株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のプラスチックリサイクル市場の動向を調査し、プラスチックリサイクルに係るユーザー業界の動向、プラスチックリサイクルの将来展望を明らかにした。
ここでは、国内の再生樹脂の需要量(製品に使用された量)の2023年推計値、2025年と2030年の予測値について、公表する。

1. 市場概況

本調査では、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル(モノマー化、油化)により、再生された樹脂を対象として、PETボトルや食品容器、自動車、家電品、パレット等の製品にプラスチックリサイクルされた需要量を調査した。2023年の国内における再生樹脂需要量(製品に使用された量)を51万5,000tと推計した。内訳をみると、飲料(対象製品はPETボトル)が22万t、食品容器(PET容器とPS食品トレー)は15万t、自動車は2万5,000t、家電品は3万t、パレットは6万t、その他が3万tとなる。



政府が2019年5月に策定した「プラスチック資源循環戦略」において、従来の3R(Reduce、Reuse、Recycle)に、Renewable(再生可能資源への代替)を加えた「3R+Renewable」の基本原則と、6つのマイルストーンが目指すべき方向性として掲げられた。
また、2022年4月には、プラスチック使用製品の設計からプラスチック使用製品廃棄物の処理まで、プラスチックのライフサイクルに関わるあらゆる主体において、プラスチックの資源循環の取り組みを促進するための措置が盛り込まれた「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行された。
このような背景から様々な企業において資源循環に向けた取り組みは活発化しており、業界や企業単位で再生樹脂の使用に関する目標や、石油由来資源の使用量削減目標などが掲げられるケースも少なくない。

2.注目トピック~使用済みプラスチックの回収スキーム構築に向けた取り組み

様々な業界で再生樹脂の原料となる使用済みプラスチックの安定調達に向けて、回収スキームの構築が進められている。

飲料メーカーにおいては、リサイクルボックス(自動販売機の横に設置されている)から使用済みPETボトルの回収に取り組んでいる。
コンビニエンスストア各社では店頭にPETボトル回収機を設置し、使用済みPETボトルの回収を行っている。コンビニにおけるPETボトル回収では、使用済みPETボトルを対象としたリサイクルチェーンでのトレーサビリティシステムの稼働のほか、消費者行動変容に関する仮説・システムの効果検証やシステムの社会実装上の課題を抽出することを目的とし、実証実験に取り組む企業もある。
また、日用品、化粧品、文具などの生活用品でも、店頭や公共施設などに回収ボックスを設置し、使用済みプラスチックの回収を行っている。日用品メーカーにおいては洗剤などの詰め替えパックや歯ブラシ等を回収するほか、化粧品メーカーは容器、文具メーカーではペンの回収などを行っている。

3.将来展望

プラスチックリサイクルでは、2030年に向けてサステナブルボトル化(リサイクルPET+植物由来PET)の目標を掲げる飲料業界や、近年プラスチックリサイクルの取り組みが活発化している自動車業界が需要をけん引するほか、多くの業界においても資源循環の実現に向けて再生樹脂需要の増加が見込まれる。
また、2030年頃までには、多くの化学メーカーやリサイクラー(再資源化業者やリサイクル樹脂メーカー)、コンパウンダー等でマテリアルリサイクルの高度化やケミカルリサイクルの実装化などが行われることからも、高品質な再生樹脂の供給量増加が見込まれ、ますますプラスチックリサイクルは活発化していく見通しである。2030年の再生樹脂需要量は93万6,000tになると予測する。

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調査要綱
1.調査期間:2023年12月~2024年2月
2.調査対象:再生樹脂の需要家等(飲料メーカー、自動車メーカー、日用品メーカー、化粧品メーカー、文具メーカー、家電メーカー、建設・建築メーカー、コンビニエンスストア
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年2月29日

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