大谷が果たして何を語るかに注目が高まる(C)Getty Images

 ドジャース大谷翔平の専属通訳を務めていた水原一平氏の違法賭博問題で、大谷本人が3月25日(日本時間26日)に取材対応するとアナウンスした。
 
 現在日米球界を揺るがすビッグスキャンダルとなっているこの問題で大谷自身が何を語るかが注目される。

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 同問題は大谷自身の口座から巨額の資金が違法賭博の胴元に流れていることが明らかになっている。水原氏自身は米メディア『ESPN』が19日(現地時間)に行ったインタビューで大谷自身がパソコンを操作し、複数にわたって、相手側の口座に送金したと語っている。

 しかし、翌20日に大谷の弁護人が「イッペイは嘘をついていた」と否定。当人も「翔平は賭け事にはまったく関与していない。これが違法だとは知らなかったことを知ってほしい」と証言を撤回した。この経緯について重大な関心が寄せられている。

 24日(日本時間25日)米一流経済誌『Forbes』は「ショウヘイ・オオタニがギャンブルスキャンダルで清廉を保つのが難しい理由」と題した記事を掲載。法的文書が必要な高額電信送金を水原氏が大谷の口座から行うことは難しいとの見解を示した。

 ダニエル・R・エプスタイン記者が執筆を担当。同記事では、『ESPN』が19日に行ったインタビュー内容にフォーカスを当てている。『ESPN』が水原氏を19日にインタビューした際の「翔平に借金を肩代わりしてもらった」という発言と、その後、大谷の弁護士が「大規模な窃盗にあった」との声明を発表し、水原氏も自らの発言を撤回し「翔平は賭博行為や借金、返済の努力について何も知らなかった」と話を180度変えた点を疑問視。

 何より記事中でファーカスされているのは大型資金が電信送金されている点にあった。19日に『ESPN』が行ったインタビューでは「2人で大谷のコンピューターの銀行口座にログインし、数か月にわたってそれぞれ50万ドル(約7500万円)で8~9回の取引を送った」という趣旨の発言が行われていた。

『Forbes』では米国の電信送金の仕組みを解説。銀行などの金融機関の電信送金には、送金金額に制限がある場合が多く、それらを解除、もしくは増額することは可能だが、身元確認など多くの事務手続きが必要だという。これは1970年に制定された銀行秘密法に基づき、金融犯罪取締ネットワークに通貨取引報告書を提出する必要があり、同ネットワークのガイドラインには「この法律を遵守するために、金融機関は社会保障番号、運転免許証、その他の政府発行の文書など、取引を行う個人に関する個人識別情報を取得する必要がある」と記載があるとされる。
 
 その上で記事中では「2人が親密な関係にある」ことにも着目。「ミズハラがそれらの文書にアクセスできたのかもしれないが、その可能性は極めて低いように思われる」とし、続けて「他人の口座から電信送金で何か月間にわたり、これだけ多額の送金を行うことはほぼ不可能だ」と断じている。あくまで大谷本人の関与の可能性もあるとして「今回の問題の最も単純な真相としてはオオタニが彼自身で送金したということになる」ともつづっている。

 さらに今後の展開についても考察を加えている。現在、同問題をめぐってはFBIの胴元側の捜査、MLBの水原氏、大谷本人への調査など複数の機関が動いているが、大谷本人のMLBにおける影響力の大きさについても言及。

 エプスタイン記者は「オオタニは2つの大陸の野球の顔だ。彼はゲームの最大の魅力であり、最高額のプレーヤーであり、ア・リーグMVPに君臨した。リーグは、このスキャンダルができるだけ静かに終焉することを望んでいるだろうが」としながら、「問題の規模と潜在的な結果を考えると彼らの願いが叶うかどうかは疑問だ」と今後もこの問題は予断を許さないとした。

 メジャーリーグのルールも紹介した上で仮に大谷が水原氏にかわって、違法賭博の借金の肩代わりをしたことが明らかになれば、コミッショナー裁定を受ける可能性もあるとした。

 記事の最後はこうまとめている。

「最も可能性の高いストーリーはミズハラが最初に話して撤回した、彼が危機的な苦境から抜け出すために友人(大谷)に助けを求め、ボウヤー氏に送金したというものだ。残る問題は、それが証明できるかどうか、そして証明できるとすれば、オオタニが法律とMLBからどのような罰則を受ける可能性があるかだ」

 騒動の渦中にいる大谷はこの苦境をいかに乗り越えていくのか。まずは26日に語られる内容に高い注目が集まりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「オオタニも清廉ではいられない」水原通訳の違法賭博問題 米経済誌も厳しい目を向ける理由