モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。3月20日(水・祝)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「ライドシェア 4月から4つの都府県で開始」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。


※写真はイメージです



◆ライドシェアが一部地域でスタート

国土交通省3月13日(水)、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶ「ライドシェア」のサービスを、来月から曜日・時間帯限定で東京都京都府など4都府県の一部区域で始めることを決めました。

吉田:塚越さん、まずは「ライドシェア」について、改めて教えてください。

塚越:一般ドライバーが自家用車を使い、有料で顧客を送迎するサービスの「ライドシェア」。コロナ禍で需要が減ったタクシー業界は2019年に29万人だった運転手が、去年8月の時点で23万人に減っています。一方、現在はインバウンドの増加もあってドライバーや送迎車の需要が増えており、都市部だけでなく観光地などでもライドシェア解禁を求める声が挙がっています。

今回の決定では、ライドシェアをおこなう一般ドライバーと客のトラブルを防ぐため、予約の時点で発着地や運賃を確定して、支払いは原則キャッシュレスにすることになりました。

また、運行の管理はタクシー会社がおこない、安全を担保するためにプロのドライバー並の研修や指導体制も整えます。同時に、運転に支障が出ないよう、ライドシェアをおこなう一般ドライバーが他の仕事をしている場合は、その勤務時間を把握するよう求めます。つまり、かなり厳しいレベルの管理が求められることになると思います。

一方でライドシェアを適用する地域や時間帯は、国土交通省が配車アプリのデータなどに基づいて指定することになります。こうした案は、一般からの意見を募った上で、3月中に正式に決定することにしています。

◆認められたのは「東京・神奈川・愛知・京都」の4都市 今後増えていく?

吉田:「ライドシェア」の運用が認められたのは、どういった地域なのでしょうか?

塚越:今回認められたのは、1つ目は東京都の23区と武蔵野市三鷹市。2つ目は神奈川県横浜市川崎市など。3つ目の愛知県名古屋市瀬戸市など。4つ目の京都府京都市宇治市などの合計4区域です。

運行時間は地域によってまちまちですが、例えば東京だと平日の朝7時~10時。金曜・土曜の夕方、土曜の深夜、日曜の午前から昼頃などです。国交省はこれらの地域のタクシー会社の意向を調査して、申請のあった会社に事業の許可を出すということで、早ければ来月にもライドシェアが可能になります。

ユージ:今後、運用可能な区域は増えていくのでしょうか?

塚越:国交省はこの4つの区域以外でも、大阪や札幌、福岡などの大都市を優先してタクシーの不足数を調べています。また配車アプリが普及していない地域についても、ライドシェアが運行できる方策を検討するとのことです。様子を見つつ、増やしていくのではないかと思います。

◆管理などが煩雑になり、タクシー会社の負担になる可能性も…

ユージ:「ライドシェア」を来月4つの区域で始めるということですが、塚越さんはどうご覧になっていますか?

塚越:ライドシェアの議論については、今後、タクシー会社だけでなく、他の配車アプリ事業者なども参入可能になるかどうかの議論が6月まで続くことになっています。そういう意味では、今回の決定はある意味で暫定措置であり、言い方は悪いですが「様子見」の意味もあると言えます。それにしても、今回の決定は「どっちつかず」の印象が強いです。

まず、適用地域は国交省が決めるので、タクシー会社は準備に時間がかけられません。また、ライドシェアのドライバーが他にしている仕事の時間などを管理するといった条件も厳しく、この条件ではどこまでドライバーが集まるか不明です。

また、ライドシェアのドライバーに対して、タクシー会社がプロのドライバー並の研修や指導をおこなう体制が必要とのことで、タクシー会社・ドライバー双方の負担が多いです。もちろん運転には人命がかかっているので管理を厳しくしたい気持ちも分かりますが、タクシー会社にとっても管理が厳しくなるわけですので、これがいいことなのかは分かりません。

都市部はドライバーも多数必要です。特に東京の場合は、時間によっては2,000台以上不足しています。それなら研修などにかかるお金を専用ドライバーの賃金に当てたり、タクシードライバーに必要な2種免許取得を後押しする制度を充実させたりなど、そもそも専属ドライバーの待遇をよくして人材を確保する手もあります。これに関しては、今回の(タクシー会社がおこなうことになった)研修を通して、ライドシェアドライバーが2種免許を取って専属運転手になるという方法もあるかと思います。

あるいは、タクシーにもダイナミックプライシング(変動価格制)を導入して、利益を増やして運転手の賃金に充ててもよいかと思いますし、アプリを使うならそうした変更も可能でしょう。最低限の研修はおこなったうえでという前提で、逆にライドシェアは専属ドライバーの運賃より少し安くするほうが分かりやすいですし、アプリならこうしたことにも対応できるのではないでしょうか。

ユージ:ユーザー側からしたら、「金額が一緒なら、プロにお願いしようかな?」という気持ちにもなりそうですしね。

塚越:逆に安いほうを使いたいという考え方もあります。そういう柔軟な対策についてなどを6月まで議論すると思いますが、ユーザー目線で考えて、この後の議論を決定してほしいと思います。


吉田明世、塚越健司さん、ユージ



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3月20日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2024年3月28日(木) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/
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