国内空港のなかには、かつて別の場所にあったものの、さまざまな理由で別の場所に移設されたものが存在します。この「旧空港跡地」はどのように活用されているのでしょうか。その一例を見ていきます。

鹿児島&石垣は官公庁系のビル街がメインに

国内空港のなかには、かつて別の場所にあったものの、さまざまな理由で別の場所に移設されたものが存在します。こうした「旧空港跡地」はどのように活用されているのでしょうか。その一例を見ていきます。

鹿児島空港

現在は鹿児島市中心部から直線距離で約30kmの霧島市にある鹿児島空港ですが、かつて同空港は、鹿児島市街の鹿児島中央駅から南方向へ3.5kmの鴨池地区にありました。そこは、現在の鹿児島空港と区別するためか、愛称として「鴨池空港」とよばれることもあります。

現在の鹿児島空港が供用開始となった1973年鹿児島県は鴨池空港の跡地周辺を「鴨池海浜ニュータウン計画」として再開発すると策定。その後1996年には、跡地周辺に鹿児島県庁、県警本部庁舎なども移設され、現在では官公庁・住宅街などが並ぶエリアとなっています。

一方、空港ターミナルビルや格納庫などの建物は、鴨池空港としての役目を終えたあとも、そのまま別の施設として再利用されたそう。ただ、これらはすでに取り壊されてしまったようです。なお、空港ターミナルビルがあった場所には、2024年現在、スーパーを中心とする商業施設になっています。

ちなみに、官公庁などをメインとした再開発を行った旧空港跡地としては、沖縄・石垣空港もこれにあたります。

工場作ろう!公園にしよう!となった旧空港

北九州空港

福岡県にある北九州空港は現在、北九州市内の海上に位置していますが、2006年までは現在の空港から約8km西、小倉南区曽根北町に位置していました。

新空港の開港後、旧空港は「北九州空港跡地産業団地」として再整備されています。旧空港は「九州自動車道やJR駅に近接し交通利便性に優れた立地」(北九州市)とされ、滑走路や誘導路があった場所には、各社の倉庫や工場などが立ち並んでいます。また旧滑走路西側(RWY11)の末端付近は、2011年に九州労災病院が移転してきたためか、同エリア付近には薬局があり、そのほかに住宅街なども見られます。

旧空港のシンボルであった管制塔は2012年まで残ったものの解体され、いまや「ここが空港だった」痕跡はほとんど見られません。

大分空港

大分空港は、大分市からクルマで約1時間北上した国東市に位置していますが、1971年まで大分駅から北東に2.8kmほど離れた、大分市のほぼ中心に位置していました。

その旧大分空港跡地は、空港移転後の1973年に国から公園用地としての払い下げをうけ、「大洲総合運動公園」に生まれ変わりました。

敷地の形状は空港時代をほぼそのまま残すものとなっており、ターミナルや駐機場部分は現在、硬式野球場に変貌。滑走路があった部分は、広場やテニスコート、ゲートボール場などになっています。公園内の「芝生広場」には、大分空港跡地であることを示す石碑が掲げられてます。

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なお、これら空港が移設する要因のひとつとしては、いずれも市街地にあり、これ以上空港の拡張が難しかったことがあげられます。旧鹿児島空港などは海に面していたものの海側への拡張が難しく、旧大分空港は、当時大分地区に臨海工業地帯を作る計画が進んでおり、空港の存在が工業地帯を構成する企業の高炉建設に支障するといったことも、移設の一因とされています。

旧石垣空港(画像:photolibrary)。