もくじ
ー 私とREGNOとの出会い
ー ENLITENとは何か
ー AMG CLA 35、ガラリ
ー 輸入プレミアムも味方
私とREGNOとの出会い
スーパーカー少年を卒業し、バンド活動に耽っていた高校時代。深夜のテレビ放送で出会ったCFが私をクルマ好きへと引き戻すきっかけとなった。
そのCFは世界的に有名な俳優が名車をドライブするというもので、映画のワンシーンのような映像とヒットソングのコラボレーションが、元クルマ好き音楽少年の心の奥底にあった「何か」を確かに揺さぶったのだった。
私とREGNOとの出会いである。
だから免許を取って初めて買った中古のGTのタイヤを交換するとなった時、自然とREGNOを選んだ。学生にとっては決して安い買い物ではなかったけれど、憧れのクルマを手に入れることとほとんど変わらない気持ちだったから気に留めることはなかった。
優れたパフォーマンスと実用域での使い勝手とを両立することで名車の脚を支えるタイヤ。私にとってのREGNOはそんなイメージだ。
2代目の愛車にもREGNOを履かせた。硬派なモデルだったけれど、履き替えてからというものの彼女はもちろん家族からも好評だったと記憶がある。
あれから30年以上が経った。私はといえばCFで見た憧れのイタリアンブランドも手に入れたし、何より世界の名車を評価するような立場にもなった。あの時、一連の素晴らしいCFに出会わなければ、憧れのスーパーカーたちを思い出すことはなかったし、買おうと決意することもなかっただろう。そして買わなければ、その名車のレストア日記で始まる今のライター人生もなかったわけだ。
81年に誕生したREGNOは40年以上に渡って当代一級のポジションを守り続けてきた。もちろんそれは攻めの結果である。
43年を迎えた今、革命的なコンセプトを提げた第12代の「GR-XIII」でまたもやREGNOはタイヤ界に衝撃を与えている。
▶ ブリヂストンREGNO GR-XIII 公式サイトをみるENLITENとは何か
「GR-XIII」最大の特徴は「ENLITEN」(エンライトン)と呼ばれるブリヂストンの新たなプレミアムを作り出す「商品設計基盤技術」を国内市場向け市販タイヤに初めて採用したことだ。
ENLITENとは平たくいうとタイヤ開発の基礎となる開発コンセプトである。最新のテクノロジーを惜しみなく投入してまずはタイヤ全般の性能底上げを図る。
そのうえで装着するクルマのカテゴリーごとに要求される性能や機能をさらに伸ばしていく。
それゆえハンドリング性と乗り心地との関係のように従来のタイヤでは背反にあった項目の両立を図ることが可能となった。
要するに起点となる性能がすでに高いため、とある項目を引き上げたとしても、他の背反する項目に与える影響が結果的に少なくなる。
REGNOがこれまでもずっと重要視してきた全方位的なパフォーマンスの向上をさらに強化し、「GREAT BALANCE」を進化させる真髄となると言えそうだ。
具体例としては、「GR-tech Motionライン」と呼ばれる新たなケースラインや「GR-tech Silentゴム」、3Dノイズ抑制グルーブなどを採用することによって、これまでもREGNOがこだわり続けてきたロードノイズ(荒れた路面で気になりやすい)やパターンノイズ(滑らかな路面で気になりやすい)をさらに抑制することに成功している。
新品タイヤ装着時の騒音エネルギー低減率で言うと、従来モデルの「GR-XII」と比べて、荒れたアスファルト舗装路面ではロードノイズ(低周波)を12%、スムースな路面ではパターンノイズ(高周波)を8%、それぞれ低減した。※詳しくはカタログ/ホームページをご覧ください。
再生資源や再生可能資源を合成ゴムに使用するなど、カーボンニュートラル化やサーキュラーエコノミーにもひと役買っている。
▶ ブリヂストンREGNO GR-XIII 公式サイトをみるAMG CLA 35、ガラリ
「GR-XIII」を履くメルセデスAMG CLA 35で半日ほど都内近郊をドライブした。以前に試したCLA35の印象はというと、きびきびとしたハンドリングが印象的だった一方で、乗り心地にはFR系モデルのようなしなやかさがなく、硬派な印象が強かった。
ところがどうだ。走り始めてすぐに最新のAMGモデルに独特の強いあたりが影を潜めたことに気づいた。
ゴツゴツとした、特に前輪に際立っていたツッパリ感が見事に解消されている。後輪の追従性もよく、結果、とてもしなやかに四輪が動いてくれる。
しかもロードノイズは少なく、静粛性が驚くほど向上している。誰がドライブしても乗り心地が格段に良くなったと思うはずだ。
かといって単に柔らかくなってしまったわけではない。それが証拠にハンドル操作のはじめから感じるタイヤの動きが非常に明快で、しかも自然だ。戻し際も同じ。
要するに旋回中のフィールにだらしなさは一切ない。それでいて乗り心地がいい。
コーナーや車線変更時に視線の変化が少なかったことも心地よくドライブできた大きな要因の一つだろう。
首都高速道路でも心地よい印象のドライビングフィールは変わらなかった。乗り心地のよさは相変わらずで、パターンノイズも少ない。
しかも車線変更もラクだ。追い越し加速ではタイヤがよく路面をつかんで、豊かな瞬発性をみせた。
嬉しかったのはドライビングファンも上々であったこと。ちょっとしたカントリーロードではリニアで心地よく自然なハンドリング性能を実現していることに驚いた。
これらは前述した「GR-tech Motionライン」に加えて、ブリヂストン独自の「ULTIMAT EYE」技術などによるものだ。
タイヤの接地面積が増し、接地圧が分散されて接地性が向上しているからだという。
▶ ブリヂストンREGNO GR-XIII 公式サイトをみる輸入プレミアムも味方
これほど乗り心地のよさのわかりやすいタイヤを履いた場合、高速走行もしくはスポーツドライビングにおいて、快適さを求めたトレードオフとして、ハンドリングや安定性といった面で我慢させられるようなこともありがちだ。
車線変更で少しグラっとするな、とか、コーナーでヨレを感じる、といったネガティヴな要素を乗り心地の良さでカバーする、というか、納得させていることが多いというわけだった。
繰り返すが、ENLITENの考え方はそうではない。ハンドリング性能や、高速道路での安定感を従来以上に高めたうえで、乗り心地よく設計する。そこに大きな妥協はない。
最新の輸入車、特にプレミアムモデルはラグジュアリーでありつつ、パフォーマンスはより高性能に、よりスポーティにという方向性にある。だから、ややもすると性能重視になってしまい、乗り心地が犠牲になる場合が多い。
特に欧州プレミアムブランドの場合、日本の街中低速域(30-40km/h)や、一般道の巡航速度域(50-60km/h)の乗り心地をほとんど犠牲にして高性能を担保するモデルも散見される。なぜならヨーロッパで重視される速度域は今や、30km/h以下(市街地)と80km/h以上(郊外路)だからだ。
全方位的に性能や機能を向上させつつ、しかもカテゴリーごとに要求される項目をいっそう引き上げるというENLITENによって生まれたプレミアムタイヤの革命児「GR-XIII」。このタイヤはことによると、輸入プレミアムブランドの高性能モデルを好むユーザーにとって、そのパフォーマンスを犠牲にすることなく、足りない「何か」を新たに得る良い機会になるかもしれない。
▶ ブリヂストンREGNO GR-XIII 公式サイトをみる
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