3月19日(火)、彩の国さいたま芸術劇場・埼玉会館の2024年度ラインアップ発表記者会見が行われた。

2022年4月より、彩の国さいたま芸術劇場芸術監督として振付家・ダンサーの近藤良平が就任。《クロッシング》をテーマに〈ジャンル・クロス〉〈人々がクロス〉〈地域とクロス〉〈地域間でクロス〉しながら、あらゆる人々が自由闊達に交わりアートを創造・発見する開かれた劇場を目指してきた。大規模改修のための約1年半にわたる休館期間を経て、2024年3月1日にリニューアルオープン。また、2024年度は開館30周年の記念の年でもあり、近藤芸術監督のもと、新しくなった劇場でさらなる一歩を踏み出す。近藤は「初代芸術監督の諸井誠さん、2代目芸術監督の蜷川幸雄さんの足跡を踏まえながら、未来に向けた新たな一歩を踏み出していきたいと考えています」と意気込む。

まずは、近藤芸術監督が就任時から2年にわたって構想を温めてきた「新しいシアターグループ」構想がいよいよ始動。グループ名は「カンパニー・グランデ」。グランデはスペイン語で「大きい」の意、カンパニーには「仲間」という意味がある。若者から高齢者まで、また障がいのある人や地域に暮らす外国人も巻き込んで、年齢もバックグラウンドも異なる人々が集い、ともに表現活動を行う仲間たちの大きな「サロン」のような集まり。メンバーは公募で募集し、「表現したい!」人は誰でも応募資格があるとのこと。近藤は「多様な人が集まるほどに面白くなるはずですし、そこはできるだけフラットでオープンな集団にしたい」と話す。年間を通してさまざまなワークショップを行い、実践と実験を重ねる中でジャンル・クロスの表現を探求する。2025年3月には選抜メンバーによる成果発表を行い、本公演は2025年度に予定。

次は新シリーズ「彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd(セカンド)」のスタート。既報の通り第1作はシェイクスピアの最高傑作とも言われる『ハムレット』を、吉田鋼太郎演出、タイトルロールに柿澤勇人を配して上演。シェイクスピアの世界にたっぷりと浸れる新シリーズの幕開けとなる。

また、世界のダンス・音楽シーンの最前線を走る話題のアーティストを招聘するのも、彩の国さいたま芸術劇場開館以来の特徴。ダンスでは、現代フランス・ダンスの現在地を知る絶好の機会となる、クリスチャン・リゾーとラシッド・ウランダン、ふたりの振付家が、それぞれの代表作を携えて来日。音楽では円熟の巨匠サー・アンドラーシュ・シフのピアノ・リサイタルを開催、また鬼才ヴァイリニスト、パトリツィア・コパチンスカヤがカメラータ・ベルンとともに、クラシック音楽の新たな切り口を提示する。「さいたまにいながら世界最高峰の演奏に触れられる喜びをぜひ感じて」(近藤)

さらに「劇場をよりオープンに、幅広い世代に身近に感じていただくためのプログラム」も充実。30周年の特別企画としてシェイクスピアの名作『夏の夜の夢』を、高校生を中心とした若い観客から大人までが楽しめる作品として、吉田鋼太郎演出で上演する。この公演には、18歳以下の子どもたちを無料招待。さらに、ノゾエ征爾脚色・演出で、下田昌克の絵本『死んだかいぞく』を舞台化、夏休みに家族で観劇できる作品として上演する。近藤芸術監督がプロデュースするオープンシアター『ダンスのある星に生まれて』は、休館中の中断を経て、2年ぶりの開催。こちらも30周年の特別バージョンで、「ダンスの持つ力を借りて、劇場のあらゆる場所を使って楽しめるような仕掛けを考えています」(近藤)とのこと。ダンスをテーマに劇場の内外を楽しみ尽くす企画で溢れ、光の庭での無料イベントもさらに充実。大人も子どもも、お気に入りのプログラムがきっと見つかるだろう。

そのほか次世代の表現者を育てる企画として、近藤芸術監督が発案するダンスの育成企画「ダンス・リダイレクション」も始まる。テクニックだけでなく、思考力や多様なアプローチを養い、ダンスの新たな方向性を見出していこうという本プログラム。初年度はヴッパタール舞踊団の瀬山亜津咲をメイン講師に、多彩なゲスト講師を招いて開講する。年1回の集中セッションのほかにも、受講者には年間を通してワークショップやリハーサル見学など、「ダンスのさいたま」ならではのさまざまな機会を提供して、劇場全体で表現者を育てていくとのこと。

音楽では「エトワール・シリーズ プラス」がスタート。若手アーティストに異なるふたつのスタイルで意欲的なプログラムに挑んでもらうという内容。また、気鋭の作曲家・坂東祐大と新しい音楽をつくるプログラムも立ち上げる。さらに、若手~中堅アーティストに発表の機会を提供するプログラム「彩芸ブロッサム」も構想中とのことで、公募の中から近藤芸術監督がセレクトした、将来性豊かなアーティストが、彩の国さいたま芸術劇場の舞台で花を咲かせることになる。

彩の国さいたま芸術劇場・埼玉会館 2024年度ラインアップ
(会場表記のない公演はすべて彩の国さいたま芸術劇場)

2024年5月7日(火)~26日(日)
彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1
ハムレット

2024年5月25日(土)
エトワール・シリーズ プラス
佐藤晴真(チェロ) Part.1 無伴奏チェロ・リサイタル

2024年6月8日(土)・9日(日)
コンドルズ埼玉公演2024新作『Here Comes The Sun』

2024年6月28日(金)
[共催] 加藤訓子プロデュース スティーヴ・ライヒ プロジェクト
「kuniko plays reich II / DRUMMING LIVE」

2024年7月7日(日)
大塚直哉レクチャー・コンサート 第10回
オルガンチェンバロで聴き比べるゴルトベルク

2024年7月20日(土)~28日(日)
音楽劇『死んだかいぞく』

2024年7月26日(金)~28日(日)
[共催]Noism Company Niigata 20周年記念公演
「Amomentof」

2024年8月
ダンス・リダイレクション 講師:瀬山亜津咲

2024年8月25日(日) [埼玉会館]
[共催]東京交響楽団&埼玉会館
東京交響楽団サマー・コンサート
※〈同日開催〉 0歳からの~金管五重奏コンサート

2024年9月28日(土)
バッハ・コレギウム・ジャパン
祝祭のオール・バッハ・プログラム
9月22日(日)作品解説レクチャーあり

2024年10月12日(土)・13日(日)
彩の国さいたま芸術劇場30周年大感謝祭オープンシアター!
『ダンスのある星に生まれて2024』

2024年10月19日(土)・20日(日)
クリスチャン・リゾー
『D’après une histoire vraie─本当にあった話から』
[共催]ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル

2024年10月26日(土)・27日(日)
ラシッド・ウランダン
『Corps extrêmes─身体の極限で』
[共催]ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル

2024年11月4日(月・祝) [埼玉会館]
NHK交響楽団
キンボー・イシイ(指揮) 福間洸太朗(ピアノ)

2024年11月10日(日)
ジャパニーズミニマル・ミュージック
~オール・久石譲・プログラム~
[企画・共同制作]あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール

2024年11月23日(土・祝)
エトワール・シリーズ プラス
佐藤晴真(チェロ) Part.2 ピアノ四重奏

2024年12月
彩の国さいたま芸術劇場開館30周年特別企画
吉田鋼太郎演出『夏の夜の夢

2024年12月8日(日)
パトリツィア・コパチンスカヤ&カメラータ・ベルン

2024年12月15日(日)
サー・アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル

2025年1月11日(土)~13日(月・祝)
松井周×菅原直樹 『聖地(仮題)』

2025年2月7日(金)~9日(日)
Noism0 / Noism1
金森穣 / 近藤良平 新作公演

2025年2月9日(日)
大塚直哉レクチャー・コンサート 第11回
鍵盤の上で踊るバッハ!?

2025年2月22日(土)
坂東祐大 新作 ワーク・イン・プログレス ショーイング

2025年3月
新シアターグループ カンパニー・グランデ 成果発表

シリーズ企画
埼玉回遊
2024年4月~2025年3月

新シアターグループ カンパニー・グランデ
2024年4月~2025年3月
※応募要項等の詳細は、4月下旬に劇場HPHP・チラシ等で発表。

パーキンソン病患者のためのダンス・プログラム
オンライン・クラス
2024年4月~2025年3月

彩の国シネマスタジオ [彩の国さいたま芸術劇場&埼玉会館]
2024年4月~2025年3月

彩の国さいたま寄席 四季彩亭
2024年5月11日(土)、7月、10月、2025年1月 [埼玉会館]

岩松了劇作塾
2024年8月~2025年3月

光の庭プロムナード・コンサート [埼玉会館]
135回 2024年4月20日(土) 大塚直哉(オルガン)&戸髙美穂(フルート
136回 2024年6月15日(土) 徳田佑子(オルガン)&染谷熱子(ソプラノ
第137回 2024年9月21日(土)
早川幸子(オルガン、笙)、村田 望(ソプラノ)&東金ミツキ(セルパン)
138回 2024年12月21日(土) トワイライト・スペシャル
佐藤初音(オルガン)&高橋千草(ヴィオラ

埼玉会館ランチタイム・コンサート
第61回 2024年6月21日(金) NHK交響楽団メンバーによる木管五重奏
第62回 2024年9月30日(月) 山下愛陽(ギター)
第63回 2025年1月9日(木) 邦楽四重奏団
第64回 2025年3月31日(月) 春休みスペシャル
東京交響楽団メンバーによるアンサンブル

※最新の公演情報は劇場公式サイトにてご確認ください。

の国さいたま芸術劇場公式サイト:
https://www.saf.or.jp/arthall/

彩の国さいたま芸術劇場芸術監督の近藤良平