚げたものなんだそうです。

ちくわの磯辺揚げのようだが、実は黒はんぺんを磯辺揚げにしている
ちくわの磯辺揚げのようだが、実は黒はんぺんを磯辺揚げにしている

 また、蓮根やコンニャクにんじんなどの煮しめから、出汁巻き卵に至るまで、どれも料亭で出てくるような繊細かつ滋味深いお味。さらに写真を見ていただくとおわかりの通り、キュウリやカブの季節の浅漬けも色鮮やかで、キラキラしています。こちらも塩味控えめで、昆布味がしっかり効いた、至極のお漬物なんですよ。

まとめ

季節の浅漬けは、糸満塩と昆布、柚子を使っている
季節の浅漬けは、糸満塩と昆布、柚子を使っている

 弁当箱の中にあるものすべてが美味しくて、大げさでなくかなり感動しました。「海苔弁」と名乗ってはいるものの、その味わいは懐石弁当レベル! となると、1100円というお値段は、むしろ安いのかもしれません。

 銀座にお立ち寄りの際は、この『SALON GINZA SABOU』の海苔弁を買ってお土産にしてみてください。きっと喜ばれると思いますよ。

(撮影・文◎如雨露)

●SHOP INFO

店名:SALON GINZA SABOU

住:東京都中央区銀座4-2-1 東急プラザ銀座B2
TEL:03-6264-5320
営:11:00~20:00

『SALON GINZA SABOU』の「銀鮭海苔弁」1100円 | 食楽web