プロ野球の開幕が近づいてきた。この時期になると、我々、野球解説者は順位予想に頭を悩ますことになる。当てたところで何かもらえるわけではないけど、競馬の予想の印と同じで、ファンの皆さんに野球を楽しんでもらうための目安、話題の提供みたいなものと思ってくれたらいいかな。

 そういえば競馬では先日、僕の予想がネットで「神予想」と話題になった。3月10日阪神競馬場で行われた「報知杯フィリーズレビュー」のレース前のトークショーに参加。推奨馬を3頭挙げると、何とそれが全部来た。自分でもビックリ。競馬はわからないので選んだ馬番は背番号の7、麻雀好きなのでイー・スー・チーの筋で1と4。会場では「野球もだいたいヤマ勘でやってましたから。これも語呂合わせではないよ(714)。でも当たったらでかいよ」と冗談を言いながら予想を披露したんやけど、結果は11番人気の4が1着で、2着が1番人気の1、3着に12番人気の7が飛び込んできて、3連単で19万7830円の大万馬券になった。

 実は僕は馬券を買っておらず残念やった。でも、ヤマ勘予想に乗って儲けた人は喜んでいた。野球界は昔から競馬やボートが好きな人が多い。僕は両方ともやらずに、もっぱら麻雀。有馬記念とか大きなレースをみんながワイワイ予想しているのを見ると「俺も買っておいて」と頼むぐらいやった。ほとんど当たった記憶はない。競馬の思い出といえば、やっぱり西宮球場でサラブレッドと競走したことかな。

 1983年4月30日の試合前イベントは今でもオールドファンの語り草になっている。元メジャーリーガーバンプと一緒に、ジンクピアレス号とセンターからホームに向かって50メートル走をやった。結果的には馬のひずめが人工芝で滑ったりでまともに走れなかったので、企画倒れに終わったけど。それでも話題作りには成功した。当時のパ・リーグは人気がなかったから、球団としても、何とかお客さんを呼び込もうという涙ぐましい営業努力やった。だから僕も喜んで協力した。今はオリックスも人気が出てきて、今年の宮崎キャンプには1日で2万人以上が押し寄せることもあった。昔では考えられないこと。選手たちはファンが球場に足を運んでくれることを当たり前と思わずに、感謝しないとアカンね。

 僕の競馬予想が的中した3月10日甲子園の阪神・巨人戦でも驚くべきことがあった。何とオープン戦にもかかわらず、4万1129人の観客となった。開幕前の最後の甲子園での一戦で、開幕前哨戦の巨人が相手ということもあったが、考えられない人数。昨年の38年ぶりの日本一でさらに阪神の人気が高まっていることを感じる。ゲームの方は阪神が球団初のオープン戦開幕9連敗。甲子園での2024年初勝利は、開幕後の4月9日の広島戦以降にお預けとなった。

 阪神ファンの中には心配している人もいるかもしれないけど、オープン戦の勝敗は関係ない。岡田監督も翌日の囲み取材で、過去4年でオープン戦最下位チームが3度も優勝しているデータをみずから示していた。僕の順位予想でもオープン戦の勝敗は気にしない。やっぱり戦力的には今年も阪神が優勝の本命。ということで、セ、パの順位予想はもう少し考えて、注目選手とともに次週に披露したい。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビABCラジオスポーツ報知で解説。

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