TVアニメ「ゆびさきと恋々」(毎週土曜夜22:30-23:00ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラスTVerHuluLeminoほかで配信)の第12話が3月23日に放送された。春が来て、雪と逸臣は2人きりでの初デートに出かける。それぞれが恋のパワーに背中を押され、一歩を踏み出す感動のラストに視聴者から「素敵な作品をありがとう」という感謝の声が上がった。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】逸臣(CV:宮崎遊)の目線の先にいる、藤の花に心奪われる雪(CV:諸星すみれ)

■TVアニメ「ゆびさきと恋々」とは

ゆびさきと恋々」は、「月刊デザート」(講談社)にて連載中の、森下suuによる同名漫画のアニメ化作品。聴覚障がいのある女の子・雪と世界を旅する大学の先輩・逸臣のピュアラブストーリーがSNSを中心に反響を呼び、累計発行部数380万部突破(電子含む)、「第11回ananマンガ大賞」「このマンガがすごい!2021」などの数々の賞にランクインしている。

アニメーション制作を亜細亜堂が手がけ、監督・絵コンテを村野佑太、キャラクターデザインを酒井香澄、音楽を橋本由香利が担当。糸瀬雪役は諸星すみれ、波岐逸臣役は宮崎遊が務める。

■初めてのデートで雪が逸臣を連れていった先は……

新学期になり、バイトも始めたことで忙しい日々を送る雪だが、合間を縫って逸臣と初めて2人だけのデートをすることになった。世界中を旅してきた逸臣をどこに連れていけばいいのか迷う雪。そんな中、りん(CV:本渡楓)に「雪が楽しんでるところを見たいんだよ」と言われ、雪は当日、とある公園に逸臣を連れていく。

公園にはたくさんの花が咲いていた。この日の目的は写真を撮ること。花の写真を撮るのが好きな雪は公園内の花を撮って回る。藤の花が作り出すカーテンの下で、互いの表情に心奪われる2人。そこで雪と逸臣は初めて記念撮影をする。雪が見ている世界が詰まった写真のフォルダに、逸臣が加わった瞬間だった。

途中、桜志(CV:大塚剛央)の話題になり、すっかり仲良くなったつもりでいる逸臣に苦笑いを浮かべる雪。その頃、桜志は友人たちと学校にいた。素直になりたいと桜志に思わせたのはどんな子なのかが気になる友人たち。顔を赤らめながらも、「かわいい……子だよ」と答える桜志が微笑ましい。

一方、エマ(CV:東山奈央)は心(CV:畠中祐)からの告白にまだ返事ができずにいた。高校から一途に逸臣を思ってきたエマと、そんな彼女を一途に見つめてきた心。2人は長い間、同じように悩んできた。「大事なのは“あれから”より、“これから”」という同僚からの言葉に、エマは決意を固める。雪と逸臣が見た公園の花たちのように、春になって彼らの心も色づき始めていた。

■逸臣が世界を旅する理由

穏やかな時間が流れる中、雪は「仲良くなったら教える」と言われていた“あの質問”を逸臣に再びぶつけてみることに。「どうしてよく海外に行くんですか?」という雪からのメッセージに、逸臣は長文で返答。涙がこぼれそうなほど感情が忙しいデートを終え、自宅に戻った雪は逸臣からの返信をじっくりと読む。そこには、逸臣のある夢が綴られていた。

子供の頃から飛行機や旅行が好きだった逸臣が、ドイツに移住したのは6歳の時。今でこそ、語学に長けている逸臣だが、最初は英語もドイツ語も喋れず、向こうの学校にも馴染めずにいた。けれど、「俺もサッカーがしたい」とドイツ語で伝えたことをきっかけに友達ができ、伝えたい相手ができたことで言語の勉強も楽しくなったという。手話の上達が早いのも、雪がいてこそなのだろう。雪に知ってほしいことも、知りたいこともたくさんあるから、どんどん吸収していける。雪は逸臣の原体験を知った。

同時に、逸臣が抱いている夢も知った。世界中を旅しているのは、色んな国の文化や歴史、言語を知りたいという好奇心からでもあるが、逸臣には海外の子供たちに盾となる知識を教えたいという夢がある。思えば、海外から雪に送られてくる写真にはいつも現地の子供たちが写っていた。ブレない志を持ち、そこに向かって行動できる逸臣を雪は尊敬する。

でも、もしかしたら逸臣は雪がそのことを知り、いつか逸臣が日本を離れるんじゃないかとか、自分にはそういう志がないとか、不安になると思ったのではないか。だからこそ、先回りして「心配するなよ」と声をかけてくれていた。逸臣はどんな時でも雪を安心感で包んでくれる。

■ゆびさきから愛が伝わる感動のラスト

そんな中、雪のもとにバイト終わりの逸臣から一枚の写真が送られてくる。そこには、花に夢中な雪が写っていた。

「自分でも不思議なくらい――雪に出会えて知りたいことばかり増えていく。何に触れて どう感じているのか。何が心を動かして どう響くのか。俺が雪に 何を与えられるのか。全部 俺に教えてほしい。雪の 全てが 愛おしいから」

少し前までは、お互い違う世界を見ていた。けれど、雪降る季節を超えて春を迎えた今、雪が見ている世界には逸臣が、逸臣が見ている世界には雪がいる。知れば知るほど好きになっていく出会いの尊さ。そして互いを尊重し合う思いやりの心を、雪と逸臣は教えてくれた。

エンディングでは、雪のバイト先にまどか(CV:菱川花菜)が訪ねてくる。すっかり仕事にも慣れ、あき(CV:白石涼子)にも褒められる雪。一方、桜志は本屋でずっと気になっていた手話通訳士のテキストを手に取り、いずみ(CV:髙橋ミナミ)に応援される。エマは心をデートに誘い、2人は歩きながら自然と手を繋いでいた。京弥(CV:逢坂良太)は付き合い出した記念にりんに指輪を贈る。最後はついにパスポートを取得した雪を逸臣が迎えに行き、2人が並んで歩く場面で幕を閉じた。

誰もが恋に背中を押され、ゆびさきから愛を伝えていく。そんな心温まるラストに、視聴者からは「大好きな作品を丁寧に描いていただけて嬉しかったです」「みんなそれぞれ前を向いてて幸せな気持ちになれました」「多幸感に満ち溢れてポロポロ涙…1話からずっと心奪われた作品の完璧なラスト」「素敵な心温まる作品をありがとうございました」「みんなの幸せが続きますように」「原作は続いているのでアニメ版の続編を希望します」と感謝の言葉や続編を希望する声が相次いだ。

◆文=苫とり子

テレビアニメ「ゆびさきと恋々」第12話が放送/(C)森下suu・講談社/ゆびさきと恋々製作委員会