東海環状道の建設中の区間で、開通が遅れる可能性が出てきました。

岐阜・三重県境のトンネルで湧水発生

東海環状道の未開通区間で建設が難航しており、一部で開通の遅れる可能性が出てきました。

2024年3月22日NEXCO中日本名古屋支社と国土交通省中部地方整備局が、第1回「国道475号東海環状自動車道(西回り区間)事業調整会議」を開催し、工事の現状と課題、今後の見通しなどを話し合いました。

東海環状道は、愛知・岐阜・三重3県の、名古屋市中心部からおよそ30~40km圏域を環状に結ぶ延長約153kmの高規格幹線道路(国道475号自動車専用道路)です。愛知県豊田市の豊田東JCTを起点とし、瀬戸市岐阜県土岐市美濃加茂市岐阜市大垣市などを経由して三重県四日市市の新四日市JCTに至ります。

2005年3月、中部空港開港と愛知万博愛・地球博)開催に合わせる形で、東側の豊田東JCT~美濃関JCT間73kmが一気に開通。その後、西側も名神高速新名神高速からそれぞれ支線がのびるように少しずつ開通を重ねています。

現在、建設中なのは、岐阜県内の山県IC~大野神戸IC間18.5kmと、岐阜・三重県境にまたがる養老IC~北勢IC(仮称)~大安IC間24.6kmです。会議では、これらの区間について、工事の進み具合や課題などが報告されました。

このうち養老IC~北勢IC間18.0kmでは、県境の山を貫く養老トンネルが建設中です。全長は約4.7kmと長いため両側から掘削を進めていますが、岐阜県側の避難坑で2023年11月、毎時最大約280tの湧水が発生し工事が一時中止に。さらに反対側の三重県側でも避難坑で毎時最大120tの湧水が発生し、同じく工事が一時中止されました。

その後、両側とも水抜きなどを行い試験的に掘削を再開しているといいます(岐阜県側の本坑掘削は中止継続)。

このため、養老IC~北勢IC間の開通予定は2026年度とされてきましたが、今後、難航している養老トンネルの工事に対処するため検討会を設置し、専門家の意見を踏まえて対策を進めるといいます。

なお、養老トンネルを含まない北勢IC~大安IC間6.6kmは工事が順調に進んでおり、2024年度に開通する見込みです。

山県IC~大野神戸IC間については、用地取得が完了しており、橋やトンネル、土木工事が進んでいます。また、開通に向けた舗装工事・設備工事は全て契約済みといいます。

しかしこの区間にある七五三(しめ)第一高架橋の現場では、玉石が出てきたため工法を変更し、工程に遅れが生じているとのこと。

そのため開通時期は2024年度とされてきましたが、最大で半年程度遅れる可能性があるということです。

会議に出席した岐阜県三重県それぞれの担当者からは、安全第一で工事を進めつつ早期の開通を求める意見も出ており、国とNEXCO中日本は引き続き安全に十分配慮して着実に工事を進めていくとしています。

東海環状道の庭田高架橋と養老トンネル坑口。2024年2月撮影(画像:NEXCO中日本)。