橋本環奈主演、中園ミホ脚本のテレビ朝日開局65周年記念 ドラマプレミアム「万博の太陽」(夜9:00-11:00、テレビ朝日系)が、3月24日(日)に放送される。本作は、1970年に開催された国民的イベント・大阪万博を舞台に、万博で働くことを夢見たヒロインの青春と家族の物語を温かく描くヒューマン・ホームドラマ。夢に向かってまい進する主人公・朝野今日子を橋本が演じるほか、飯豊まりえ、木戸大聖、江口のりこ、唐沢寿明らが出演する。このたび、WEBザテレビジョンでは、放送に先駆けて「万博の太陽」を視聴。独自にドラマの見どころを紹介していく。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】大阪万博の制服でポーズを決める今日子(橋本環奈)&千夏(飯豊まりえ)

■物語を盛り上げるキャスト陣が集結!

ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズ、ドラマ「七人の秘書」(2020年)、「ハケンの品格」(2007年、日本テレビ系)などヒットドラマを手掛け、2025年度前期のNHK連続テレビ小説あんぱん」の執筆も発表されている中園が脚本を務める本作。

「世界中の人たちとつながりたい!」という思いを胸に万博で働くことを夢見た今日子を橋本が、大阪へ旅立った今日子を迎え入れる万田家の長女で、研究者になりたいという夢を抱く千夏を飯豊が、そんな千夏の見合い相手・倉本鉄平役を木戸が務める。鉄平は、万博会場の総合設計を担った建築家・丹下健三の設計事務所に勤める若手のエリートで穏やかな好青年だが、猪突(ちょとつ)猛進タイプの今日子と何かと衝突するという役どころだ。

そして、千夏の弟・博士を番家天嵩、底抜けに明るい万田家の母・和世を江口、昔気質の今日子の伯父・昭太朗を唐沢が演じる。また、今日子を取り巻く重要人物として堀内敬子、野間口徹、宇梶剛士、安井順平、大原優乃、矢島健一、飯田基祐、高畑淳子が出演し、物語を盛り上げる。

■ドラマ「万博の太陽」オリジナルレビュー

橋本演じる東京・下町出身の今日子は、高校を卒業してから家業の畳店を手伝っている22歳の女性。東京オリンピック開催(1964年)直後に父親・次郎(野間口)を心臓の病で亡くしており、今は母・陽子(堀内)を少しでも安心させるために次々と舞い込む見合いを受けている。

しかし、それも8連敗…。

こんなに明るくて愛らしいのに? 断っているんじゃなくて? と、私も最初は思っていた。だが、物語冒頭から描かれる今日子の“何かに夢中になる”とブレーキがきかなくなる猪突猛進な性格は、見ているこっちまで圧倒され、その惨敗にも早々に納得してしまうのであった。

そんな今日子が夢中になっているのが、2年後のに1970年に開催を控える日本万国博覧会大阪万博”。大きな目をさらに大きく開き、らんらんと輝かせて、近所の人や見合い相手に「私の夢は万国博覧会で世界中の人たちとつながることです!」などと万博を熱く語る今日子の姿はとても魅力的だ。加えて、圧もすごいがかわいい。

そして、見合いが上手くいかないことにしょんぼりしている今日子に陽子が提案する。「大阪行ってみる?」「万博の建設予定地、叔父さんの工場の近くなんだって」「いってらっしゃい!」と。誰よりも今日子の性格や、思いを理解しているであろう母親の後押しが今日子を万博へと近づけ、“嵐を呼ぶ女の子”は大阪へと旅立った。

■万田家での居候がスタート

今日子を迎え入れる万田家も、とても個性豊かで魅力的。“THE 昭和の父親”を絵に描いたような頑固おやじの昭太朗、大阪人ならではのボケ&ツッコミがすがすがしく、底抜けに明るい和世、知性にあふれ、心根の優しい千夏、コロコロと変わる表情が愛らしく、元気で人懐っこい博士もまた、悩んだり、落ち込んだりする今日子を優しく後押しする存在だ。

ある日、“女性の幸せは早く結婚して子どもを生むことだと信じる”昭太朗が千夏のために取引先の重役に頼み込んで見合い話を持ち帰ってくる。相手は、世界的建築家の設計事務所に勤める倉本鉄平。エリートなのにまったく気取ったところがない好青年を木戸が爽やかに演じており、和世や千夏はもちろん私も好感を抱いてしまった。

しかし、今日子はやっぱり違う。鉄平が初めて万田家を訪れた際、丁寧にあいさつしようとする鉄平に「押し売りですか?お帰りください!」と詰め寄るは、うっかりとはいえ熱いお茶を掛けて雑巾で拭くは…思っていた通りの展開に思わず笑ってしまう。だが後々、2人がぶつかり合いながらも刺激し合う関係に進んでいくのでそこも楽しんでほしい。

個人的には、鉄平が万田家を訪問したその夜、鉄平からのお土産のレトルトカレーを万田家と今日子がニコニコ楽しそうに堪能しているシーンが気に入っている。

■“昭和×愛”にぐっとくる…

そんな中、千夏が大学の教授から大阪万博のパビリオンで働くコンパニオンに推薦される。ここで千夏の大学生生活が少し描かれ、千夏の同級生で大原演じる銀行の支店長の娘・勅使河原やよいが登場。

昭和レトロを全面に感じるおしゃれなファッションで千夏と今日子の前に現れ、今日子を田舎者のお手伝いさん扱いするのだが、千夏が「今日子ちゃんは東京から来たんです」と伝えると「まさか…」と驚きの表情を見せ、わなわなとしながら去っていく。この後も何かと千夏や今日子に突っかかってくることがあるのだが、どこか愛嬌(あいきょう)があって憎めないのだ。

さて、コンパニオンに推薦された千夏といえば案の定、昭太朗から大反対。頭ごなしにコンパニオンを否定する昭太朗に今日子はブチ切れ、「漬物石!」「出てけ!」と大げんかに大発展してしまう。

しかし、博士にピンチが。博士を不良から救うためにほうきを振り回して助けようとする今日子、返り討ちに合う今日子を助けるために飛び込んでいく昭太朗。そして、最後にはけんかをしていたはずの2人が笑いあっている。そんな家族愛があふれたシーンが、物語の中にたくさん散りばめられていてほっこりする。

その後、今日子は千夏に誘われて万博のコンパニオンの試験を記念で受けることに。しかし、千夏は採用、今日子はあっさりと書類審査で不採用となってしまう。万博へ思い入れがあるだけに、落ち込んでいた今日子だったが、その夜、千夏に「なんでそんなに万博にこだわるの?」と聞かれ、今日子がここまで万博にこだわる理由を思い出とともに明かす。ここまで好奇心旺盛、元気いっぱいの今日子を演じてきた橋本だったが、胸に秘めた思いを語るシーンはぐっとくるものがあった。

その今日子の思いを、ふすまを挟んで聞いていた昭太朗。翌朝、寝ている今日子をたたき起こし直談判しに向かう。「うちの自慢の娘です!」「なんで千夏が受かって、この子が落ちるんですか?」「なんでこの子よりちびの子が受かって、今日子が落ちるんだ!」と怒りあらわに説得を試みる昭太朗には愛しかない…。

だが、その直談判もむなしく失敗。諦めムードの昭太朗と今日子だったが、そこへ鉄平が万博へとつながる提案をする。新たな挑戦に不安な様子の今日子だったが、ここでもやはり母親・陽子からの「すぐ帰ってきたら承知しないわよ。逃げないで頑張りなさい」の言葉が刺さる。

ここから物語は急加速。今日子の夢はどんどんと動き出し、千夏と鉄平の関係にも変化が起き、万田電機はある問題に悩まされる。しかし、問題が起きても暗くならないのがこの物語のいいところ。万博の開催を前に懸命に生きる今日子らに元気を貰えることだろう。

テレビ朝日開局65周年記念 ドラマプレミアム「万博の太陽」が放送/(C)テレビ朝日